2015.07.23 ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜 ★★★★
孫娘のお守りで、こんなアニメを見る羽目に。子供だましかと思っていたら、意外にも大人も楽しめる内容でした。
クレイ・アニメーションという粘土を用いたキャラを一コマずつ撮影していくという、気が遠くなるような手法を用いているのだそうです。
「ひつじのショーン」はNHKでもその短編が放映されているとのこと。しかし、映画の方が断然面白かったとは孫娘の弁。確かに最初は、ふん、こんなものかと思っていたら、次第に画面に引き込まれて行きました。セリフは殆ど無いのですが、内容は子供でも理解できると思います。いや、それだから子供もしっかり楽しめるのかも。
併せて各キャラの動きやギャグが痛快で、センスの良さが光ります。「アビイ・ロード」をパロったシーンの他、色々な名画のオマージュ・シーンも挿入されているのだとか(私は「アビイ・ロード」以外は気が付かなかった)。
この映画なら予定調和で大ハッピー・エンドは大いにありでしょう。ただ、羊達は可愛いのですが、あの牧場主のキャラがなぁ・・・。
(劇場)
2015.07.22 24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ ★★★★☆
大人気TVドラマ「24 TWENTY FOUR」シリーズの4年ぶりの最新作。旧作は全8シーズン、1シーズンあたり24話完結だったのですが、本作は12話完結となっています。
かつて新シーズンのレンタルが開始となると、TSUTAYAに大行列が出来るなどという噂がありました(真偽は不明)。そろそろ落ち着いて来た時期なのでレンタルしようかと窺っていたら、連日のこの暑さです。ネット配信(U-NEXT)で試聴することにしました。16日間無料などとあったので、え?これで24の新作が無料で見られるのかと喜んだのは早計でした。無料となる月々の定額料金とは別に、新作はエクストラ・チャージがかかるのです。それがとても分かりにくいのだ(>U-NEXTさんよ)。騙されたか・・・。それでも灼熱の中、借りに行ったり返しに行ったりするよりは良いかと結局それで視聴することに。
米国あるいは米国大統領へのテロ攻撃に対して、主人公のジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が如何に戦っていくか、という基本テーマは全く変わりません。ただし、今回は舞台がロンドンで、そこにロシア、中国が絡むというもの。ジャックの何ものも恐れない闘争心と過激な行動(特に拷問ね)は相変わらずです。1話見終えると、すぐさま次話を見たくなるのも同じ。ただし、ストーリー展開が基本的には従来路線なので、新鮮さに欠ける面は否めません。視聴中、以前のシリーズを観ているかのような錯覚に陥りますもの。
本作で何に一番驚いたかというと、クロエ(メアリー・リン・ライスカブ)のパンク・メイク。最初はクロエとは気が付きませんでしたぞい。親身に最後までジャックをサポートするのはこれまでと同じ。結局クロエはジャックを密かに愛しているのですねぇ。
本国でも本作は大ヒットしたので、再び劇場映画化の話が持ち上がっているとのこと。しかし、本シリーズに限って言えば2時間程度にまとめるのは結構難しいのではないですかね。あっさり、淡白な仕上がりにならないよう・・・。
(ネット配信)
2015.07.20 レイルウェイ 運命の旅路 ★★★
太平洋戦争時、日本軍による「泰緬(たいめん)鉄道」建設に動員された英国兵捕虜、エリック・ローマクスの自叙伝を映画化したもの。筆舌に尽くしがたい過酷な捕虜生活と、憎しみの対象である日本人通訳とのその後の邂逅と和解を描いています。
アンジェリーナ・ジョリーが監督し、米国兵の捕虜に対して日本軍が加えた凄まじい虐待を描いた「アンブロークン」は、その内容が余りに反日的であるとして、日本では未公開となっています。本作とは虐待の描写のレベルが異なるようですが、それでもこの「レイルウェイ 運命の旅路」が日本公開されたことは素晴らしいことと思います。
後半の展開を端折り過ぎていて、主人公(コリン・ファース)の心の移り変わりがしっかり描写されていないこと、日本人通訳(真田広之)が卑屈過ぎることなどが、不満といえば不満。戦争当時とその後の彼らがいずれも似ていない俳優を使っているのも。
主人公の妻役にニコール・キッドマン。地味〜なコリン・ファースの妻役としては余りにも綺麗すぎて、これはミス・キャストですね。
エンドロールで実際の2人の写真が現れ、生涯2人は親密な交際を続けたとのテロップが流れます。人間はあのような憎しみを乗り越えられるものなのだなぁと思う一方で、こういうのは稀有な例なのではないかと思ったり。
(BS-HV)
2015.07.11 ターミネーター:新機動/ジェニシス ★★★★
「ターミネーター」シリーズの第5作目。第1、第2作目の監督であるジェームス・キャメロンは本作に関与していませんが、「この作品は私にとって第3作目」などと言って大絶賛しています。ありゃ、第3、第4作目は無かったことになってしまった・・・。
冒頭は第1、第2作目をリスペクトするようなシーンで、キャメロンが喜んだのはさもありなん、です。ところがその後の展開は予想だにしないもの。特に中盤で重要人物の置かれた立場にビックリ仰天。まあ、5作目ともなるとこの位捻らないといけないのでしょうね。
所謂パラレル・ワールドの世界で、かつ時間軸が行ったり来たりしますので、置いて行かれないよう必至に集中しなければいけません。でも、もう少し分かりやく説明して貰えると私なんぞは嬉しいのですがね・・・。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、本作でも大活躍です。ロボットでも皮膚は老化する、などという都合のよい説明が付いたり。それにしても若いシュワちゃんのCGはスゴイ。大昔にそういう映像を撮っていたのかと思うような見事な出来栄えです。
第2作目の人気キャラ(?)、T-1000も登場します。ただし、イ・ビョンホンなどという韓国の俳優が演ずるのは、良いのか、悪いのか。サラ・コナーをエミリア・クラーク、カイルをジェイ・コートニーが演じますが、明らかにミス・キャストと思います。サラがあんなにズングリムックリではいけません。カイルがあんな猿顔ではいけません。ジョン・コナー役のジェイソン・クラークは良いと思いますよ。J・K・シモンズは何のために出ているのだ?「セッション」の功績によるご褒美出演か?
本作もエンドロールの途中に1シーンあるのですが、ああ、いっぱいいたよねぇ、エンドロールが始まるやいなや席を立った人達が・・・。
(劇場)
2015.07.09 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン ★★★★
アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、ソーなどマーベル・コミックのヒーロー達を結集させたオールスターチーム、アベンジャーズの第2作目。配給会社は自信があるのか随分宣伝していましたし、概して好評のようです。
う〜む、ツカミからして最早クライマックスのようなシーンです。その後は少し中弛みがあるものの、バトルシーンが怒涛のごとく繰り返されます。問題は、キャラなども増えていてかなりゴチャゴチャしているので、私の頭では背景、相互の関係、はたまた敵か味方かなどがよく理解できないこと。
一言で言えば、人類の平和のために作られたAIロボット(ウルトロン)が平和を乱すのは人類であると判断し、地球抹殺を図る策略にアベンジャーズが対抗するお話、ということでしょう。とは言ってもウルトロンがいつ何をもって反抗し、あの双子の超人兄妹は何故味方になったのか、あの赤い顔の男はどういう生い立ちなのか、など分からずじまい。それでも後半はお互いの立ち位置がはっきりした闘いのみなので、ようやくついていくことが出来るようになりました。フー、年は取りたくありませんねぇ。
綺羅、星のごとく登場するメンバの中では、誰が何と言おうと(何も言わないか)ブラック・ウィドウ役のスカーレット・ヨハンソンをイチオシ。どうか、今後加齢であの体型が崩れませんように。ジェレミー・レナー演ずるホークアイは、「こんな状況で弓矢で闘うのかよ」などと自嘲気味でしたが、当たっていますよ、そのコメント。それにしても彼の家族だけがやけに描かれるのは、何故?
エンドロールの最後に、キモい人物(?)が一瞬現れ、次回作に出演することを暗示します。おいおい、まだキャラを増やすのかよ。益々ついていけないよ・・・。
(劇場・DOLBY ATOMOS)
2015.07.06 ローン・サバイバー ★★★
2005年のアフガニスタンで、作戦の失敗から敵地から米兵1人のみ生還出来たという、実話に基づく映画。
序盤はともかく、その後は息もつく隙がないスリリングな展開が続きます。米兵4人に対して、タリバン側は200人という過酷な状態に陥ったのも、如何にもアメリカ的な状況判断に基づくもの。これがあったから書籍になり、映画にもなったのでしょう。他の多くのこのような場合は、ああいうことにはならないのではないかな(何を言っているのだ?)。
銃撃戦はリアリティ溢れる臨場感溢れるもの。ただし、滑落で木や岩に激突しているのに致命的にならない、電波を掴もうと一人犠牲になる、ああまでして村人が助ける、などにはやや違和感が拭えません。
主人公にマーク・ウォールバーグ。すっかり貫禄がつきましたね。彼は制作にも参加しているようです。他のメジャーな俳優は、エリック・バナ。チョイ出が勿体無い。
実録物のエンドロールには付きものの実際の映像がいくつか現れますが、戦死した兵士の家族写真は切ないですねぇ。主人公と彼を助けた村人の長との写真で、ああやっぱり事実だったのだ、と改めて思ったり・・・。
(BS-HV)
2015.06.27 イントゥ・ザ・ストーム ★★☆
竜巻のディザスター映画と言えば、96年の「ツイスター」が有名ですが、ストーリーよりもそのCGで驚かされたものでした。まあ、CGでは当然本作の勝ちでしょうが、お話としてはどうなんでしょうか?
これも「ツイスター」と同様、いわゆる「ストーム・チェイサー」
を主体としたもの。登場人物の誰が犠牲になって、誰が助かるかがおおよそ検討がつくというのがこの手の映画です。本作もそういう意味では期待を裏切りません(笑)。お話としては、危ない状況に置かれている息子を父親が救出するという「デイ・アフター・トゥモロー」にそっくりで、凡庸としか言いようがありません。
期待していたVFXも、ちょっとやそっとのものでは驚かなくなっている眼からすれば、まああんなものかな、と。「ツイスター」では牛が巻き上げられているシーンが話題を呼びましたが、本作ではジャンボ・ジェット機の数々・・・。飛行機が巻き上げられているのに、主人公らが乗った車は無事というのは、愛嬌、愛嬌。
嬉しかったのは久し振りに「プリズン・ブレイク」のサラ・ウェイン・キャリーズが見れたこと。貫禄がつきましたね。父親役のリチャード・アーミティッジは私は全く知らない俳優と思っていたのですが、何と「ホビット」シリーズのドワーフのボスを演じている人とのこと。全くイメージが違いますねぇ。
(BS-HV)
2015.06.17 鑑定士と顔のない依頼人 ★★★★☆
「ニュー・シネマ・パラダイス」、「海の上のピアニスト」、「マレーナ」のジュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作。前3者とは全く作風の異なるミステリー作品です(違うかな?)。
初老の天才的鑑定士が、ある女性から遺品の鑑定を頼まれるところから物語は始まります。その女性は広所恐怖症という特殊な病気の持ち主で、中々姿を現しません。一体その女性は何者で、どういう境遇なのか、と興味津々。色々な布石が回収され、最後はあっと驚く結末が待っていますが、このオチはだいたいそんなものだろうと予測がつくレベルです。
ネット上ではハッピー・エンドとバッド・エンドでと意見が分かれているようですが、ラストにあのお店で「お一人様ですか?」と店員に尋ねられ、しばらく間を置いてから「連れがいる・・・」と主人公がつぶやくシーンをどう思うか、ですね。まあ、あんな経験が出来たのだからいいじゃないか、とも。いずれにせよ、しっかり練られた脚本で、興味深い展開に最後まで惹きつけられました。
主人公はジェフリー・ラッシュ。いつも以上に胡散臭い顔に終始しますが、見事な演技としか言いようがありません。ベテランのドナルド・サザーランド、「アクロス・ザ・ユニバース」のジム・スタージェスは嬉しい起用。ミステリアスなヒロインはシルヴィア・フークス。脱ぎっぷりはいいけど、存在感が無さ過ぎだ(あ、役柄からはそれでいいのか)。オランダ出身で32歳、本作が2作目という情報しかありません。
ジュゼッペ・トルナトーレ、相当なお歳なのだろうと思っていたら、まだ59歳なのですねぇ。それに一番ビックリしたかも。
(BS-HV)
2015.06.13 大統領の執事の涙 ★★★☆
ホワイトハウスで歴代大統領7人に仕えた黒人執事の、実話に基づくお話です。大統領と執事の関係と言うよりも、黒人公民権運動と家族の絆がメインテーマとして描かれます。併せて、アメリカの激動する歴史も少しばかり。
南部の農園で働く少年から、大統領の執事を退職するまで、とにかく駆け足で描かれます。すっ飛ばし感、半端ない。黒人への人種差別や虐待も、これでもかと描かれます。相変わらず酷い・・・。
一方で、地道にコツコツと(あれ、どこかで聞いたような言い回し)仕事をし、人生を歩めば必ず報われるとも訴えています。見終えてしみじみとする良質な映画だと思いますよ。
主人公はオスカー俳優のフォレスト・ウィテカー。私は以前からこの人を大根と思っているのですが、ここでもぎこちない演技に終始しているように私には感じられます。そんな不満を吹き飛ばすのが、似ていないようで似ている歴代の大統領達。アイゼンハワーにロビン・ウィリアムズ、ニクソンにジョン・キューザック(これは大分イメージが違う)、ケネディにジェームズ・マースデン、レーガンにアラン・リックマンなど。その他チョイ役ながら、ジェーン・フォンダやマライア・キャリー(彼女ならああされても止むを得ない)も登場します。
バラク・オバマは、本作品を観て感涙したそうな。黒人への虐待シーンか、はたまた大統領を勝ち取ったラストの若々しい本人映像を見てのことか・・・。
(BS-HV)
2015.06.05 チャッピー ★★★★★
脱力しそうなタイトルですが、独特の世界観を持つ「第9地区」、「エリジウム」のニール・ブロムカンプの監督作品です。AIロボットものですが、「第9地区」や「ロボコップ」に雰囲気が似ていて、私は好きですね、こういうの。
チャッピーと名付けられたAIロボットの成長とそれを利用しようとするギャング団の思惑、それを阻止しようとする開発者の奮闘などが描かれます。更にその開発者を敵視する同僚との絡み(展開に大きな影響を及ぼす)もあり、全く退屈しません。
南アフリカのヨハネスブルグが舞台であり、「第9地区」と同様にこれもアパルトヘイト(まあ、ロボットを対象にですが)を意識していることは間違いありません。終盤やラストの展開が極めて秀逸。メインキャラクターの2人がああなっても、最後はああいう結末を迎えるとは予想だに出来ませんでした。素晴らしい!!
チャッピーの極めてスムーズな動きは、「第9地区」の主人公であったシャールト・コプリーのモーションピクチャによるとのこと。声も彼のものですが、余りロボット的な音声ではなかったので、誰がセリフを言っているのか判別しにくかったシーンがありましたな。開発者役にインド人のデヴ・パテル(「スラムドッグ$ミリオネア 」の人ね)。あのヒュー・ジャックマンが、何と大悪党に。初めて見ましたよ。シガーニー・ウィーヴァーの老けぶりには涙するばかり。
ギャング団のステレオタイプぶりには苦笑しますが、驚くことに「ニンジャ」とか「ヨーランディ」は本名で、南アフリカでは有名なラップ・ミュージシャンとのこと。特にヨーランディは最初のとんでもないビッチぶりから、後半次第に優しく見えてくるのが不思議。まあ、それで尚更ラストが納得、なのですが。
(劇場・IMAX)
2015.05.29 ダラス・バイヤーズクラブ ★★★
2013年のアカデミー賞で6部門にノミネートされ、主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)、メイク・ヘアスタイリング賞の3冠に輝いた作品。80年代のアメリカを舞台とした、実話に基づくお話です。
HIV感染し、余命30日と宣告をされた自堕落なロディオ・カウボーイが、エイズ治療に無策な政府や金儲け主義の製薬会社と抗い、未承認の有効な治療薬の販売ルート確立に尽力していく、というストーリー。国外の有効な治療薬を大量に国内で捌くために、入会費は徴収するが薬は無償配布するという裏ワザの仕組み、ダラス・バイヤーズクラブを立ち上げます。
最初は自分の延命のためだけだったのが、次第に治療薬に恵まれない多くのエイズ患者のために奔走していく、というのが本作の肝。「シンドラーのリスト」か?(ちょっと違うな)「ロレンツォのオイル」か?
薬を求めて日本に来るシーンがあり、渋谷のスクランブル交差点が写ったかと思うと、次のシーンでは何故か岡山に。おまけに日本の医者が片言の日本語を喋るという・・・(ホントにこのパターン、何とかして貰いたい)。
何に一番驚いたかというと、痛々しいほど痩せに痩せたマシュー・マコノヒー。何でもこの役のために21kgも減量したとのこと。う〜む、体に良くないでしょうねぇ。トランスジェンダー役のジャレッド・レトの演技は感動モノ。女性より女性らしかったり・・・。
(BS-HV)
2015.05.20 ラン・オールナイト ★★★★
昨今「96時間」シリーズや「フライト・ゲーム」などの元気一杯アクションで、そのジジイ・パワーを見せつけているリーアム・ニーソン。本作も同趣のクライム・アクションです。
主人公が息子の命を狙った男を殺害するも、その男の父は主人公の旧友であり、雇い主でもあったマフィアのボス。当然のようにそのボスは主人公と彼の息子への復讐を狙い、その攻防で一夜が明けるというお話。だから、ラン・オールナイト(原題も「RUN ALL NIGHT」)。
単なるアクションだけではなく、息子を守ろうとする父親の愛情、息子の復讐を遂げようとする父親の愛情、旧友同士の切ない闘いなども描かれます。特に息子を殺人犯にさせないよう、銃を使うなと諭す父親の姿は印象的。あと、主人公が初めて息子の子供に「お前のおじいちゃんだよ」と紹介されるシーン、こういうのに弱いのですわ・・・。
余りにも捻りのないストーリーで先が読めてしまう、とか、マフィアのボスとの対決がややあっけないなどは、惜しいところ。ラストもハリウッド作品としては異例かも知れません。
マフィアのボスにエド・ハリス。言うこと無いほどハマっています。老けていて最初は誰だか分からなかったニック・ノルティもカメオ的出演。ただ、女性が全く前面に出ないという映画はやはり寂しいものがあります。
(劇場)
2015.05.18 まごころを君に/アルジャーノンに花束を ★★☆
大ベストセラーの原作は未読でしたが、タイトルと大まかな粗筋だけは知っていました。最近、日本版にリメイクされTVドラマ化されていることを知り、折しもBS(スター・チャンネル)で1968年公開(古い!)のハリウッド作品が放映されていたので、どれ、観てみようかと・・・。
うん、思っていた以上の展開はありませんねぇ。前半の主人公の行動は丁寧に描かれているのに、後半のすっ飛ばし感はいかがなものか。主人公がサイケに狂うシーンも引くばかり。終盤のエピソードも、もう少し説明描写が必要でした。
主人公のセリフで、「身体障害者は笑われないのに、知的障害者は何故笑われるのだろう?」などと言うのがあり、実際に仕事仲間に笑いものにされるシーンが幾つかありましたが、本当にそうでしょうか? ドラマとしてオーバーな描写が必要としても、あそこまでやりますかね。
公開時のタイトルは「まごころを君に」で、ビデオ化されたタイトルは「アルジャーノンに花束を」で、BS放送のタイトルは「まごころを君に/アルジャーノンに花束を」ですから、ややこしい。原題は主人公の名前の「CHARLY」だけなんですけどね。
主人公は本作でオスカーを受賞したクリフ・ロバートソン。巧いとは思いますが、真顔の眼が陰鬱で怖過ぎ。ヒロインはクレア・ブルームですが、これはミスキャストではないでしょうか?
上記評点は本映画化作品に対してのものであり、原作は恐らく5つ星なのではないかと思います。日本だけでも350万部も売れたのだそうですから。
(BS-HV)
2015.05.07 ワイルド・スピード SKY MISSION ★★★★★
「ワイルド・スピード」の第1作目を観て、カーキチでも何でもない私はそれ以降のシリーズ作品は全てスルーしてきました。第7作目にあたる本作も初めはそのつもりだったのですが、かなり高評価であることと、この4月にオープンしたTOHOシネマズ新宿のIMAXスクリーンで初めて上映される作品ということで、食指が動いたのでした。なおかつ3D上映でもあります。
むむむ。通常のスクリーンより縦に長い大画面の迫力は相当なもの。加えて日本初導入との12.1chサウンドシステムと相俟って、その臨場感は半端ではありません。3Dも以前の方式と異なるのか、画面はそう暗くならない。これは中々良いですね。
映画としてはこれ以上のドンパチはなく(殆ど戦争)、かつサブタイトルにあるように、車が空を飛ぶという荒唐無稽ここに極まり、という内容です。まあ楽しめることは楽しめましたがね。
何と言っても第1作目から主役級を務めてきたポール・ウォーカーが本作のロケ中に交通事故死したということが終始頭から離れません。残りのシーンはどうやって撮ったのか調べてみると、何でも瓜二つの弟2人がスタントを務めていたとのこと。終盤はことごとくポールへの追悼のようなセリフ、シーンが続きます。このシリーズのファンなら泣けることでしょうね。
もう1人の主役級はヴィン・ディーゼル。そこにドウェイン・ジョンソンとミシェル・ロドリゲスが絡みます。憎き適役にはジェイソン・ステイサム。あの風貌(特に頭ね)であれば仲間にしてやっても良いのでは? 私としてはミシェル・ロドリゲスが老けずに健在であることが嬉しい限り。
満点評価は、IMAX環境を含めてのものです。
(劇場・IMAX)
2015.04.27 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ★★★★
今年度アカデミー賞で9部門にノミネートされ、作品賞、監督賞を含む4部門でオスカーを獲得した超話題作。4月10日の封切りでしたが、いつもいくシネコンでは公開されないこともあり、TOHOシネマズ新宿にて遅れての鑑賞でした。
かつて「バードマン」というアメコミの実写映画で一世を風靡した主人公の凋落と再起への奮闘を描いた作品。大傑作との評判の一方で、難解という論評もあったりするので、恐る恐ると・・・。
ああ、確かに正に飛んでいる映画ですね。起承転結が明確では無く、主人公の(おそらく)空想の世界も描かれるのでファンタジーと言っても良いと思います。反面、含蓄に富んだセリフや奇抜なエピソード、おおがかりなVFXもあるので全く退屈はしません。現実的なコメディ部分とシュールな部分が綯い交ぜになって、独特の世界観を作っています。最初から最後まで1カット(に見えるような)撮影手法や、BGMが殆どドラムソロなど、奇抜なアイディアも。ラストは爽やかな高揚感を覚えます。
かつて「バットマン」シリーズの2作品を演じたマイケル・キートンの実際の経歴と重なるという声もあるようですが、余りそうは思いませんね。でももう63歳になっていることに驚きました。共演者ではやはりエドワード・ノートンのぶっ飛んだ怪演が見ものです。助演女優賞にノミネートされた娘役のエマ・ストーンはそんなに良いかな?(狆くしゃ顔だ)
なお、奇天烈な邦題は、原題(「BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)」)のほぼ直訳です(「VIRTUE」は「奇跡」ではなく「美徳」)。
(劇場)
2015.04.24 ゴーン・ガール ★★★★☆
デヴィッド・フィンチャー監督作品で、「セブン」を超える傑作とも云われた本作。劇場で見逃していた作品です。
妻の失踪で犯人扱いされる夫の秘密と、妻との衝撃の関係を描いたスリラー・サスペンス。観客がどんどん騙され、翻弄される展開はお見事の一言。エロ、グロなどポール・バーホーベンの「氷の微笑」に通ずるものもあると思います。
150
分の長尺ですが、見ていて長さを感じさせません。ただ、メディアの強大な影響力やボランティアの団結力など、アメリカならばのものでしょう。日本ではあそこまでは考えられません。唯一ツッコミを入れるとすれば、終盤の一展開。あれはアリバイがすぐ崩れてしまうのでは無いかな(どう言ってもネタバレになりそうなので、この程度で)。
夫役にベン・アフレック、妻役にロザムンド・パイク。本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたロザムンド・パイクの変幻自在ぶりの演技が素晴らしい。「タイタンの逆襲」で平凡な女王役だった彼女は、こんな演技力があったのですね。
「セブン」ほど後味は悪くなく(あくまでも比較して)、やはりデヴィッド・フィンチャーの代表傑作と言ってよいと思います。ただ、未婚ならば結婚をためらう人も出てくるかも。結婚って怖い、と。(^^)
(BD)
2015.04.22 セッション ★★★★★
4月17日にオープンした「TOHOシネマズ新宿」にて鑑賞。今年度アカデミー賞にて5部門にノミネートされ、助演男優賞を含む3部門でオスカーを獲得した作品です。弱冠28歳の監督、デイミアン・チャゼルが自身の体験に基づき映画化したことでも話題を呼びました。
要するに音楽版「スポ根」もの、と言ってよいと思います。ただし、J・K・シモンズ演ずる鬼教師が半端ではありません。パワハラ、セクハラ(男に対して)、モラハラなど何でもあり。ただし、鬼教師が一方的に生徒である主人公(マイルズ・テラー)を傷めつけるだけではない、というのが本作品の肝。びっくり仰天のラストが待っています。
鬼教師が、「一番悪い言葉は"Good Job"で、褒められたら人間は、成長しない」、「チャーリー・パーカーが伝説の人に成れたのは、下手くそな彼の演奏に対してバンドリーダーがシンバルを投げつけたからだ」という件(くだり)は大いに共感できます。ただし、生徒を罵倒するのに、彼らの父母の悪口を言うのはいけませんね。
シゴキ場面以外では、全編を通して心地良いジャズ音楽が聴けるので、ジャズ好き、音楽好きにはたまらない映画と言えます。エンドロールでも誰一人として席を立ちませんでした。
原題は「WHIPLASH」で、作品中で演奏される実際のジャズ音楽の曲名であると同時に、「ムチ打ち」という意味ですから内容にピッタリです。「セッション」というのは、本作とはニュアンスが異なり、訳の分からない邦題です。
(劇場)
2015.04.14 LIFE! ★★★★
「虹を掴む男」(1950年)のリメイクなのだそうな。私は未見ですが、コメディの名作とのこと。本作は「ナイト ミュージアム」シリーズなどのベン・スティラーが監督、主演したもの。
写真雑誌の「LIFE」の廃刊を背景としたヒューマン・ドラマと言ってよいでしょうか。主人公の妄想癖がとんでもないので、VFXもたっぷりで退屈しません。ただし、中盤以降、現実なのか妄想なのか区別しにくくなります(ひょっとしてあれらも妄想か?)。
「LIFE」と言えば、毎号の表紙が話題を呼んでいました。本作は、その最終号の表紙写真を巡る心温まるお話。サラリーマン(だった)なら、主人公の境遇に同調する何かがあるはず。婚活サイトのオーナーとの友情にも心が動かされます。グリーンランドやアイスランド、ヒマラヤなどの風景も美しく、素晴らしい。
それにしてもベン・スティラーも老けましたね。老けたと言えば、ショーン・ペンやシャーリー・マクレーンは更に・・・。ヒロインのクリスティン・ウィグは中々魅力的です。
原題は「THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY」ですが、少なくとも邦題のアルファベットを全角表示するのはやめて欲しかった。
(BS-HV)
2015.04.11 大統領の料理人 ★★★
フランスのミッテラン大統領の専属シェフとなった女性料理人の実話に基づくお話。華々しいサクセス・ストーリーかと思いきや、そうではありません。まあこの方が現実味があって良いのかも。
南極基地に
おける料理人の現代と、大統領の料理人時代とがカットバックで描写されます。ストーリー的には起承転結がある訳でもなく、まあ物足りないと言えば物足りない。ただ、栄誉ある大統領専属シェフであった女性が何故に南極基地の料理人として働いているのか、などという秘密(?)が明かされていくという楽しみ方は出来ます。
とにかく出て来る料理がどれもこれも美味しいそう。如何に食材に拘らなければ美味しい料理が出来ないか、などとも思い知らされます。まあ、とにかくお金と熱意をかけること、ですな。
女性シェフを演ずるのはカトリーヌ・フロ。フランスでは有名な女優ということですが、私は知りませんでした。まあ、美人と言えば美人かな。ミッテラン大統領が全く似ていないし、年寄り過ぎ。もう少し見栄えのする男優であれば、二人の間に何かあったか、などという勘ぐりも生まれてきそうです。
トリュフ、食べてみたい・・・(食したことがあるのかも知れませんが、とんと記憶にありませぬ)。
(BS-HV)
2015.04.08 エンダーのゲーム ★★★
原作は有名なベストセラーSF小説とのこと。実写化は無理と言われていたようですが、昨今のCG技術を用いれば何のその。
ディズニー映画でもあり、子供向けと思って(渋々)観ましたが、意外と深いストーリーでした。ただし、長い原作を2時間弱にまとめているので展開が早過ぎ・・・。エンダーという少年があっという間に無敵の戦闘員に成長していきます。
ラストの捻りが容易に予測がつくのが難点ですが、単なる宇宙戦争の勝ち負けで終わらず、エンダーの正義を尊重したエンディングは評価できると思います。まあ、次回作を期待せよ、的ではありますが。
VFX映像もかなりレベルが高いと思いました。ただ、敵のボスの造形はもう少し何とかならなかったものでしょうか?
エンダーを演ずるエイサ・バターフィールドは、「ヒューゴの不思議な発明」の男の子。演技力は向上しましたね。脇を固めるのは、ハリソン・フォード、ベン・キングズレー、ヴィオラ・デイヴィスという豪華な布陣。ただし、ハリソン・フォード演ずる大佐は人間的魅力がなく、損な役割でした。
(BS-HV)
2015.03.25 ソウルガールズ ★★★
タイトルなどから容易に想像がつくのは、黒人女性ボーカル・グループのサクセス・ストーリー。ただし、ここでの黒人とはオーストラリアの先住民であるアボリジニなのです。容赦無い人種差別と迫害に遭いながらも、肉食系アボリジニ女性がひたすら頑張って夢を叶えるというお話。THE SAPPHIRESと言う実在のグループです。
まずは、想像以上のアボリジニに対する迫害の酷さに驚かされます。アボリジニの勢力を減らすために、色の白い子供を別居させ白人として育てる、などということも時の政府は行ったのだそうな。酷いね。
実力が認められた彼女らは、慰問のためにベトナム戦争の前線地区まで行き、兵士たちを歌と踊りで勇気付けます。その後思いがけない戦禍から何とか逃れ、故郷に錦を飾り、めでたしめでたしと言う按配。
キャスティングは実際にアボリジニを用いたかどうかはよく分かりませんが、いずれも相当に歌は巧い。コーラスも見事です。ラストに実際のTHE SAPPHIRESのメンバの写真が示されますが、何と実際のメンバのほうが美形揃いだ・・・。
(BS-HV)
2015.03.20 アメリカン・スナイパー ★★★★☆
「ジャージー・ボーイズ」に続くクリント・イーストウッドの監督作品。御年84歳にしてよく頑張っていますね、この人は。今回はガラリと変わって、イラク戦線で活躍した伝説の狙撃手、クリス・カイルの回顧録を映画化したもの。
私の入院が長引いたため、ようやく観ることが出来ました。封切りから4週間近く経ち、しかも平日なのに結構席が埋まっていて、この作品の評判の高さを物語っているようです。
クリス・カイルの何がスゴイって、射殺した人間は160人以上で、約2km離れた距離でも確実に命中出来る狙撃の腕前。当然米国ではレジェンド扱い、敵国からは悪魔扱い。そんな彼が4回のイラク派遣を終えて、次第にPTSD(心的外傷後ストレス障害)に侵されていく様も描いていきます。そして、ラストの悲劇・・・。
「硫黄島からの手紙」や「父親たちの星条旗」と同様、クリント・イーストウッドの反戦のメッセージは強烈に伝わってきます。惜しいのは、手に汗を握る狙撃シーンと、帰還の際の家庭的な描写が繰り返されますが、やや繋ぎが悪くなっている感が否めないこと。
クリス・カイル役にブラッドリー・クーパー。凄くマッチョな体になっていて驚きますが、ラストのカイルの写真を見て納得。よく似せています。
最後の葬儀シーンで流れるのは懐かしい「夜空のトランペット」かと思いきや、違う曲のようです。でも、そっくりだ・・・。
エンド・ロールは全くの無音。かえって、心に染み入ります。
(劇場)
2015.03.16 グランド・ブダぺスト・ホテル ★★★
「第87回(2015年)アカデミー賞」で作品賞、監督賞を含む最多9部門にノミネートされ、美術賞、作曲賞など4部門の受賞を果たした作品。既に日本で公開済みであり、しかもいち早くBSで観ることが出来ました。
レイフ・ファインズ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ジュード・ロウ、ハーヴェイ・カイテル、ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイという贅沢で豪華な布陣にまずは驚かされます。ヨーロッパの一流ホテルである「グランド・ブダペスト・ホテル」を取り巻く殺人事件を扱ったミステリー・コメディ。
ふむ、映画全体の雰囲気としてはジャン=ピエール・ジュネ監督の世界に近いようなポップで奇妙な雰囲気があります。展開も驚くほど速く、私の頭ではついていくのが精一杯。ブラックなユーモアを盛り込んだ各シーンはそこそこ楽しめましたが、まあ、作品賞と監督賞を逃したのはいた仕方ないかな、と。
ロビーボーイの青年期がインド人っぽい風貌なのに、晩年はどうみても白人の顔立ちが違う配役にした、というのが混乱の元であり、最大のミスではないでしょうか?それにしてもジェフ・ゴールドブラムやティルダ・スウィントンは分からなかったなぁ・・・。特にティルダ・スウィントンは絶対分かりませんよ、あのメイクでは。
(BS-HV)
2015.02.19 リディック:ギャラクシー・バトル ★★★
「ピッチ・ブラック」、「リディック」シリーズの第3作目。第1作目は低予算のB級然としたSF作品でしたが、どうしてどうして中々見応えのある出来でした。第2作目もB級の雰囲気はありましたが、よりお金をかけていて楽しめる内容でした。さて、その第2作目から10年経った第3作目はどんなものでしょう。
うん、相変わらず主人公(ヴィン・ディーゼル)は銀河でも懸賞金の出ているお尋ね者。前半はVFXを駆使したクリーチャーとの壮絶な闘いで、免疫力を高めてサバイバルするなどの工夫も見られます。後半の展開もそれなりに見ものではありますが、最後がいけません。最強の主人公があれではダメでしょう。どうしてあんな設定にしてしまったのか、理解に苦しみます。一気に作品の価値を下げています。勿体無いなぁ・・・。
それにしてもヴィン・ディーゼルは変わりませんねぇ。まあ、白いカラーコンタクト(or CG)を付けたり、ゴーグルをしているシーンが多いので、余り表情はよく分からないのですが。
強くてセクシーな女兵士(ケイティー・サッコフ)がカッコいい。どこかで観た顔だと思って調べたら、「24」にCTU捜査官として出演していたのでした。あんなに大きかったかなぁ・・・。
(BS-HV)
2015.02.07 ダイアナ ★★★
ダイアナ元英国皇太子妃が、36歳で亡くなるまでの2年間を描いたもの。したがってチャールズ皇太子とは別居中で、2人の王子とも離れ離れの状態となっています。こういう伝記ものの興味は2つ。演ずる俳優が如何に本人に似ているか、もう一つは世間一般に知られていない事実が暴露されるか。
前者についてはナオミ・ワッツはそういう意味では及第でしょう。あの独特な上目遣いの表情はよく研究していると言えます。私には良く分かりませんが、メイクや衣装なども似ているのでしょう。ただし、シーンによってはナオミ・ワッツとしか見えないことも(当たり前ですが)。
後者については少なくとも私には知らないことばかりでした。本命の恋人はパキスタン系医師で、
一緒に事故死したアラブ系大富豪は当て馬だったこと。地雷除去、人道支援などの平和活動は、その医師に触発されたものであること。パパラッチに遭いながらもどこにでもあるようなラブ・ストーリーよろしく、恋人との逢瀬に腐心していたこと、など。そうは言ってもこれらが果たして真実なのかどうかは別問題。本国では本作は大方不評ですし、恋人だった医師は「映画は全くのウソ」と言っているらしい。
それにしても毎度ながら、こういう映画を許す(関知しない)英国王室の寛大さに驚きます。ウィリアム王子が実母のベッド・シーンを観てどう思うのでしょうか?(観るわけないか)。
(BS-HV)
2015.02.03 エクソダス:神と王 ★★★
リドリー・スコット監督作品は私にとってマスト・アイテム。とは言え、前作の「悪の法則」、前々作の「プロメテウス」がイマイチだったので、やや不安ではありました。
旧約聖書における「出エジプト記」を描いたもの。と言うとすぐにチャールトン・ヘストン主演の「十戒」を思い出しますが、1958年の制作でもありVFXなどはかなりチープなものでした。最新の高いCG技術をさぞや駆使したであろう本作、その映像だけでも期待されます。
ストーリーはほぼ神話どおりと思いますが、あちこちにスコット監督の思惑が現れている描き方です。例えば、モーゼが海を割ってヘブライ人の大群を率いる一番の見所シーンは、自然現象的に扱っています。なるほどね、という感じ。現れる神の姿にも意表を突かれます。「十の災い」も「十戒」とは異なり、CGを駆使したリアルな描写に終始しています(かなり気持ちが悪い)。
ただ、展開は何かテンポが悪くて中弛みしますが、何故なのでしょう。スペクタクル・シーンとそうでないシーンのバランスが悪いのかな・・・。2時間30分という長尺でもあり、やや退屈な部分があったことは否めません。
モーゼを演ずるのはクリスチャン・ベイル。後半から彼がチャールトン・ヘストンに見えて仕方がありませんでしたぞい。それにしてもジョエル・エドガートン扮するファラオの扱いには同情せざるを得ません。決して真からの悪人ではなく、モーゼに対しても好意的だったのですから・・・。正に神も仏もない、という状態で不憫。
まあ「十戒」のリメイク作品と言って良いと思いますが、やはり全体的にはオリジナルを越えられませんでしたね・・・。
(劇場)
2015.01.23 シン・シティ 復讐の女神 ★★★★
第1作目が2005年公開ですから、随分と時間をおいての続編です。全編モノクロで一部に色が付き(大昔のパートカラーとは違います)、バイオレンス、スプラッタ、エロチシズム、ユーモアの要素が複数のストリーに散りばめられているなど、基本的には前作を踏襲しています。登場人物も半分以上が前作と同じ。ただし、この間に2人も亡くなり、1人は代役を立てざるを得なかったようです。
まあ第2作目の宿命でしょうが、1作目を観た際のようなインパクトにはどうしても欠けてしまいます。そうは言ってもこれらの世界観を嫌いではない私としては、大いに楽しめました。
前作に続き、ミッキー・ローク、ジェシカ・アルバが主役級。前作で主役級ながらも死んでしまったブルース・ウィリスも、「シックス・センス」よろしく登場したりします。クライヴ・オーウェンがジョシュ・ブローリンに、デヴォン・青木が中国系女優に変わってしまったのは、かなり残念。何せあの殺戮マシーンのデヴォン・青木の存在感は凄かったですからねぇ。新登場は ジョセフ・ゴードン=レヴィットとエヴァ・グリーン。特にエヴァ・グリーンは凄いです。何せ殆ど衣服を身につけていないのですから。クリストファー・ロイドのちょい役は嬉しい。何とあのレディ・ガガ様もチョッピリ登場。う〜む、日頃サングラスをかけ、顔が見えないようにしているのは、むべなるかな・・・。
(劇場)
2015.01.22 ノア 約束の舟 ★★★★
「ノアの方舟」と言えば、その昔(高校時代!)観た「天地創造」の中での1エピソードをすぐに思い出します。壮大なスペクタクル映像に眼が釘付けになったことを今でも覚えています。で、本作。今頃、また「ノアの方舟」を取り上げたのは何か意図があるのでしょうか。
上映禁止の国々があったり、いくつかの酷評も眼にしていたのですが、私としては気になっていた作品でした。
なるほど、そう来ましたか。単に旧約聖書どおりに描いているのではなく、かなり捻った展開になっています。うん、こうするしか無いでしょうね。単に大洪水や巨大な方舟、それに乗る一つがいの動物らの大群を描くだけでは意味は無いでしょう。
神の啓示と家族愛の間(はざま)に苦悩するノアをラッセル・クロウが大熱演。妻役のジェニファー・コネリーも同様(それにしても老けました)。義娘役に「ハリー・ポッター」でお馴染みのエマ・ワトソン。お嬢様イメージを脱し、演技派女優であることを主張するかのような演技です。
巨大な方舟や大洪水の映像は、意外とインパクトを感じられませんでした。諸々のディザスター映画を見過ぎなのでしょうか。脱力したのは、あの堕天使の造形。もう少し何とかならなかったものでしょうか。彼らが登場すると途端に安っぽいアニメと化してしまいます。
ハリウッドが今「ノアの方舟」を撮るとこうなる。うん、大いにありと思います。
(BD)
2015.01.21 300〈スリーハンドレッド〉〜帝国の進撃〜 ★★★
前作「300〈スリーハンドレッド〉」は、スパルタ軍300人がペルシャ軍100万人と戦うという史実に沿った驚きのストーリーとスタイリッシュな映像で、大きなインパクトの有る作品でした。本作はその続編ではありますが、前作と時間が一部並行して描かれ、これまた少数のギリシャ(アテネ)軍が大きな兵力を持つペルシャ軍と壮絶な闘いを交わす、という類似の構図をとっています。
違うのは本作は全て海上で戦うということと、ギリシャ軍に強力(凶暴)な女戦士を配したこと、でしょうか。前作でのペルシャ軍の怪物、クセルクセス誕生の秘話も明かされます。まあ、相当ウソっぽいですがね。
つくづく、シリーズ物は難しいと思います。前作ではスタイリッシュと思ったスローモーションと血飛沫が、くどく思えたりしますもの。少数対多数の闘いという構図も、前作ほど新鮮味が感じられません。まあそういう意味からも、エヴァ・グリーン演ずる女戦士を配し、脱ぎっぷりの良いサービス・シーンも見せてくれたのだと思います。
また前作同様、首、腕、足が吹っ飛ぶというスプラッタ・シーンは相変わらずですので、苦手な方は要注意です。
一番の弱点は主役のサリヴァン・ステイプルトンが、前作のジェラルド・バトラーのような存在感が無かったことでしょう。相当なイケメンなのにね。ああ、それがいけなかったのかも。
(BD)
2015.01.12 ベイマックス ★★★
急遽保護者代理を頼まれて、こんなアニメを観るはめに・・・。CMなどでは「アナ雪」に続く長編ディズニーアニメとして華々しく宣伝されていました。巨大なマシュマロのような間抜けなロボットが主人公なのか・・・、と。
何故か最初に、本編とは全く関係ない短編アニメが上映されます。所謂癒やしアニメで、好きな人は好きなのでしょうね。
で、ようやく本編開始。サンフランシスコと東京を合体させたような街並みが出現します。その名も「サンフランソウキョウ」(笑)。そうか、これも国籍不明映画なのだな・・・。ただ、アニメ技術はスゴイ進歩をしていますね。キャラを除く背景などは、実写そのもの。キャラの動きもとても滑らかです。
お話としては要はアニメ版「アヴェンジャーズ」ですね。ベイマックスは、CPUチップの入れ替えで癒し系から戦闘ロボットに大変身。終盤には泣かせるシーンを持って来るという(あざとい)演出もあります。
エンドクレジットが始まって、席を立とうとする2人のチビを諭します。映画は最後まで席を立ってはいけない。ほら、最後におまけのシーンもあるだろう。
(劇場)
2015.01.05 ホビット 決戦のゆくえ ★★★★
2015年の一本目。年末に体調を崩していたので、遅すぎた劇場鑑賞でした。LOTRの前日譚にあたるトールキン三部作の最終章。前作が2014年の2月末封切りですから、この手のシリーズ物としてはテンポの速いリリースだと思います。
とは言え、やはり見始めの頃はやや混乱気味。見ているうちに次第に、ああそうだった、と思い出してきます。冒頭を賑わすのは前作では(ある意味で)主役級であったドラゴンがこれでもかと大暴れ。呆気無く殺られてしまいますけどね。相変わらず、声とモーションキャプ
チャーをベネディクト・カンバーバッチが担当していますが、意味がよく分かりません。
展開としては、当初利害対決していた4グループが、悪の権化であるオーク族の襲撃に対して団結して戦っていく、というもの。その中で、誰もが財宝に目が眩むという人間等の弱さが皮肉的に描かれます。種族を越えた恋もちょっぴり。
というようなストーリーはともかく、とにかく怒涛のような戦闘シーンに圧倒されまくれば元が取れる作品です(ホントか?)。
それにしても、オーク族側の巨大クリーチャーの弱さ加減に脱力。一瞬現れる巨大ミミズは全く持って意味不明。
ラストがLOTRの第一作目(2002年)の冒頭につながるシーンには胸が熱くなりました。シリーズ物の良いところですねぇ、こういうの。
(劇場)
2014.12.16 2ガンズ ★★★
デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの共演作。黒人と白人のバディ・ムービーと言うべきなのでしょうか。
作品画像からは単純なガン・アクションものかと思いきや、原作があるだけあって色々捻りのあるストーリー展開になっています。40億円もの現金は、CIA、海軍、DEA(麻薬取締局)、麻薬マフィアのうち、一体誰のものかという謎解き要素もあり。ただし、後半はかなりグチャグチャになりますので、見ていて疲れます。
また、何かしら薄っぺらな感じが付きまとうのはどうしてでしょう?デンゼル・ワシントンが不真面目な悪役だというのが、やはり似つかわしくないからかなぁ。彼の恋人役も役割がよく分からないし・・・。
ガン・アクション・シーンはそれなりに見せてはくれますが、まあ相棒をあんなに簡単に撃ってはいけませんねぇ。それにしても、ロシアン・ルーレットは怖い・・・。
(BS-HV)
2014.12.02 インターステラー ★★★★☆
クリストファー・ノーラン監督の最高傑作などと謳われているSF超大作。本当は「フューリー」より先に見たかったのですが、タイミングが合いませんでした。
題材としては「エリジウム」などと同様に、滅び行く地球からどうやって人類を脱出させ生存させ続けるか、というありがちなお話。他と違うのは、著名な物理学者の理論に基いているものとのこと。相対性理論を始め、ブラックホールやワームホール理論が勉強できる映画です(本当に理解出来るかどうかは、別)。「タイトル(「INTERSTELLAR」)は、惑星から惑星へ、というような意味らしい。
うん、SFの面白さが凝縮された名作と思います。SF好きなら絶対ハマります。SF嫌いであれば、有り得ん、ご都合主義もいいところ、などと評すでしょう。私には、やや分かりにくところはあったものの全く退屈しない170分でした。いかにもハリウッド的な終わり方にも胸が詰まりました。いいじゃあないですか、あれで・・・(本棚の後ろの話ね)。
「2001年宇宙の旅」へのオマージュということですが、あれほど難解ではありません。要は、「父と娘の絆」のお話、と言ったらザックリ言い過ぎか?(「父と息子」にはならないのですよね)。それにしてもHALに相当するようなロボットの造形が奇抜でビックリ。
主演はマシュー・マコノヒー。BS-HVにて「二人の刑事」というTVドラマを見ていますが、本当にこの人は良いですね。とびきりハンサムという訳ではないのですが、どこか味がある顔つきをしています。共演はアン・ハサウェイ、マイケル・ケイン、ジェシカ・チャステイン。何とマット・デイモンが悪役で登場しますが、イメージが違うな〜。
(劇場)
2014.11.28 フューリー ★★★★
ブラピ主演の最新作。10年に1度の戦争映画、などと宣伝されています。てなわけで、いそいそと封切り当日に映画館に。
第二次大戦末期のヨーロッパ戦線において、たった1台の戦車で300人ものナチス・ドイツの大軍と
戦った5人の米兵の物語。テルモピュライの戦いを扱った「300(スリー・ハンドレッド)」が、300人対100万人ですから、それには遠く及びませんが、こちらも壮絶さでは負けていません。実話に基づく、とありますが、幾つかの実話エピソードを参考にしたフィクションというのが正しいようです(多分)。
「24(TWENTY FOUR)」よろしく、丸1日の出来事を描いたものですが、徹底したリアリズムを追求しており、正に自分がその場にいるような錯覚に陥ります。「プライベート・ライアン」の冒頭の部分のような臨場感。用いた戦車(ティーガー)は本物なのだとか。ミリタリー・オタクにはたまらないでしょうね。ただ、レーザービームのような弾道は、本当にあんなものなのでしょうか?(綺麗すぎる)
本作でも戦争というものの苛酷さ、残酷さをイヤというほど見せつけられます。戦闘経験の全くない新兵が、自分の気持ちとは裏腹に次第に殺人マシンに化していったり、など。反戦のメッセージは強烈です。
最後のドイツ兵の取った行動がやや不可解。まさか、制作側がドイツに対しておもねた訳ではないでしょうね?
とっちゃん坊やのイメージだったシャイア・ラブーフが、とても落ち着いた良い味を出しています。マイケル・ペーニャも相変わらず最強の脇役になっていますし。製作総指揮も兼ねるブラピは、ここでも美味しい役どころを演じています(ズルイね)。
今年度アカデミー賞最有力とも言われていますが、果たしてどうなのでしょう?
(劇場)
2014.11.21 47 RONIN ★
タイトルで分かるように、忠臣蔵をモチーフにしたハリウッド作品。これが見てビックリのトンデモ映画なのです。
まずは主人公のキアヌ・リーヴス以外は、真田広之、浅野忠信、柴咲コウ、菊池凛子など殆ど日本人。であるにも係わらず、全員が英語を話します。まあ、本国の人は吹き替え版を見ていると思っているのでしょうね。しかも、例のごとく日本の風景描写が奇妙奇天烈だったり、人物のいでたちが殆ど中国的(いや、韓国かな?)であったり・・・。加えて、LOTRの如く珍妙なクリーチャーが登場したり。かくして本作は、無国籍映画と相成るのでした。
ストーリーはほぼ忠臣蔵の展開に則っており分かり易いですし、武士道もそれなりに描写されてはいます。しかし、武士らがまるで始皇帝のような格好の徳川綱吉に、「Your Highness!」と話しかけるのは、相当違和感がありますぞい。
監督を始め、スタッフには日本人は一人もいませんが、真田広之など日本の俳優達は何の申し立てもしなかったのでしょうかね。スタッフのご機嫌を損ねないように、ハリウッド映画に出演出来さえすればいいや、だとしたら残念なことです。
(BS-HV)
2014.11.18 善き人のためのソナタ ★★★★☆
2007年のアカデミー賞外国映画賞に輝いたドイツ映画。評判が良かったので見たかったのですが、見逃していました。
ベルリンの壁崩壊前の東ドイツでの秘密警察「シュタージ」による監視がテーマ。シュタージに所属する職務に忠実な主人公が、劇作家を監視しているうちに人生観が変わってしまっていく、というお話。
ドイツ映画は「ヒトラーの贋札」など、時々ハッとするような良い映画に出くわしますが、これもそのうちの一つですね。中盤以降は次第にサスペンスフルな展開にもなり、ラストでは心打たれます。
ただ、あれほど冷酷無比な男が次第に心変わりしていく、という動機の説明が少し足りないような気がしました。サービス・ショットも幾つかありますが、主人公のアレは果たして必要だったのでしょうか?
主人公を演ずるウルリッヒ・ミューエは、実際に旧東ドイツ時代にシュタージの監視下に置かれていたらしい。その時のエピソードが幾つか本作にも取り上げられているようです。落ち着いた良い演技をしています。彼はアカデミー賞授賞式に出席して間もなく病死したのだとか・・・。
監視される劇作家役のセバスチャン・コッホは、どこかで見たことのある顔だと思っていたら、「ダイ・ハード/ラスト・デイ」でロシアの政治家を演じていた人でした。
邦題は主人公がヘッドフォンで監視をしている際に流れてきたピアノ曲。う〜む、冷徹な男の心を変える音楽はやはり素晴らしい。
(BS-HV)
2014.11.15 モネ・ゲーム ★★
1966年のマイケル・ケイン主演の「泥棒貴族」のリメイクとのこと。脚本がコーエン兄弟というのも話題性はあり。画家のモネの贋作による詐欺事件を描いたドタバタ・コメディ。
う〜む、題材は面白いのに、少し、いや大いに羽目を外し過ぎです。あのホテルでの主人公にまつわる顛末は、もう少し現実味のある展開にして欲しい。本国ではあの手のものが受けるのですかね。文化の違いだな。オチが途中で分かってしまうというのも、この類の映画としては失敗でしょう。しかもその過程がかなり省略されてしまっていて、ホントにあんなことが出来たのかな?などと。
ハリウッド映画での日本人はただでさえ酷く描写されるのに、ここに出てくる日本人は酷過ぎですね。流石にここまで馬鹿にされると見ていて良い気持ちはしません。日本人はあんな曲をカラオケでは唄わないし・・・。あのセキュリティとその始末も漫画そのもの。そこまでレベルを落とさなくても良いのにね。
出演は、コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、スタンリー・トゥッチという顔ぶれ。ディアスのハジケぶりは相変わらずですし、余り老けていないのが不思議。他の名優3人の演技も安心して見ていられます。それだけが救いだった・・・。
(BS-HV)
2014.11.11 25年目の弦楽四重奏 ★★★
「ブラス!」、「カルテット!」、「アンコール!!」などに代表されるいわゆる音楽ものは、「あるグループがコンテスト、コンサートを目指す」→「阻害要因が生じて実行困難に陥る」→「それらを何らかの方法により克服し、最後は成功する」といった展開を踏むのが王道です。本作も基本的にそれに沿っていますが、終盤に少し捻りを加えているのが特徴でしょうか。
弦楽四重奏団のチェリストの突然の引退宣言を契機に、4人の人間関係に思いがけなく亀裂が生じていく。さて、結成25年目のリサイタルは開催できるのか?というお話。
チェリストの絶望、諦観、安らぎという1本の主軸に、他の3人のトラブルが絡みます。このトラブルがなぁ・・・。クラシック音楽をテーマにした映画なのに、急に下世話な、見方によってはコメディ的な展開に陥り、やや脱力させられます。思いがけないサービス・ショットもあったり。
腑に落ちないのは、あのようなトラブルを如何に収束させて演奏会開催に至ったか、というプロットが省略されてしまっていること。え?どうやって?、という感じです。
孤高のチェリストを演ずるのは、クリストファー・ウォーケン。奇怪な役柄のイメージの強い彼ですが、最近はすっかり老成したという感じですね。素晴らしい演技だと思います。第二バイオリニストを演ずるのは、本作の撮影からわずかな期間で急死したフィリップ・シーモア・ホフマン。名優でした。勿体無いですねぇ。
ただ、ボーカルならともかく、クラシック弦楽器の演奏はこれら俳優が出来るわけもなく、運指の練習努力は垣間見られるものの、アテレコ演奏を聴かされるのは、ちと辛いものがあります。
(BS-HV)
2014.11.01 エクスペンダブルズ3 ワールドミッション ★★★★☆
シルヴェスター・スタローンが呼びかけて出来たビックリするようなオールスター映画の3作目。オールスターと言っても毎回少しづつ出演者が変わります。今回の目玉は、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、アントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプスの4人でしょう。代わりに大物としては、ブルース・ウィリスが出演しませんでしたが、何でもギャラで揉めたらしい・・・。ギャラなんてどうでも良いでしょうにね。
眼を見張るようなツカミから入るという映画の王道。好きですね、こういうの。その後の展開も若手のグループを絡ませるなど、脚本も少しは工夫しています。毎度の半端ない火薬の量を使ったドンパチは、本作では益々エスカレートしています。まあ、見応えがあるというか、辟易するというか・・・。それでも、今回の展開はよく出来た方ではないでしょうか?原案はスターローンとのこと。エライ!!まあ、126分は少し長い気がしますが。
毎度思うのですが、かつてはピンで主演がはれた俳優が同時に大挙して一画面に映るというのは、何か不思議な感覚に囚われます。やはり、スターローンの求心力がモノを言っているのでしょう。
若手メンバーとして紅一点のロンダ・ラウジー。何でも総合格闘家とのこと。もう少し華のある女優でも良かったかも。何が一番ショックだったかというと、ハリソン・フォードの老けっぷり。泣きたくなりました。アーノルド・シュワルツェネッガーも老いてはいましたが、どこかカッコいいのが不思議。バンデラスのピエロのようなキャラは、違和感あり過ぎ・・・。
(劇場)
2014.10.22 グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 ★★★
ハリウッドの大スターから小国のモナコ公妃となって、世間をあっと驚かせたグレース・ケリーの伝記物語。演ずるのは、ニコール・キッドマン。うん、この人しかいないのかもね。ただし、美貌やスタイルは遜色ないにしても、気品という点では少し負けるかな。目付きも少々きつ過ぎですが、これはまあ苦悩を背負う演技のためかなと・・・。
お話としては、モナコとフランスとの政治的対立による国家の危機に際し、彼女が如何なる行動とったか、というのがメイン。陳腐なサブタイトルどおりです。後半は意外にもサスペンスフルな展開となりますが、まあどこまでが実話なのでしょう。実子である現モナコ大公や公女は、この映画を「必要以上に美化され、史実に対して不正確」と批判しているとのことですので、まあフィクションと考えた方が良さそうです。
それにしてもキッドマンの顔の大アップが度々映されますが、まあこの美貌を見てくれ、ということなのでしょうね。御年47歳。たいしたものです。夫のレーニエ3世を演ずるのはティム・ロス。カンヌ映画祭で出会い、お互い恋に落ちたという割には少し見栄えがしないなぁ。他にも、ヒッチコック、マリア・カラス、シャルル・ド・ゴールなどの著名人が登場しますが、それぞれに良く似ていて、面白い・・・。まあ、カラスの歌(「私のお父さん」by プッチーニ)はアテレコでしょうが。
エンド・ロールの前に「グレースは生涯、ハリウッドには戻らなかった」と出ますが、そうであれば52歳で悲劇的な交通事故死を遂げた、ということにも触れる必要があったのではないかな?
大スクリーンで前方の席だったので、画面が余りクリアではなかった。それとも、眼の老化のせい・・・?
(劇場)
2014.10.05 ローン・レンジャー ★★★
小学生の頃、同級生が「ローン・レンジャーのテーマ曲が、音楽室のレコードにあるぞ」と言って、私は初めてその曲がロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」であることを知り、大変驚いたことを今でも覚えています。あんなアクションTV映画にピッタリのカッコいい曲が、クラシックなのか・・・、と。他にはローン・レンジャーと言えば、「ハイヨー、シルバー」と「キモサべ」でしょうか。とても懐かしく思い出されます。
映画化作品としては、本作は4作目とのこと。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの製作・監督作品で、ここでもジョニー・デップが出演しています。ジョニデはローン・レンジャーではなく、インディアンのトント役なのですが、主役は完全に彼。しかも、キャラとしても殆ど「パイレーツ」のジャック・スパロウそのもののオトボケぶり。少し鼻についたりして・・・。
序盤と終盤のアクションは見応えありますが、中盤はややだれ気味。散漫な印象は否めないし、150分というのは長過ぎですね。それでも我々世代には、「ウィリアム・テル序曲」、「ハイヨー・シルバー」、「キモサべ」、3セットの大サービス付きで、嬉しい限り。
ヘレナ・ボナム=カーターが出演していますが、どうでもよい役でした。悪役はメイクがきつくてよく分かりませんでしたが、やはりウィリアム・フィクナーでした。名優ですね、彼は。
(BS-HV)
2014.10.02 ジャージー・ボーイズ ★★★★★
往年のヒット・ポップス、「シェリー」と言えば、私なんぞは九重佑三子の歌声がすぐ浮かぶのですが、本作はそのオリジナル・ヒットを飛ばしたザ・フォー・シーズンズの栄光と挫折を描いたもの。大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカルを題材に、巨匠クリント・イーストウッドが監督した作品です。彼の監督作品は私にとってはマスト・アイテムなので、いそいそといつもの劇場へ。おお、珍しくもそれらしき年配の方々で比較的席は埋まっているではありませんか。
本作はミュージカル映画ではありませんが、キレの良い振り付けを伴ったパフォーマンス・シーンが多く、またカーテンコールを思わせるラストの出演者総出のシーンなどもあり、限りなくミュージカルに近いと言えます。メンバー4人のうちリード・ボーカルのフランキー・ヴァリ役(ジョン・ロイド・ヤング)を含む3人が、オリジナル・ミュージカル舞台経験者なのだそうな。しかもイーストウッドの指示で、アフレコではなくそのシーンで実際に歌っているのだとか。
ニュー・ジャージーの貧困地区に育ったイタリア系少年達が、努力と運の良さでスターダムにのし上がり、その後挫折して行くというのはありがちな展開ですが、音楽好きのイーストウッドらしい演出が随所に施されており、素晴らしいとしか言い様がありません。私なんぞは「シェリー」や「君の瞳に恋してる」の歌唱シーンでは、鳥肌が立ちましたもの。
オリジナル・バージョンの「シェリー」等が流れたこともあり、エンド・クレジットが終わるまで誰一人として席を立ちませんでした。こんなことは私の劇場観賞経験では恐らく初めて。本作品の素晴らしさの証だと思います。
イーストウッドは「この映画を観終わった人々は、きっと歌を口ずさみながら映画館から出てくる」と述べたそうですが、正に私はそのとおりなのでした。
T.Iさん、これは必見ですよ。
(劇場)
2014.09.22 猿の惑星:新世紀(ライジング) ★★★★
1968年公開のチャールトン・へストン主演の「猿の惑星」は、誰が何と言おうとSF映画の金字塔だと思います(誰も何とも言わないか)。その所謂ビギニング映画が2011年の「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」で、如何にして「猿の世界」が始まったのかが明かされた興味深い作品でした。本作はその続編です。
兎に角、猿のボスの「シーザー」の顔つきと、リーダーとしての存在感が半端ありません。惚れ惚れするような良い男、いや良い猿です。これは前作同様、アンディ・サーキスがモーション・キャプチャ演技をしたもの。どれくらい忠実にCG化しているのか分かりませんが、これはアカデミー賞ものではないでしょうか。何せエンド・ロールのキャストの最初がアンディ・サーキスなのですから。
ストーリー展開としては、お互いの共存と敵対の意思がステレオタイプに描かれますが、猿の個々の表情と、大群の彼らのアクションを描くVFXがそれらを補い、退屈させません。ただ、中盤に少しテンポが悪くなり、やや弛れるかも。それにしても本作の反戦のメッセージは強烈です。観ながら何やら色々考えさせられました。どう考えたかと聞かれても困りますが・・・。
ただ、オリジナルの「猿の惑星」に近づく進展が、本作は乏しいと思います。少しそれが不満。まあ、制作側はこのビギニング・シリーズで引っ張りたいのでしょうが。
本作の最大の見どころは、シーザーと人間側の主人公が、お互いの額を付けて友情の証を確認するシーンでしょう。ジ〜ン・・・。
(劇場)
2014.09.17 悪の法則 ★★
マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピット、ハビエル・バルデム、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルスという何とも豪華な布陣で、監督がリドリー・スコット、更には脚本が「ノー・カントリー」の原作者のコーマック・マッカーシーということで、期待度は最高です。しかし、世間の評判は芳しくない。難解だとか、リドリー・スコットも地に落ちたとか・・・。
なるほど、見事に難解です。主役の弁護士(ファスベンダー)がお金のために悪の道に突き進むというクライム・サスペンスですが、とにかく上記の配役5人の位置関係がまるで分かりません。肝心の「悪」も麻薬絡みの横取りとその報復ということは理解出来ますが、誰がどう、それらに関わっているのか、何の説明も無し。いよいよ私の頭も回らなくなったかと、不安にもなりました。
5人のうち1人を除いて奈落の底に落ちていくということは何となく分かり、前半のダラダラした会話が大きな伏線で、後半ではそれらが回収されていく、というところはまあ面白いと言えるでしょう。
それにしてもR-15指定であるだけあって、エロとグロ(スプラッター)は相当なもの。ディアスもよくあそこまでやりますな。大物があんな殺され方をするのも流石に後味が悪い。
夕飯を食べてからの鑑賞で、良かった・・・。
(BS-HV)
2014.09.10 フライト・ゲーム ★★★
頑張りジジイのうちの一人、リーアム・ニーソンのサスペンス・アクション。因みに他の頑張りジジイは、シュワルツェネッガー、スターローン、ウィリスなど(勝手な私の決め付け)。ニーソン扮する航空保安官が、乗り合わせた航空機内で謎の殺人鬼と渡り合うというお話。
やあ、これは古典的な密室殺人の謎解きですな。乗務員を含め乗り合わせた全員が怪しいという中での犯人探し。航空機内ということと、スマホなどIT機器を駆使するなどが目新しいかも。
アイディアは良いと思いますが、どうも要所要所に無理がありますね。あの状況でスマホ操作者が本当に分からないかな?幾つかの伏線も回収されていないような気がします。中盤ダラつくのもよろしくない。犯人の動機もイマイチ弱いような気がしますし。とは言え、まあスリリングな展開に終始
するので、退屈はしません。何せ原題が「NON-STOP」という位ですから。
それにしても物静かなイメージのニーソンは、「96時間」シリーズ同様ここでも頑張っていますね。御年62歳です。ジュリアン・ムーアを久しぶりに観ることが出来たのは嬉しい限り。
池袋HUMAXシネマズで初めて鑑賞。折しもレディス・デーで入口に沢山女性が並んでいましたが、本作は空いていました。まあ、女性向きの映画ではありませんものね。
(劇場)
2014.09.08 エリジウム ★★★★
ニール・ブロンカンプ監督の「第9地区」は、ユニークで秀逸なSF映画でした。本作は同監督作品であり、かつ主演がマット・デイモンということもあり、大いに期待をしての鑑賞です。
荒廃した地球から逃れて理想郷であるスペース・コロニー(「エリジウム」)に住んでいる富裕層と、地球に留まっている貧困層を巡るお話、ということでSF作品にはありがちな設定。しかしそのストーリー展開は考え尽くされ、見応えがあるものになっているのは流石と思います。
ただし、科学的な考証はかなり怪しい。というか、デタラメに近いかな・・・。あんな地球に近いところのオープン・スペースに人類が生活出来るのか?とか、放射線をまともに浴びたらあんなに生きられないでしょう、とか、あんなに巨大なシステムのリブートはあれほど簡単には出来ないでしょう、とか。それにしてもあのような医療ポッドがあれば良いですね。まあ、人口が膨らんで大変でしょうが・・・。
マット・デイモンは何故か丸刈りで登場して、後半は殆どボーン状態。少年時代の子役がマット・デイモンに酷似していたのは微笑ましかった。今や御大と言って良いジョディ・フォスターは流石の貫禄。それにしても体型も含めてオバサンと化したものです。「第9地区」で主人公を張ったシャールト・コプリーも登場。前作と比べて圧倒的な存在感です。
まあ、突っ込みどころは多々あるものの、VFXもそれなりに凝っているし、展開もスピーディであり、これまた秀逸なSF作品に仕上がっていると思います。
(BS-HV)
2014.08.29 LUCY/ルーシー ★★
「ニキータ」、「ジャンヌ・ダルク」、「フィフス・エレメント」など、ヒロインものが得意な(好きな)リュック・ベッソンの監督作品。いつも行くシネコンへ。封切り日にも関わらず、相変わらずガラガラ。潰れないでくれよ〜。
特殊な薬物の影響で、平凡で普通の女の脳がドンドン覚醒していき、超人的な能力を得て大暴れする、というお話。う〜ん、発想は良いけど余りにも荒唐無稽ですねぇ。ま、有り体に言えば大法螺の吹き放題・・・。リュック・ベッソンが悪乗りしているだけですな。序盤はまあまあ許せますが、次第に全能の神みたいに変貌されると、かなり脱力してしまいます。
台湾が舞台で最後まで台湾人が執拗に絡む、というのもどうかなぁ。薬物の正体や目的もイマイチはっきりしないし・・・。人が簡単に死んでしまうのもよろしくない。あのカーチェイスで一体何人の一般人が死んだことでしょう。
ヒロインがスカーレット・ヨハンソンでなかったら、おそらく見ていなかったと思います。ヨハンソンはストーリーに関係なく、やはり素晴らしい(何が?)。それにしても今頃は第一子を出産している頃なので、本作の撮影は恐らく1年前位なのでしょうね。ま、私としては彼女が早く元の体型に戻ることを祈るばかりです。
(劇場)
【追記】スカーレット・ヨハンソンは9月4日に女児を出産。命名、ローズ。
2014.08.26 カルテット!人生のオペラハウス ★★★
本作もイギリス映画で音楽がテーマ。少し前に観た「アンコール!!」とカブっていそうな気が・・・。監督は何とあのダスティン・ホフマンです。
観終えてこの老人ホームは音楽達者なジジババばっかりだなぁと思っていたら、冒頭のテロップを見逃していたのでした。「ビーチャム・ハウス 引退した音楽家のホーム」と表示されていました。イギリスにはそんな特殊な老人ホームがあるのですねぇ。
主役級の俳優を除いて、どうやら過去に名声を端た著名な音楽家が沢山出ているらしい。エンド・クレジットで最盛期の写真と共に紹介されていました。まあ当然ですが、誰一人として私には分からず・・・。
経済的に行き詰まっているそのホームを再建するには、ホーム主催のコンサートを成功させなければならない。そこへかつてオペラ界のスーパースター(マギー・スミス)が入居することになるも、彼女は歌うことを頑なに拒否する。何とか彼女を引き入れて、カルテットで歌うことを画策する周りのメンバー達だが・・・、というお話。
特に興味深い展開がある訳ではありませんが、最後は当然コンサートが成功し、ホームは継続されるというハッピー・エンドで閉め繰られます。何に感激したかというと、バイオリン、チェロ、ピアノ、トランペットを奏でる老プレイヤー達の名演奏。流石です。あてレコではありませんものね。俳優陣では、まるで少女のような(74歳の)ポーリーン・コリンズ、Hでオトボケのビリー・コノリーが印象的。
(BS-HV)
2014.08.16 アナと雪の女王 ★★★
親の遺言で(?)アニメと邦画は観ないことにしているのですが、「アナ雪」の余りの評判につい観てしまうという罪を冒しました。しかもDVDで、しかも日本語吹き替えで・・・。
DVDでもアップコンで観ると、老眼のせいもありそれなりにきれいに見えます。もちろん元々ビジュアル技術が凄いということもありますが。吹き替えなので、あのジャギーな字幕を見なくても済みますし。
ミュージカルと思っていましたが、セリフも結構多いのですね。得心がいかないのは、エルサが作り出した巨大な雪のお化けが、何故アナ達を苦しめるのか、ということ。まあ、どうでもよいですがね。
とにかく私にとっての見どころは、皆さんと同様にエルサ(松たか子)が歌う「レリゴ」のシーン。歌の終盤で、バルコニーに進む際のモンロー・ウォークがとても魅力的。ディズニー・アニメでもこういう大人向けのサービスをするというのは、流石だと思います(やや意味不明)。
エンディングでの歌もパワーアップしていて良かったですね。わたしゃ、「レリゴ」のシーンとこのエンディングだけは原語で聴き直しました。松たか子も中々巧いけど、やはりイディナ・メンゼルの歌はよりエモーショナルで、圧倒されます。
邦題は正統的というかありきたりですが、原題の「FROZEN」というのは何かしらとてもカッコよく聞こえます。
(DVD)
2014.08.15 アンコール!! ★★★★
イギリス映画で音楽がテーマと言うと、「フル・モンティ」、「ブラス!」、「リトル・ダンサー」などを思い出しますが、本作も何となくそれらに近いような雰囲気です。妻が所属するコーラス・グループに反感を覚えている頑固者の老人が、妻の死とともに歌を歌うことで再生していく、と言うベタなストーリー。地味〜ですが、静かに心に染み入る作品と言えます。
主人公役のテレン・スタンプはもちろん、妻役のヴァネッサ・レッドグレーヴがとても良い味を出しています。この二人の名演で成り立っている映画。後はコーラス・グループを率いるジェマ・アータートンが爽やかで、適役。
それにしても「眠りつく君に」を歌うテレン・スタンプが上手いことに驚きました。ま、ヘタウマと言った方が良いかも知れませんが。ヴァネッサ・レッドグレーヴが歌う「トゥルー・カラーズ」も負けず劣らずとても良い。彼女はかなり上手いと思います。しかも、両曲とも歌詞が泣けるのです。
老人コーラス・グループが歌うロックやポップスも良いですし、ソロのバックコーラスはとても上手い。多分、これはアテレコですね。
VFXまみれの作品の合間に、このような素朴な作品を観るのも映画の醍醐味です。ただ、原題は「SONG FOR MARION」で、マリオンは妻の名前。それからすると、邦題は内容的には少しそぐわないと思うけどな・・・。
(BS-HV)
2014.08.10 ホワイトハウス・ダウン ★★★★☆
これまた「エンド・オブ・ホワイトハウス」とほぼ同時期に公開された、ホワイトハウスの陥落もの。偶然なのでしょうか?
やあ、これはかなり楽しめました。「エンド〜」はシリアスな展開に終始しましたが、こちらはコメディ要素もあり、脚本の巧さもあってスケールの大きいエンタメ作品に仕上がっています。VFXを駆使したホワイトハウスの破壊映像は、それだと分かっていてもかなりインパクトがあります。ただ、これまたどうしても「ダイハード」的であり、「24」的になってしまうのは止むを得ないところでしょう。。
襲う側のボスがかなり強引な設定となっていますが、こうでもしなければこの手の映画は成立しません。主人公(チャニング・テイタム)の娘(ジョーイ・キング)が良くも悪くも展開のキー人物になる、というよくある手法が使われていますが、本作では多いにそれが活きています。娘に関わる冒頭の伏線も見事に回収されていますし。都合の良過ぎる展開は多々ありますが、大団円では巧くまとめられています。
チャニング・テイタムは余り個性的ではありませんし、大物感が漂わないところは残念。大統領役はジェイミー・フォックスですが、これまた貫録に欠けます。「24」での黒人大統領には及びません。主人公を遠隔でサポートする警護官にマギー・ギレンホール。彼女も老けたものです。老けたと言えばジェームズ・ウッズですが、この人を登場させた時点で主要な役割となるということがバレてしまうのは致し方ありません。この人の動機もかなり強引ですがね。ジョーイ・キングが登場した時、クロエ・グレース・モレッツが若返ったのかと思いました。またまた彼女もこれからブレイクするのでしょう。官邸内ツアーの説明者役がとても良い味を出していました。いかにもアメリカ的ですね。
私としては劇場鑑賞しなかったことを後悔する1本でした。
(BS-HV)
2014.07.31 GODZILLA ゴジラ ★★
道中、熱中症になってしまうのではないかという恐怖を感じながら、チャリにていつものシネコンへ。
1998年のハリウッド作品「ゴジラ GODZILLA」は、日本オリジナルとは似ても似つかぬトカゲのような造形だったこともあり、ファンからは酷評されました。本作はオリジナルのリスペクト作品という触れ込みで、全米No.1の興行成績となったそうですが、いかがな仕上がりでしょう?
・・・え〜? 予告CMではそんなものは一切出ていませんでしたね。これならこれまでの日本作品に山のようにあった「ゴジラVS***」ですね。最初に登場するのがカマキリの親分のような***で、脱力必至。しかもオス、メスの2匹という念の入れよう。肝心のゴジラ様は勿体をつけて中々登場しません。いいのかな、これで?
***が地球上で繁殖すれば、人類は滅亡。そこへ「地球の調和を保つ」という名目(ホントかな?)で、人類の味方(?)のゴジラ様がその***と闘い、人類がオロオロしながらそれを見守る、という按配です。
シーンのつなぎが強引だったり、ぶつ切りだったり。***の殺られ方もあっけない。それではあれば最初から火を吐けよ、ゴジラ様ぁ。要するに***の登場で、ゴジラ様の存在感が薄れてしまっています。ファンであれば、ゴジラ様一人、いや一匹(一頭?)をじっくり見たいのではないでしょうか?
造形は確かにオリジナルに近いですし、渡辺謙演
ずる博士が「We called him ゴジラ.」(ゴッズィラではなく)と発音するのはポイント高しでしょう。しかし、オリジナルのような反核のメッセージや、巨大怪獣の悲哀などというものは殆ど感じられません。お約束のサイド・ストーリー(家族愛)も退屈。加えて、必ず富士山がウソっぽく背景に入るという日本の描写や、変な日本語を話す日本人を登場させるのは、そろそろ止めて欲しい・・・。
(劇場)
|