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2012.12.08 007 スカイフォール ★★★☆

 高校時代に授業を抜け出して007を観たという、真面目さを自認していた私にとっては嘘のような記憶が今だにあります。それほど初代ボンドのショーン・コネリー007シリーズは魅力的な映画でした。本作は007シリーズ誕生から50年通算23作目の記念すべき作品とのこと。ダニエル・クレイグのボンドとしては3作目となります。評論家の評判もよろしいようで、それならばと劇場へ。
 冒頭のつかみは凄い。何とイスタンブールのグラン・バザールの(ボロい)屋根の上をバイクで疾走します。よく許されたね、あんなことが。続く列車の屋根の上での格闘もこれまた凄まじい。
 そしてある衝撃的なことが起きて、オープニング・タイトルが始まります。これが初期の007シリーズの雰囲気にそっくりで、嬉しくも懐かしい。大いに期待させられます。ところが、途中で、ん・・・?
 007シリーズの敵と云えば、大抵が世界征服を狙う大組織のボスのはず。それが私怨による一人の元エージェントとは。スケール感がまるで小さい。使われる火器は半端無く多く、列車やヘリコプターが大轟音とともに落ちて来ても、肝心の悪玉の動機がアレではなぁ・・・。まあ、確かにハビエル・バルデムは迫力ありましたけどね(特に入れ歯を取った時の恐ろしい面相)。
 「M」(ジュディ・デンチ)がああなる必然性が無いでしょう。それに、ダニエル・クレイグにショーン・コネリーのようなダンディズムを求めるのは無理としても、せめてボンド・ガール(ベレニス・マーロウ)をもっと大事に扱って貰えませんかね。あれじゃ余りにも可哀想・・・。
 本作では言いましたよ、「Bond、James Bond」と。それに終盤挿入される例の「ボンドのテーマ」がオリジナル編曲のままで、これはとても嬉しかった。
(劇場)

2012.11.29 ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 ★★★☆

 「Mr.ビーン」ことローワン・アトキンソン英国諜報員として活躍するジョニー・イングリッシュ・シリーズの第2弾。要するに「007シリーズ」の大パロディ映画ですな。何と第1作から8年も経っています。「Mr.ビーン」のイメージが強過ぎてイマイチ座りが悪かった印象の前作でしたが、本作ではどうなんでしょう。
 おお、冒頭のチベットでの修行中の長髪、髭面のジョニー・イングリッシュ。小顔で中々引き締まって見えます。エージェント・スタイルに戻っても、細身のスーツがとてもスタイリッシュ。ストーリーはしっかりスパイ映画になっていますので、安心して楽しめます。まあ、すぐに悪玉が分かってしまうのは、ご愛嬌。
 ギャグは相変わらずの勘違い思い込みのパターンで、先が殆ど読めてしまいますが、それでも笑わされてしまうところがアトキンソンの芸風の真骨頂。エレベータの件(くだり)、会議での椅子の上下シーン、中国老婆を何度も間違えるパターンなど、大笑い。女王をあんな風にしてしまうことが許される英国映画は、本当に凄いと思います。
 それにしても東芝が何故出てきたのでしょう?スポンサーでも無さそうだし・・・。
 女性上司役がどこかで見た顔だと思っていたら、「Xファイル」のスカリー捜査官のジリアン・アンダーソンでした。ずんぐりむっくりから随分スリムになって、見違えてしまいました。
 原題は「JOHNNY ENGLISH REBORN」ですが、これは明らかにネタバレですね。エンドロールの途中にアトキンソンのギャグ満載の料理シーンが挿入されますが、うん、あんな風にして私も作ってみたい!ワインがさぞかし旨いでしょう・・・。(^_^)
(BS-HV)

2012.11.20 LOST ★★★★

 登場人物が多くて誰が誰だかよく分からない、数々の謎が明確には解明されない、荒唐無稽さが度を過ぎることがままある、フラッシュ・バックが多過ぎて腰を折られる、シーズン3辺りでは中弛みする、などの障壁をものともせず、見終えましたよ、全6シーズン、121話総時間数5,200分(86時間=3.6日)
 シーズン4あたりから俄然面白くなり、この頃からフラッシュ・フォワードが始まるので、そうか結末はこうなんだなと思っているうちに、最終のシーズン6では俄に宗教がかって、涙の最終話に突入。SFでいうパラレル・ワールドなんだと思っていたら、そうでは無かったのですね・・・。
 途中で話があちこちに飛び過ぎますし、多くの伏線は回収されないし、謎は解明されない。脚本が破綻していると言ってもよいと思いますが、敢えてそうしている風にも思えます。観客に判断を委ね、余韻を残すというような・・・。
 とにかく最終話ではある方向にまとまっていき、そうと分かった瞬間に、一気に涙腺崩壊が始まるという塩梅です。
 主人公ジャックのマシュー・フォックス、ケイトのエヴァンジェリン・リリー、ソーヤーのジョシュ・ホロウェイ、ロックのテリー・オクィンももちろん良いですが、私は個人的には前半で大悪役のベンを演ずるマイケル・エマーソンの演技が神がかり的と思いましたね。あのうつろな目が凄すぎる。それにもう一人、途中登場で余り出番は多くなかった科学者ダニエルのジェレミー・デイヴィスも凄い。囁くような台詞回しがとてもリアル。
 おっと、もう一人忘れてはならないのが、ホルヘ・ガルシア演ずるヒューゴ。ただの冴えない*ブだと思っていたら、終盤ではドンドンその存在感が大きくなります。彼の独特のユーモアにも和みます。更にはやはり、ソーヤーがよいですね。男でも惚れ惚れします。一番モテタのもむべなるかな。
 夜毎遅くまで観て、ある期間連日睡眠不足に陥ったことが、最終話で報われたと言ってよいと思います。それでも依然として謎は残るのだ・・・。(-.-)
(Hulu)

2012.11.14 シルク・ドゥ・ソレイユ 彼方からの物語  ★★★

 シルク・ドゥ・ソレイユの公演は、これまで「キダム」と「コルテオ」を鑑賞しています。単なるサーカスではなく、何か洗練された特別なものを感じさせられるパフォーマンス集団で、ブルーレイやDVDも何枚か持っています。
 ラスベガスでのザ・ビートルズの曲をアレンジした曲を用いた「Love」は、いつか見たいと思っている作品です。そんな彼らの複数のパフォーマンスをミックスした作品が、ジェームズ・キャメロンの製作総指揮で3D映画化されました。これは見るしかありません。
 なるほど、雰囲気的にはそのエキゾチックな音楽を含めて正にシルク・ドゥ・ソレイユそのもので(当たり前だ)、「キダム」などと類似点が多くあるように思います。ただ、今まで見たパフォーマンスを凌駕しているかどうか・・・。3Dによる画面の暗さ(これは致命的)に加えて、ストーリーがイマイチよく分からないということがマイナス要因でしょうか。一応、ラブ・ストーリーを主軸にしているようではありますが・・・。
 見どころとしては、回転する巨大な振り子のような輪の中、上を跳ね回ったりする演技や、殆ど垂直にまで傾くパネルでのパフォーマンスなど。余り多くはありませんが、ザ・ビートルズの「Love」からの曲も当然挿入されています。特にジョージの「While My Guitar Gently Weeps」はギターのみの伴奏バージョンで、とても印象的。うん、この曲を聴けただけでも良かったかな・・・。
 正直言って、私は前半、睡魔に堪えるのに必死でした。上映が終わってシアターから出る際、後ろの女性グループで「やだあんた、グーグー寝ているんだもん」などと。そうか、私だけでなかったのだ・・・。(^_^;)
(劇場)

2012.11.04 インモータルズ 神々の戦い ★★★

 「タイタンの戦い」に代表されるように、昨今はギリシャ神話を題材にして思いっ切りVFXで見せるという映画が流行りのようで、これもその1本。「300」の制作陣が噛んでるだけあって、スタイリッシュな戦闘シーンが売りのようです。
 ただし、R-15に指定されているように、かなり残酷なシーン(スプラッタ・シーンと言ってもよいかも)が満載なので覚悟して見る必要があります。男としは「ギャッ」と叫びたくなるような恐ろしいシーンも。
 また、ストーリーとしては、余りテンポが良くなく、展開はチグハグな感じが否めません。まあ、映像美(?)を優先したということでしょうか?キーとなる「エピロスの弓」も十分活かされていません。
 登場人物では、邪悪な王ハイペリオンを演ずるミッキー・ロークの独壇場。彼の前では主人公テセウス役のヘンリー・カヴィルも霞みます。老ゼウス役のジョン・ハート以外には余りメジャーな俳優を起用していないのが、作品のスケールを小さくしているように思えます。ヒロイン、フリーダ・ピントのサービス・ショットが少しの救い・・・。
 原題「IMMORTALS」は神々という意味ですし、「神々の戦い」と副題にありますが、内容はむしろ人間であるテセウスとハイペリオンの壮絶な戦いに重きが置かれています。神々である若きゼウスやアテネ、ポセイドンの登場シーンではその衣装のせいでしょうか、何だか学芸会を見ているみたい・・・。
(BS-HV)

2012.10.28 スノーホワイト ★★

 ご存知、白雪姫の新解釈版。大々的な前宣伝を行っていました。大方の評判では、ヒロインの白雪姫を演じたクリステン・スチュワートミス・キャスト、継母のラヴェンナ役のシャーリーズ・セロン存在感あり過ぎ、でした。
 うん、なるほど、そのとおりでした。CGの鏡男(?)がのたまった「世界で一番美しいのは白雪姫」ではなく、シャーリーズ・セロンでした。クリステン・スチュワートは終始険のある暗い顔つきで、白雪姫のイメージから大きく外れていると思います。
  ストーリーも私にはとても退屈でした。第一、結末があっけなさ過ぎ。あんな一突きで・・・。幻想的な森のシーンは見どころなのでしょうが、終盤の戦闘シーンも含め、既視感一杯で新鮮味に欠けます。8人の小人が途中7人になってしまうのも、何だか変。長い間牢獄に幽閉されていた白雪姫が、突然ジャンヌ・ダルクの如く甲冑に身を固め、騎馬に乗り、剣を振り回してしまうのは更に変。
 原題は「SNOW WHITE AND THE HUNTSMAN」で、 HUNTSMAN=猟師は「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワースが演じていますが、これが全く存在感無し。邦題から外されたのは正解でした。姫の周りにもう一人、ウィリアム王子が居るのも、なんだかややこしい。
 いずれにしても、いくら「戦う白雪姫」が売りの映画でも、白雪姫にはもっとポッチャリした美形を使って下さいな。
(Apple TV)

2012.10.14 モンスター ★★

 いくらアカデミー賞の主演女優賞を受賞したとしも、*ブで*スなシャーリーズ・セロンなんか見たくもないので、気にはしつつもこれまで敬遠していました。最近Huluのメニューで再三目にするようになり、それでは見てみようかと・・・(月980円の定額ですし)。
 失敗、見なければ良かった。完全に別人です。予備知識無しに見て、彼女と認識できる人は殆どいないのではないでしょうか?ぶくぶくと太り、眉毛を抜き、下品な喋り方をし、そばかすだらけ(のメーク)になった本人の努力は買いますが、何もシャーリーズ・セロンを起用する必要はなく、別のその手の女優(クレア・デュヴァルキルスティン・ダンストなど、m(_ _)m)でよかったのではないかと思います。
 おまけに共演のクリスティーナ・リッチが、演技はともかくその風貌が奇怪にしか見えません。「アダムスファミリー」からそのまま成人になった感じ・・・。
 更には救われない、救いようもない物語の展開。いったい製作者や監督は、何が言いたかったのでしょうか? まあ、実在のシリアル・キラーを描いたものなので、やむを得ないとは思いますが、あのような非人間的行動を延々と見せつけられては疲れ果てるのみです。男女の愛を絡めればまだ救われるところがあるのでしょうが、同性愛のために・・・、という設定は私には無理です。ええ、到底無理です。
(Hulu)

2012.10.03 ダーク・シャドウ ★★

 オリジナルは米国のTVドラマとのこと。ジョニー・デップティム・バートン監督の作品でコメディ仕立てのダーク・ファンタジーと聞いて、ああ、またあの手の映画だなと・・・。ヴァンパイア、魔女、狼少女、まともでない人間らなどが、組んずほぐれつ入り乱れてのハチャメチャ映画なのです。
 ヴァンパイアのカルチャー・ギャップを織り交ぜたコミカルな仕上がりになっているのですが、ヒネリや深みの無い物語構成です。結局、至高の愛がテーマなのでしょうが、取って付けた感があってどうも説得力がありません。コッポラの「ドラキュラ」の深遠さなどに到底及ばない・・・。家具や彫刻が動くなどというVFXも、数あるホラー映画の既視感が一杯で特筆すべきところはありません。
 ジョニデ(などと短縮されるらしい)は定番の演技。魔女役のエヴァ・グリーンが中々よろしい。新007シリーズのボンド・ガールとのことですが、とんと記憶にありませぬ。更には「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツに要注目。子役の成長は早いですねぇ。終盤の変身が唐突過ぎましたが・・・。ヘレナ・ボナム=カーターの出演はマストですから、まあ置いといて。それにしてもミシェル・ファイファーの老けぶりにはガックリです・・・。
 ジョニデとバートン監督のタッグ作品は、これで8作目とか。ジョニデのコスプレとクネクネ演技だけに頼らずに、そろそろ別路線を考えないといけません。「シザー・ハンズ」のような名作はもう望むべくもなし、かな・・・。
(Apple TV)

2012.09.15 プロメテウス ★★★★

 リドリー・スコットが監督する久々のSF大作ということで、私としてはかなり期待していたのですが、余りの悪評が故に少し優先順位が下がっていました。「人類はどこから来たのか」、「人類の起源が明かされる」というCMは大嘘、というのが不評の元。であればまあ騙されてみましょうということで、公開が終了しないうちにと劇場に足を運びます。
 うん、これは今はやりの前日譚ものですね。エイリアン・シリーズの。であれば、「エイリアン・創世記」とか、「エイリアン・ライジング」(正に)とかのタイトルにすれば良かったのに。いや、「エイリアン(1)」のリメイク作品と言ってもよいかも知れません。タイトルの現れ方からしても、「エイリアン」そのものですもの。
 アンドロイドの振る舞い、例の妊娠など極めて類似のプロットが出てきますし、「エイリアン(1)」での謎の異星人の死骸が何故あったのか、などが見事に解明されています。そうか、あれはヘルメットだったのだ・・・。砂嵐の描写は凄いし、帝王切開シーンは息が詰まりそう。うん、あんな悪評を受ける云われはないぞ、この映画は。SF好きな私としては満足、満足。
 しかし、冒頭のシーンの意味やアンドロイドの裏の意図は不明。ラストはお約束で次回作の暗示がありますが、乞うご期待ということなのでしょうか。
 ヒロインはオリジナル版「ドラゴン・タトゥーの女」で大ブレイクしたノオミ・ラパス。大熱演は認めますが、イマイチ何かが足りない(胸以外で)。アンドロイドを演ずるマイケル・ファスベンダーの無機質さがよろしい。首だけになっても何ともなさそうだし・・・。企業の黒幕を演ずるガイ・ピアースの老けメイクの出来が全く悪し・・・。シャーリーズ・セロンは勿体無い使い方かも。彼女にはもっと華を持たせて下さいな・・・。
(劇場)

2012.08.31 トータル・リコール ★★★★★

 アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トータル・リコール」(1990年)は、SF作品の名作であると今でも思っています。チープなVFXでB級テイストがプンプンの映画でしたが、何故か惹かれるところがあり、LDを購入して繰り返し観たりしたものでした。
 本作はシュワちゃんの役をコリン・ファレルが演じたリメイク作品ということで、私としては以前から少なからず期待をしていたのでした。前作は火星が舞台だったのに対し、本作は地球上の2地点に設定を変えていますが、それ以外の展開はほぼオリジナルどおりであると思います(もちろん、前作の詳細は忘却の彼方ですが・・・)。
 前作へのオマージュも盛り込まれていて、3乳女やセキュリティ・ゲートでの太ったおばちゃん(捻ってあります)、(捻ってあります)など、ニヤリとさせられます。原作者、フィリップ・K・ディックの他の映画化作品である「ブレード・ランナー」(アジアンテイストな街並み)や「マイノリティ・リポート」(空中交通網)の世界観も明らかに取り込んでいて、SFファンとしては嬉しいところです。
 それにしても本作の一番の見所は、怒涛のようなノンストップ・アクションでしょう。飽きること無くグイグイと画面に引きこまれます。あとは、フォール(2地点を行き交う地下鉄?)などのダイナミックなVFXでしょうか。
 主人公が弾く魅力的なフレーズのピアノ曲は、その場で曲名が分からず、後でググッてベートーベンのピアノソナタ「テンペスト」であることが分かりました。
 前作はシャローン・ストーンが演じた妻役にケイト・ベッキンセイル。異常にパワーアップしていて、笑ってしまいました。随分露出時間が長いと思ったら、旦那が本作の監督(レン・ワイズマン)だったのですね。納得です。ヒロインのジェシカ・ビールは、その分存在感が希薄で、損をしています。
 猛暑日に冷房の効いた劇場で、大エンタメ作品を見る。これ、最高。(^o^)
(劇場)

2012.08.25 アベンジャーズ ★★★★

 「アベンジャーズ」と言えば、私がすぐに思い浮かぶのはレイフ・ファインズウマ・サーマンが共演したスパイもの映画ですが、こちらは全く同名の最新作で、アメコミのヒーローが集結した一大お祭り映画となっています。余計なことながら、副題を付けるなどして区別がつくようにすべきだったのでは・・・。
 アイアンマンキャプテン・アメリカハルクマイティ・ソーの4大ヒーロー(ハルクはヒーローではない?)に、サブ・キャラクターのブラック・ウィドウホークアイが 加わってのド派手なドンパチ大会なのです。私はこの4人のヒーローの単品映画は全て見ていて、キャラクタ設定などは分かっていましたので、序盤から抵抗なく入れました。対する悪役はマイティ・ソーの弟のロキであり、両者の確執が引きずって描かれますので、最低「マイティ・ソー」だけは予習のために見ておく必要があると思います。
 「日本よ、これが映画だ!」などと言われても、「参りました!」などと言うつもりは毛頭ありませんが、終盤のマンハッタンの市街戦の迫力だけは流石で見応え充分。トランスフォーマーとどう違うか?とか、一般市民の命をどう考えるのか?などと言われても困りますが・・・。それにつけても中盤テンポが悪くなり、ややダレるのが惜しい。
 やはり本作でもアイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)が一番美味しい役を演じていますね。まあ、長老に敬意を払うということなのでしょう。ハルクはやはり変身後の造形がマンガチック過ぎること、大きさ比率がチグハグであることは相変わらず。今や大ブレイクしたジェレミー・レナーが演ずるホークアイがカッコイイこと。紅一点のブラック・ウィドウ演ずるスカーレット・ヨハンソンがフェロモン全開で、真横から見たスタイルが何と言っても素敵(ん?)。
 エンドロールの最後に現れる1カットに大笑い。あれ、演技ではないのですよね?(^o^)
(劇場)

2012.08.12 ダークナイト ライジング ★★★☆

 前作「ダークナイト」に次ぐクリストファー・ノーラン監督の第三作目にして、最終作とのこと。名作「ダークナイト」にどれ位迫られるだろうか、という期待を持っての劇場鑑賞です。
 クリスチャン・ベイルマイケル・ケインゲイリー・オールドマンモーガン・フリーマンといった豪華レギュラー陣の他に、アン・ハサウェイマリオン・コティヤールトム・ハーディジョセフ・ゴードン=レヴィットと言ったまずまずの布陣。
 冒頭の空中戦は掴みとしては合格。ただその後の展開は息もつかせぬノンストップアクション、と言いたいところですが、何となく盛り上がらないのは何故でしょう? テンポが速すぎて所々ついて行けなかったということは認めます。(^_^;)  要はすっかり平和になったゴッサムシティを、再度また悪が蔓延る世界に戻そうとテロを企てる悪党にバットマンが立ち向かう、という単純構造なんですがねぇ(違うかな?)。
 前作での比較で言うと、何と言っても鬼気迫る演技のヒース・レジャーには足元にも及ばない本作の悪党。ただ単にマッチョなダースベーダーという感じで、精神性が全く感じられないのはいただけません。加えて前作でも感じられた主人公・バットマンの基本的な弱さでしょうか。殆ど青息吐息という感じなのに、スーツを着るとそこそこ強くなるという・・・。
 本当の悪党の正体は意外性があって良かったのですが、ラストのバットマンの犠牲的行為はミエミエだったなぁ・・・。最後はこうでなければ行けません、というハリウッド映画の典型でした。ただ、今のこの時代、核爆弾を扱っているのはかなりビミョー。第一、影響はあんな程度じゃ到底済まないでしょう・・・。
 CGで修正しているのではないかと思われるほど細いアン・ハサウェイのウェストが印象的。ノーラン監督の「シャッター・アイランド」でも美味しい役を演じていたジョセフ・ゴードン=レヴィットが本作でも露出度が高く、かなり好演。彼がロビンなの?であれば続編が作れるのでは・・・。
(劇場)

2012.07.25 ラブリーボーン、127時間、キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アドベンジャー

 イスタンブールから成田に向かう夜行帰国時の機内映画。我ながら、3本も良く見れたものです。(^_^;)

(1)ラブリーボーン ★★☆

 本作も、封切り時比較的評判が良かった作品と記憶しています。ただし、死んだ少女があの世との境を彷徨するような映画と聞いて、なんだかなぁと思っていました。切ない中にもホノボノとしたファンタジーかなどと思っていましたら、大間違い。シリアル・キラーを絡めたサスペンスフルな面が大きく強調されています。
 あの世との境(?)にこれまで殺された少女が主人公を待ちかまえているという理由がよく分かりませんし、あの世との境の描写も平凡な描き方です。この映画は欧米と日本との死生観の違いが明確に現れています。我々は、あのようにゴミ処理場に永遠に埋まってしまうことを許せるはずがありません。例え憎き犯人があのように惨死したとしても・・・。
 ピーター・ジャクソン監督、マーク・ウォールバーグレイチェル・ワイズスーザン・サランドンスタンリー・トゥッチという豪華メンバー。日本語吹替え。
(機内映画)

(2)127時間 ★★

 落石に腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまったという男の実話に基づく映画。う〜ん、何となく最後の落ちが分かるので(多分、相当痛いだろうなという)余り見たくはなかったのですが、眠気覚ましに敢えて挑戦(意味不明)。
 監督がダニー・ボイルということで、映像は終始トンでいます。ジェームズ・フランコもアカデミー賞にノミネートされたくらいですから、かなりの好演。しかし、案の定、痛い!余りにも痛い!
 見終えての疑問。何故、彼は携帯電話を持っていなかったんだろう。あれだけの道具を揃えておきながら・・・。日本語吹替え、字幕ともに無し(セリフが少ないので何とか理解できました)。
(機内映画)

(3)キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アドベンジャー ★★★

 マーベル・コミックの初代ヒーローとのこと。間も無く公開される「アベンジャーズ」のためにも見ておいた方がよいかなと、眠い目をこすりながらの鑑賞(部分的に眠ったかも)。
 背景がナチの時代というのも、中々面白い。主人公(クリス・エヴァンス)が最初CG処理でチビのヤセとなっているのが面白い。悪役があのヒューゴ・ウィーヴィング。折角の力演なのに、途中で漫画チックな赤鬼と化してしまうのが、勿体ない。ヒロインはやや物足りなく、私に言わせればミス・キャスト。スタンリー・トゥッチがここでは善人役なので笑ってしまった。
 まあ、タイトルどおりアメリカ万万歳のお話で、これはこれで割り切ってみればそこそこ面白い。しかし相当なご都合主義で貫かれていることも納得しないといけません。あれで生還とはねぇ・・・。日本語吹替え。
(機内映画)

2012.07.18 タイタンの逆襲、TIME/タイム、Black & White/ブラック&ホワイト

 少し早めの夏休みを貰ってのトルコ・ツアーで、イスタンブールに向かうトルコ航空での機内映画です。他の航空会社と比べてかなり大量の本数がありました。ただし、日本語字幕は全くなく、半分くらいが日本語吹き替え有りという状況でした。

(1)タイタンの逆襲 ★★★

 日本語吹き替えでした。「タイタンの逆襲」から10年が過ぎて、ペルセウス(サム・ワーシントン)も髪が生えましたし、子供も出来ました。設定は至極単純明快。神々と魔物の対決に、半神半人であるペルセウスが加わり、壮絶な闘いを行うというもの。
 全編を通して腑に落ちないのは、全能の神が何故魔物なんぞを制御できないのか、 ということと、ゼウスが余りにも弱過ぎということ。神側、半神半人側の確執もよく分かりません。数々の魔物、と言っても結局3、4種類ですが、まあ余りセンスよい造形とも思えません。またCG臭さを隠すためでしょうが動きがチャカチャカと早くて、どんなお顔をしているのか、拝ませてくれません。しかも消炭のお化けみたいな大ボスは、前作のクラーケンのインパクトには到底及ばないと来たもんだ。
 劇場の大画面で見ればまた印象が違うのでしょうが・・・。
(機内映画)

(2)TIME/タイム ★★★

 封切り時、比較的評判が良かった作品と記憶しています。吹き替え版。
 本作は設定がとてもユニークな近未来SF作品です。人間の成長は25歳で止まり、後は時間を入手した分だけ、生きられるというもの。腕に残り時間のカウンタが表示されます。時間が通貨のようになっていて、給料も時間で支払われ、物を買ったり、乗り物に乗るのも時間で支払います。
 外見は25歳の若者なのに、実年齢は50歳などという人間が当然いる訳で、従って登場人物は見た目は全て25歳以下の若者や子供ばかりですから、映像の印象がとても爽やかですね。
 こういった設定とは裏腹に、ストーリ展開がよく練れてないのが残念と言えば残念。時間を貧困層に配ろうとする義賊的な主人公側と、時間の不法な取引を取り締まろうとする時間管理局側との攻防も、次第に飽きて来ます。とは言っても、とてもユニークでスタイリッシュな小品に出来上がってはいると思います。
 それにしても、アマンダ・セイフライドのスレンダーなスタイルは凄いね。
(機内映画)

(3)Black & White/ブラック&ホワイト 

 機内映画の3本目(よう頑張って見るね)。う〜ん、リース・ウィザースプーンがヒロインと知って、私としては殆ど観る気が失せましたが、ツカミのアクションシーンがややインパクトがあったので、そのまま見続けることに。
 しかし、その後も主人公の二人がヒロインを取り合い、幼稚でみっともない攻防を繰り広げる展開にウンザリ。あのリース・ウィザースプーンを取り合うなどというお話に、感情移入が出来るわけがありません。冒頭のシーンを完結するラストシーンで、少しは救われましたが・・・。
 監督がリース・ウィザースプーンの旦那かなと思い調べましたが、そうではありませんでした。今どき不思議なキャスティングの映画です。
(機内映画)

2012.07.14 シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム ★★★

 iTunesの新作リリースは、結局TSUTAYAの発売時期とほぼ同じなんですね。買いたての電動アシスト自転車で最寄りのTSUTAYAまで行ったにも関わらず、この最新作のブルーレイは全て貸出中。ということで、止む無く家に帰ってApple TV経由で鑑賞することにしました。
 う〜ん、タダでさえ働かない頭脳がこの蒸し暑さで殆ど回転しないのでしょう、序盤はただ眼がディスプレイを追っているだけの状態で、何が何だか殆ど分かりません(かなりヤバイだろ)。それでも見続けているうちに、どうにかこうにか繋がってきました。そうか、そうか、あの教授とやらが黒幕なんだな、とか。
 それにしても、前作にも増して謎解きの要素よりアクションに重きを置く度合いが増しています。う〜ん、これはシャーロック・ホームズものと呼んでいいのでしょうか?
 ご都合主義も満載。まあ、殺してはいけないけど、あの状態から2回も生還させるとは・・・。第一、ロバート・ダウニー・Jrの女装姿は余りにも趣味悪し。あんなもの見たい人いるのかね。ジュード・ロウのワトソン君がいるから、かろうじてホームズの体をなしているということか。前作の華だったレイチェル・マクアダムスを早々に殺してしまうのも何だかなぁ・・・。ジプシー女を演ずるノオミ・ラパスは、オリジナルの「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 」でのヒロインとのこと。こちらもハリウッド版に劣らず落差が大きいね。
 やはり、バットマン・シリーズを見習って、主人公を凌駕するような存在感のある大悪役を起用するのが肝要かと。
(Apple TV)

2012.07.11 ザ・ファイター ★★★

 今更、ボクシング映画ですか?という感じではありますが、本作は第83回アカデミー賞で助演男優賞クリスチャン・ベイル)と助演女優賞メリッサ・レオ)の2冠を受賞したということで、要注目の作品でした。
 アメリカの田舎町を舞台にし、プロ・ボクシングの世界チャンピオンにまで上り詰めようとする男とその兄、家族を描く、実話に基づくお話。監督は、スポコンものというよりも、兄弟愛、家族愛(それらが如何に疎ましくとも)を描きたかったかのようです。
 人々の会話が余りにも自然なので、何かドキュメンタリー作品を見ているような錯覚に陥ります。それに反して、肝心の試合の場面が何かウソっぽい。あんなノーガードの打ち合いで勝てるのかな? 折角の見せ場でしょうに、やや現実味を欠くファイト・シーンという印象は拭えませんでした。それでも勝利に至るシーンにはそれなりに感動はさせられましたが・・・。
 ともかく、本作の見所はクリスチャン・ベイルのノラリクラリとした成り切り演技に尽きるのではないでしょうか?何せ「マシニスト」で30キロも痩せた彼ですから、今回も減量し、かつ後頭部をハゲにして、役作りを徹底します。主人公である弟役のマーク・ウォールバーグが霞むほど。
 9人の子供を持つ母親役がメリッサ・レオ。51歳の若さには見えず、正に怪演です。娘7人が何故かみんな行かず後家。しかも、それらの女優が大ブ*ばかり。実話というのに、いいのかね。主人公の恋人役にエイミー・アダムス。7人の娘と渡り合う如何にもなヤンキー・ガールを巧く演じていました。
 エンド・クレジットで、実際の兄弟が登場しますが、如何にクリスチャン・ベイルが本人に似せた演技をしていたかが分かって唖然とさせられる、という寸法です。
(BS-HV)

2012.06.30 ドラゴンタトゥーの女 ★★★★

 原作はスウェーデンの作家のベストセラー小説とのこと。スウェーデンで映画化もされたらしいので、これはハリウッド・リメイク作品ということになります。監督は、古くは「セブン」の、最近では「ソーシャル・ネットワーク」のデヴィッド・フィンチャーです。
  かつてスウェーデンに君臨した巨大財閥一族の娘の失踪事件を依頼されたジャーナリストが、天才的ハッカーの女とその真相をあばいていく、というミステリー・サスペンス。「セブン」ではオープニング・クレジットの映像が話題を呼びましたが、本作も相当な凝りようです。あんたら、これからこんなにおどろおどろしいものを見せるかんな、覚悟しておけよ、みたいな・・・。
 本編が始まると、まずは殆どモノクロ映画と化してしまう凍てつくような冬景色が美しい。続く序盤では、かなり丁寧に登場人物の背景描写がなされていきます。しかし、その後の展開は印象的な、刺激的な映像の連続で、必ずしも分かり易いとは言い難い・・・(私だけかな)。かなり過激な性描写も満載。近頃これだけ大量にモザイクの入る映画も珍しいのでは・・・。
 一番の問題は、登場人物の1人が明らかに悪そうな、怪しそうな人相をしていて、結局それが真犯人だったということ。ミステリー映画としてはこのキャスティングはダメでしょう。それでも、過激かつスタイリッシュなビジュアルで、最後まで飽きさせないのはやはりフィンチャーの手腕でしょうか。
 主人公のドラゴンタトゥーの女にルーニー・マーラ。何と彼女は「ソーシャル・ネットワーク」で、ザッカーバーグの当初のガールフレンドを演じた女優なのです。あんなに可憐だったのに、ここでは入れ墨、ピアス、剃りなどでパンクなぶっ飛んだオンナに大変貌。メリル・ストリープでなく、彼女にオスカーをあげてもよかったのでは? 主人公にダニエル・クレイグ。彼を見ていると007を想起させられるようになりましたから、大したものです。それにしても、よくリンチされること。
 なお、この映画ではスウェーデン人がぜーんぶ英語を話しますので、覚悟して観ましょうね。(^o^)
(BD)

2012.06.13 幸せへのキセキ ★★★☆

 軌跡奇蹟をかけたであろうこのいかにもな邦題の原題は「WE BOUGHT A ZOO」、つまり「我々は動物園を買った」です。妻の死から立ち直れなかった家族が心機一転、閉園している動物園付きの家(!)を購入し、数々の障壁を乗り越えて動物園の開園までこぎつける、というウソのようなお話。実話の映画化ということもあり、ある程度の退屈さは覚悟しての観賞です。
 主人公(マット・デイモン)は妻の死から立ち上がれないし、息子は父親に反発するし、娘はひたすら可愛いだけ、という予想どおりの退屈さ。ですが、後半次第に引き込まれて行くのはキャメロン・クロウ監督の演出の巧さなのでしょうか。挿入曲も効いています。まあ、出来過ぎ、やり過ぎなところも散見されますが、脚色は当然あるのでしょう。
 ラストは「タイタニック」のラストと同様、亡き人を出現させて、涙を誘います(私に言わせれば、ルール違反)。
 「ボーン」シリーズのようなアクション・ヒーローから打って変わって、良き父親を演ずるマット・デイモンが中々よろしい。いつものフェロモンを完全に封印したスカーレット・ヨハンソン、別人のように地味ですが良い味を出しています。全然似ていない兄貴役にトーマス・ヘイデン・チャーチ。彼もこうして見ると中々のナイス・ガイ(死語?)です。最近売り出し中のエル・ファニング。姉のダコタ・ファニングは最近余り見かけていませんが、妹がこんなになっているのだから、随分大人びたのでしょうね。
 全米オーディションを勝ち抜いたという2人の子役は悪くはありませんが、まあ近ごろではあの程度では驚かなくなりました。
 まあ、敢えて劇場で見なければならない映画ではないような・・・。(^_^;)
(劇場)

2012.06.10 SUPER 8 ★★

 スティーヴン・スピルバーグが制作しているだけあって、話の構成は「未知との遭遇」、「E.T」などとよく似ています。タイトルはコダック社の出した8ミリフィルムのことらしい。しかし、どうも本作は色々な面でチグハグです。
 8 ミリフィルムで自主映画を作るべく奔走している少年グループと彼らの父親達との関係、グロテスクな造形で全く愛嬌が無いエイリアン、秘密裏にそれを追う政府軍など、色々な要素が盛り込まれているのですが、しっくりまとまっていません。しかしこういった題材、シチュエーションをスピルバーグは好きなんでしょうね。
 最大の問題は既視感が一杯で、新鮮味がないことでしょう。加えて、いかにも思わせぶりな展開や、出来が良いとは言えないVFXなども。出演者もメジャーな俳優がおらず、唯一見ものだったのがダコタの妹のエル・ファニング。姉より、自己主張が強いような感じです。
 エンド・ロールで流れた彼らの完成した8ミリ自主制作映画。むしろ、こちらの方が面白かった、と言ったら言い過ぎか・・・。(^o^)
(BS-HV)

2012.06.01 グッド・モーニング・ベトナム ★★☆

 本作も見逃していて、気になっていたものの1本です。1987年の制作。ハリウッドのベトナム戦争を扱った映画の中では異色と言われていました。
 なるほど、アメリカ兵向けのラジオ放送のDJが主人公で、戦闘シーンなどは殆どありません。タイトルは、朝6時の彼の放送の冒頭、「グゥウウウッドォオ、モォオオオオニングゥウ、ベィイイイイトォオナァアアムゥウ!!」と切り出すことに由来しています。(^o^)
 軍の規律を無視する型破りのDJ兵士(ロビン・ウィリアムズ)が巻き起こすトラブルの数々。彼が片思いするベトナム女性(チンタラー・スカパット、スゴイ名前ですねぇ)とその兄との交友。そして終盤は爆発テロが絡んで、ようやく緊張感が走るという寸法です。ただ、この大事であるはずのテロ絡みの展開が深堀りされず、いかにも中途半端で尻切れトンボ。
 本作はロビン・ウィリアムズの独壇場。放送シーンの驚異的マシンガン・トークは台本は無く、彼のアドリブなのだとか。流石です。ただし、オーバー・アクトで個性の強い、俳優としての彼が好きかどうかで本作の評価は分かれると思います。実は私は彼の神懸かり的な演技力は認めるものの、あのアクの強さが故に余り好きではありません。
 唯一の空爆シーンのバックに流れたサッチモの「この素晴らしき世界」(1967年のヒット)は、このためにまたリバイバル・ヒットとなりました。殺戮シーンと並行してWhat a Wonderful Worldと謳う。これ以上の皮肉はありますまい・・・。
(BS-HV)

2012.05.27 X-MEN:ファースト・ジェネレーション ★★★★

 たかがアメコミ、されどアメコミ。数あるアメコミ作品の中で、X-MENシリーズは私は嫌いではありません、てゆーか、むしろ好きです。(^o^) 当時珍しかったミュータントと彼らの悲哀を取り上げ、テンポの良いストーリー運びと壮大なVFXで魅せてくれました。本作はそのシリーズの言わばビギニングもの。まあ、制作されるのは当然と言えば当然かな。
 若き日の「プロフェッサーX」と「マグニートー」が登場します。子供時代のミスティークは小猫みたいで可愛い限り。友情で結ばれていたプロフェッサーXとマグニートーが敵対せざるを得なくなる経緯、プロフェッサーXが車椅子生活となる顛末、マグニートーがヘルメットを被る理由などが明かされ、巧く第1作以降につなげています。私を始め、皆が大好きな(^_^;)ミスティークが活躍しているのも嬉しい。まあ、ストームやジーンが登場しなかったのが少し残念かな。
 更に、ヒュー・ジャックマンレベッカ・ローミン=ステイモスの言わばカメオ出演のおまけ付きです。大いに楽しませて貰いました。
 背景もキューバ危機を借用し、JFKの実際の映像を挿入したりして効果的です。
 プロフェッサーX役のジェームズ・マカヴォイも悪くありませんでしたが、復讐に燃えるマグニートー役のマイケル・ファスベンダーの印象がとりわけ強烈でした。名優ですね、彼は。またあなたですか、という感じで悪役にケヴィン・ベーコン。もはや善人役が出来なくなった彼、やや可哀想です。
 第1作の前に位置する次回作を作る手もあるような気がします。たかがアメコミ、されどアメコミ。(^_^)
(BS-HV)

2012.05.20 英国王のスピーチ ★★★

 第83回アカデミー賞で本命視されていた「ソーシャル・ネットワーク」を押しのけ、作品賞主演男優賞コリン・ファース)、監督賞トム・フーパー)、脚本賞の主要4冠に輝いた本作。何故かTSUTAYAではブルーレイでのレンタルが無く、ようやくHi-ViのBS放送で見ることが出来ました。
 現エリザベス女王の父親にあたるジョージ6世が、スピーチ・セラピストのサポートを得て、小さい頃からの吃音症を 克服して行こうとする様を描いたもの。まあ、実話に基づくと言ってよいのでしょう。吃音症のお話の他に、本来国王となるべき兄であるエドワード8世がバツ2の女性に惚れ込む余り、その権限を放棄する羽目になったり、ジョージ6世の吃音症は生まれつきではなく、小さい頃の厳しい躾けによるストレスに原因があることなど、興味深いエピソードも併せて披露されます。
 国王に4文字言葉をしゃべらすなど、そういったことを映画で許す(?)相変わらずのイギリス王室の寛大さに感服(「クィーン」でも同様でした)。しかし、実話に基づくだけあって、最後は完全に吃音症を克服して万万歳、という訳には行きません。したがって、カタルシスはなく、むしろ私としてはフラストレーションが溜まってしまいました。これは映画としてはやはりマイナス点でしょう。
 胡散臭そうなセラピスト役は、ジェフリー・ラッシュ。安心して見ていられる流石の演技力です。エドワード8世のガイ・ピアース、ジョージ6世の妻のヘレナ・ボナム=カーターも悪くはありませんが何か淡々としている感じです。チャーチル役は余り似ていなかった。
 劇中でジョージ6世が煙草好きであることが描かれていますが、実際相当のヘビースモーカーだったらしく、肺癌で56歳で亡くなったのだとのこと。やはり、煙草は良くないよ・・・(って、誰に言っている?)。
(BS-HV)