2011.05.14 ブラック・スワン ★★★★☆
- 第83回アカデミー賞でナタリー・ポートマンが最優秀女優賞に輝き、話題となった作品。封切りされたばかりの土曜日というのに相変わらずこのシネコンは入りが悪い・・・(どうかつぶれませんように)。
- 新解釈によるバレエ「白鳥の湖」のプリマドンナに抜擢された主人公(ナタリー・ポートマン)の心の葛藤を描いたサスペンス作品。サイキック・ホラー的要素も一杯で、ショッキング映像や大音響に何回かイスから転げ落ちそうになりました。
- 観賞している間は緊張感で一杯でしたが、見終えて冷静に考えると最近の映画によくある手法(トリック)が使われていることに気づきます。安易といえば、安易な技法だ。
- ナタリーのオスカーを獲得するに相応しい迫真の演技が見ものですが、加えて大胆な性的描写もたっぷりあって、暗やみの中で密かに赤面する私でした。(^_^;)
- ナタリーはバレエのレッスンに1年半をかけたとのこと。あんな背筋のプロポーションではとてもバレエ・ダンサーには見えないなどという辛口コメントもありますが、素人目にはそれなりに様になっていたと思います。
- 配役に決定権を持つ芸術監督役にヴァンサン・カッセル。好色っぽいところが、役柄にピッタリ。落ち目のかつてのプリマにウィノナ・ライダー。彼女の実生活を反映しているようで、見ていて痛々しい。酷な配役です。
- 子役は大成しない、というジンクスはナタリーには当てはまらないということを再認識させられる、見応え十分な作品。でも、この映画はデート・ムービーには向いていないと思います(あ、逆か)。
- (劇場)
2011.05.08 ロビン・フッド ★★★★
- ロビン・フッドについてはこれまで多く映画化されているようです。中でもケヴィン・コスナー主演のもの(1991年作)が一番有名だったでしょうか。本作は「グラディエーター」と同じく、リドリー・スコット監督とラッセル・クロウのコンビ作品で、2010年の最新作です。劇場版が140分、ディレクターズ・カット版が156分。当然、後者での観賞です。
- うん、冒頭から弓矢版「プライベート・ライアン」という感じ。矢が雨あられの如く飛んできて盾にドスンとささるなど、臨場感一杯。劇場だったらさぞかしだったでしょう。
- 12世紀末のイングランドを舞台に、十字軍遠征隊の一兵士がロビン・フッドとして名を成すまでの勧善懲悪のストーリー。ほぼオリジナルどおりなんでしょうか、特に捻りはなく、想定どおりにことが運びます。
- とにかくスケールの大きい映像がスゴイ。どのシーンを切り取っても、正に絵になる感じ。好きなんでしょうね、リドリー・スコットはこういうの。「グラディエーター」と比べて暗さや重さがなく、コミカルなシーンも少なくない、気軽に楽しめるコスチューム物に仕上がっています。
- やや予想が外れたのは、弓矢の名人であることを誇示するシーンが余り多くはなかったこと。最後に馬で逃げる敵を射貫くシーンくらいかな。
- ラッセル・クロウ、男臭さムンムンで悪くないけど、やや若さに欠けるか。更にはヒロインのケイト・ブランシェット。新鮮味に乏しく、ミス・キャストと私は思います。フランス軍と密通する悪役に、マーク・ストロング。「シャーロック・ホームズ」でも黒魔術師の悪役を演じていましたが、ドンピシャで役にはまっています。あれでニヤリと笑うところがスゴイ。脇を固めるウィリアム・ハート、渋くていいですね。
- 途中で聞いたことのある音楽が挿入されます。えーっと、これは確かサラ・ブライトマンの持ち歌の「So
Many Things」だ。調べてみると原曲はアイルランドの伝承曲である「Women
Of Ireland」で、サラが詩を付けて歌ったのだそうな。納得です。
- (BD)
2011.05.07 バーレスク ★★★★
- 劇場で見たいと思っていて、見逃していました。バーレスクというショー・クラブを舞台に、田舎娘のサクセス・ストーリーとその劇場の所有権を巡る攻防を描いたもの、でしょうか・・・。歌やダンスがふんだんに盛り込まれていますが、いわゆる(セリフの代わりに歌う)ミュージカルとはちょっと違うようです。
本作の主人公で注目されているクリスティーナ・アギレラは、これまで私は寡聞にして知りませんでした。歌唱力、体の凹凸、ダンスの切れの良さなどは申し分ありませんね。ただ、私はこの人の蓮っ葉風な顔がどうも好きにはなれません。
主演格のもう1人はシェール姉御。物凄い存在感です。殆ど怪物です。ドスの利いた歌声はここでも健在。彼女が序盤でダンスをバックに歌う「ウェルカム・トゥ・バーレスク」で、まずはノック・アウトされます。
全編ゴージャスで、パワフルで、セクシーなダンス・ショーがとにかく見もの。主人公(アギレラ)がショーメンバとして認められるまでが1つの山場で、続く恋愛劇で中弛みがあって、終盤は劇場の乗っ取りを如何に回避して行くかで盛り上がる、という寸法です。いずれにしてもこれらのストーリーは、華麗に繰り広げられるダンス・ショーの添え物に過ぎません。歌を大きくフィーチャーするように演出を変えた主人公に、お株を奪われたダンサーが「客は歌ではなく、ダンスを観に来るのよ!」と叫びますが、それには私も大賛成。(^_^;)
脇役のスタンリー・トゥッチがここでも好演。この人はゲイ役が多いですね。怪しげなアラン・カミングの登場も嬉しい(この人はホントのゲイ)。主人公の恋愛相手を演ずるカム・ジガンデイ、とても個性的な顔(タレ眼)をしています。
挿入されたダンス曲のフルコーラスが特典映像で8曲収録されていますが、これは嬉しい配慮です。シェールがインタビューで、「もう私は高い声が出ないのよ」などと言っていたのが印象的でした。御歳64歳ですもの。
- (BD)
2011.05.02 ロッキー・ホラー・ショー ★
- この超有名なカルト・ムービーを私はこれまで未見だったのですが、最近のスター・チャンネルHVでの放映でようやく見る機会を得ました。大ヒット舞台ミュージカルを1975年にイギリスで映画化したものなんだそうな。
- 若い恋人同士がドライブの途中にパンクで立ち往生し、近くの洋館を訪れると、そこでは奇怪な人物達が・・・、というお話ですが、ストーリーはあって無きが如し。因みにロッキー・ホラーというのは、フランケン・シュタインよろしく登場する人造人間の名前です。
- 見始めてすぐ、ああこの映画は私にはダメだなと思いましたが、超有名作を一応最後まで見ておこうということで、1時間40分を我慢、我慢。確かに挿入曲は悪くありませんし、主演のティム・カリー演ずる性倒錯キャラも個性的で存在感はありますが、とにかく古き時代のドタバタ喜劇を見ているようで、とてもついていけません。製作者の意図が私には理解不能。恐ろしく低予算的で、映画でありながら舞台劇を見ているかのよう。全編漂うチープ感。グロいけどエロさはさほどでも無し。
- この雰囲気には当時は嵌まる人は嵌まったのでしょうが、今の時代ではダメな人が多いのではないでしょうか?
- 若き日のスーザン・サランドン(殆ど下着姿、歌は意外と巧い)が見れたことが唯一のめっけものか・・・。
- (BS-HV)
2011.04.24 シャッター・アイランド ★★★★☆
- マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオが組んだ作品としては4作目とのこと。因に残りの3作品は、「ギャング・オブ・ニューヨーク」、「アビエイター」、「ディパーテッド」ですが、前2作品は私にはイマイチでした。
- 本作品の原作は「ミスティック・リバー」の作者によるものということで、なるほど重くて暗〜い仕上がりになっています。劇場公開時は、「この映画のラストはまだ見ていない人にはけっして話さないでください」、「登場人物の目線や仕草にも注目しましょう」という旨のテロップが入ったとのことですが、私はそれを知らずにBSで鑑賞しましたので、製作者の思惑どおりの罠にまんまと嵌まってしまいました。まあ、冷めてあれこれアラを探すより、純粋に驚かされた(楽しめた)ので、その分得をしたとも言えます。(^_^;)
- どう書いてもネタバレになりそうなので多くはコメントしませんが、そう目新しいトリックではない、とだけ申しておきましょうか。例のあの有名な作品によく似ています(あ、ネタバレか)。
- 驚愕のラストの後に続く、最後の主人公(レオ様)の一言が更に重要な意味を持つことだけは気がつかないと、この映画の全体を理解出来たことにならない思います(と、シッタカする)。
- それにしてもレオ様、相変わらずのとっちゃん坊やですが、演技の巧さはここでも再認識させられました。終盤、彼が池に入るシーンでは、切なくなり目頭が熱くなりましたもの。脇役にベン・キングズレーを起用した時点で、こいつはただ者ではありませんよ、と宣言したのと同じでしょう。この人も巧いです。
- 更に劇場公開時は、映画の謎解きに集中するために「二度見キャンペーン」や原版に忠実な「超吹き替え版」の上映も行われたとのこと。確かに、本作は吹替えでもう一度見たい気がします。スター・チャンネルさん、やってくれませんか?(^_^)
- (BS-HV)
2011.04.23 パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 ★★★☆
- 「タイタンの戦い」と同様、ギリシャ神話に基づくファンタジー・アドベンチャー。あちらが神話にほぼ忠実なのに(多分)対して、こちらは大きく脚色してあるようです。例えば、神と人間のハーフであるデミゴットなどというものがワラワラと登場したり、メドゥーサはと言えば、頭のみ例のスネーク・ヘア(?)で、体は人間そのもの、などなど。原作は全米のベストセラーなんだそうな。
- お話としては極めて分かりやすく、展開もスピード感があって意外と楽しめるのではないかと思います。まあ、子供向け過ぎるというきらいはありますが、ハリー・ポッター・シリーズのような重苦しいダークさがなく、能天気な軽さがむしろ好ましいと言えます。
- VFXはまあまあ、あんなものでしょう。中では9つの首を持つヒドラが見ものか。これを退治するのは、そう、あれなのです。
- 相変わらず、ゼウス、ハデス、ポセイドンなどの神々は身勝手過ぎます。「タイタンの戦い」でもそうでしたが、神々をこういう生臭い存在として描くのはとても面白い。中ではハデスが弱過ぎて、やや拍子抜け。
- 難点は、ピアース・ブロスナン、ユマ・サーマン、ショーン・ビーン、ロザリオ・ドーソンなどという淙々たる脇役に比べて、主人公(ローガン・ラーマン)とヒロイン(アレクサンドラ・ダダリオ)の魅力がイマイチであること。特にヒロインはもっと個性的であってもよかったかも。殺陣での体のキレも良くなかったし・・・。
- (BS-HV)
2011.04.10 パリより愛をこめて ★★★☆
- 当然邦題だけが007のあの名作のパクリだろうと思っていたら、さにあらず。原題も「FROM PARIS WITH LOVE」なのです。リュック・ベッソンの原案である本作はフランス映画。ただし、主人公はフランスのアメリカ大使館に勤務する大使館員(ジョナサン・リス・マイヤーズ)とCIA本部から派遣されたエージェント(ジョン・トラヴォルタ)であることもあり、殆ど英語で終始されます。
- スキンヘッドにひげ面で、傍若無人のキャラを演ずるトラヴォルタにはビックリ仰天。「おまえらフランス人は2回も戦争でアメリカから助けてもらったくせに、アメリカ人を嫌いやがって!」と入国審査官を罵倒しまくる登場シーンには、大笑い。しかも、敵と見ると容赦なく射殺する過激さを持つ危険人物として描かれます(ポタポタと人が落下する螺旋階段シーンが恐ろしい)。お陰で主人公であるはずのジョナサン・リス・マイヤーズの陰が薄いこと!
- 前半の展開が説明不足で欲求不満に陥りがちですが、後半思わぬ展開となり俄然引き込まれます。ラストは、ジョナサン・リス・マイヤーズの主人公としての面目がようやく保たれた、という結末に。タイトルに代表されるように、過去の名作のオマージュがあちこちにあるようです、とは言ったものの、「チーズ・ロワイヤル」ネタは私には分かりませんでした・・・。
- ヒロインのカシア・スムートニアックは、ペネロペ・クルスとキーラ・ナイトレイとオルガ・キュリレンコとナターシャ・キンスキーを足して4.5で割った、という感じ。(^o^) つまり、没個性的なのです。
- 容赦なく人が殺される、主人公らに銃弾が決して当たらない、相変わらずアラブ人が悪者扱いにされている、などが気にならない御仁には大いに楽しめる1作ではないかと思います。
- (BS-HV)
2011.03.21 ハート・ロッカー ★★★
- 昨年度(第82回)のアカデミー賞で、大本命(?)と考えられた「アバター」を押しのけて、作品賞と監督賞など6つのオスカーを受賞した作品。しかも本作の監督であるキャスリン・ビグローは、こともあろうに(と言うこともないか)ジェームズ・キャメロンの元妻であることも、大いに話題となりました。
- イラク戦争を舞台にアメリカ軍の爆発物処理班の命がけの行動を描いたもの。まるで実写のドキュメンタリーのようなカメラワークで全編押し通される本作は、臨場感、緊張感がハンパではありません。無謀なまでに危険を顧みず任務に忠実な主人公も、ある意味、魅力的。しかし、物語性が全くないのです。全て爆発物処理を描いているかというとそうではなく、中盤、敵味方での静かなる狙撃シーンが延々と挿入されて、テンポを悪くしています。
- 本作を戦争賛成のプロパガンダだとか、イラク人を悪魔のごとく描いているとか、実際の戦闘はあんなものじゃない、などという酷評も百出しているようですが、それほど深刻に考える必要があるのかどうか・・・。しかしながら作品のまとまりの悪さやメジャーな俳優が主役格になっていないなど、本作が「アバター」に勝るかというと、私は疑問に思います。まあ、アカデミーの会員が、青くて気味の悪いエイリアンが気に入らなかったとか、元夫婦対決で、当然ながら女性に肩入れした、ということではないかと思っています。(^o^)
- 因にタイトル(Hurt Locker)は、「傷ついたロッカー」ということで、棺桶を指しているのだとか。
- (BS-HV)
2011.02.20 サロゲート ★★☆
- 人間の身代わりのロボット(サロゲート:SURROGATE)が、日常生活の一切を行う社会を描くSFサスペンス。うん、ロボットを扱った作品としてはありがちな設定です。
- 原作はグラフィック・ノベルということですが、多分、「アバター」や「マトリックス」からヒントを得ているに違いありません。ただ、「アバター」や「マトリックス」に比べて、本作品はかなり複雑な構成、展開になっていて、ポカンとして見ていると置いてきぼりを喰うことになります。何もあそこまで捻らなくてもよいのでは・・・。
- 何しろ外に出ていて働いたり、余暇を楽しんだり、はたまた戦争をしたりするのは全てこのサロゲート。交通事故にあったり、戦死したとしても、元の人間は全く安全という世界なのです。サロゲートの容姿は自由自在で、自分より男前で、若い出で立ちでもOK。金髪美女のサロゲートの元人間が、実はメタボのオヤジだったなどの設定もあって、笑えます。
- そんな安全な社会が、あるとき狂って行って人間世界が危機に陥っていく、というストーリー。いや、サロゲートの存在があるだけでも十分狂っていると思いますが・・・。
- 冒頭から現れるブルース・ウィリスはフサフサの金髪につるんとした若いお顔。で、元人間のウィリスはハゲにひげ面で、やはりこの方が安心できます。妻役のロザムンド・パイクのサロゲートもいかにもロボット的。CG処理をしているのでしょうが、雰囲気を出しています。
- 監督は「ブレーキ・ダウン」、「U-571」、「ターミネータ3」のジョナサン・モストウですが、本作はこれらと比べると出来としてはB級でイマイチ。89分という短さは助かります。
- (BS-HV)
2011.02.12 ウルフマン ★★★
- 古典的ホラー「狼男」のリメイクとのこと。「ハウリング」、「狼男アメリカン」など、いわゆる狼男ものは、従来からい〜っぱい映画化されていると思いますが、今更これを何でリメイクするんでしょう。アンソニー・ホプキンスやベニチオ・デル・トロほどのメジャーな配役でなければ、劇場公開無しにすぐDVD化されて一部のカルト・マニア向け作品となること、間違いなし。
- オリジナルの「狼男」は見たことがあるのかどうかは記憶に無いのですが、ストーリーはほぼ分かっています。随分忠実にリメイクされているのではないでしょうか? 作りとしては、良く言えば正統的、悪く言えば新鮮味の無いものになっていますが、これは敢えてそうしているのかも知れません。変身完了後の狼男の造形も、これまでのイメージどおりB級風。変身シーンなどのVFXも今の技術ならばあんなものでしょう。いや、むしろ期待外れかも・・・。
- 悲哀、悲恋を大きく絡ませるのは、他のモンスター作品と同様。サー・ホプキンスが出ていることや挿入される音楽が似ていることなどで、コッポラの「ドラキュラ」を想起させられました。首や手足、臓物が威勢よく吹っ飛んだりする残酷描写満載なので、スプラッターの苦手な人は要注意です。
- それにしてもベニチオ・デル・トロは素でも狼そのもの。(^o^) かつてのハエ男(ザ・フライ)のジェフ・ゴールドブラムといい、ハリウッドは巧い配役を考えるものです。ヒロインのエミリー・ブラントは、「プラダを着た悪魔」にも出ていたとのことですが、こんな美形、おりましたっけ? 悲しかったのは、ジェラルディン・チャップリン(チャップリンの娘ね)の老けぶり。楼蘭のミイラかと思いましたもの。ここでもいい味を出している警部役のヒューゴ・ウィーヴィン(マトリックスのエージェント・スミスね)も、最後は咬まれてしまった。ということは、彼の主役で次回作が・・・?
- (BD)
2011.02.05 RED/レッド ★★★★☆
- オヤジ映画の「エクスペンダブルズ」を劇場に見に行った際に予告編上映されていて、これまたオヤジ映画の本作を是非劇場で見たいと思っていました。観客は流石にジジイとバ、失礼、ご年配のお客が多く、頼もしい限りです(意味不明)。
- REDというのは、Retired Extremely
Dangerous(リタイアした超危険人物)の意。年金生活をしている元CIAの特殊工作員の主人公(ブルース・ウィリス)がある時何者かに襲撃され、昔の仲間(モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンというジジイ、ババア)とともに、その黒幕を突き止め反撃して行くという、極めて分かり易いストーリー。うん、ストーリーもボケた頭でも大丈夫な人達向けなのですね。(^o^) 年寄りの俳優陣の中で、少しは華があるようにとメアリー=ルイーズ・パーカーを配します。もっとも彼女も46歳ですが・・・。
- 中規模のシアターは音量レベルが平均より高めに設定してあるようで、銃や火薬を駆使した本作ではまさに耳をつんざくような大音響。まさか、耳が遠いであろう観客に配慮してくれているのではないでしょうね。
- とにかく痛快、痛快。あんな銃撃戦でも弾が当たらない、例え当たって瀕死の重傷のように見えても次のシーンでは元気一杯、などご都合主義満載ですが、そんなことを吹っ飛ばすような勢いのあるのが素晴らしい。コミカル仕立てで、笑う場面も盛り沢山。私も大いに笑わせて貰いました。
- 本作でもジョン・マルコヴィッチのキレぶりは大いに見もの。ホントこの人のキャラ、私は好きです。彼が銃をぶっ放して相手の女スナイパーを仕留めた後に言う「なにが、ジジイだ」と言うセリフに大笑い。登場シーンでスケベオヤジぶりを発揮するモーガン・フリーマンも中々素敵。一番驚いたのは(まあ、予告編から分かっていましたが)、マシンガンをまさにガンガンとぶっ放すヘレン・ミレン。エリザベス女王を演じたら右に出るものがいないという楚々とした彼女の、嬉々として銃弾を放つ姿との落差が面白い。ただ、折角の娯楽作なのだから、あの人物は殺さないで欲しかったですね。
- これなら続編もアリではないかな。ともかくオヤジが休日に頭を空っぽにして見る映画としては第一級品の大作と思います。(^o^)
- (劇場)
2011.01.30 しあわせの隠れ場所 ★★☆
- 昨夜、にわかサッカーファンとなった私は、眠いながらも日本の勝利に大満足。で、塞がりそうな眼をこじ開けて今日見る映画は、アメフトのお話。主演のサンドラ・ブロックが本作でアカデミー賞の主演女優賞をとったことでも話題を呼びました。
- 住むところもないような極貧の黒人少年を、裕福な白人家族が手を差し伸べ、一流のアメフト選手に育て上げる、などという偽善の匂いがプンプンなストーリー。引きますね・・・。ただ、サンドラ演ずるイケイケ主婦の言動は、善意と偽善の谷間のスレスレをいくような設定ではあります。子供たちはともかく、父親のあの寛大な気持ちが本当だとしたら、尊敬すべきでしょう。いずれにしても実話ですから多少の脚色はあるとしても、説得力はあります・・・。
- ストーリーとしては大きな盛り上がりがある訳でも無く、またお涙頂戴にもなっておらず、むしろコミカルな味付けに徹底した演出になっています。まあ、退屈と言えば退屈かも・・・。
- 残念なのは、アメフト選手に成長する黒人少年(青年)を演ずるクィントン・アーロンが、演技にメリハリが無く大根であること。また、彼の生い立ちの描写が不明確であること。まあ、これは実在の彼の母親等の家族に対する配慮でしょう。
- 実録ものではよくあるように、ラストのエンド・ロールで実際の人物の写真が披露されますが、なるほどと思わせるような配役になっています。特に家庭教師を演ずるキャシー・ベイツは本人ととても良く似ています。サンドラ演じたイケイケ主婦も、サンドラと比べてもがっかりしない程度の容姿ではありました。
- 注目すべきは家族の長男(SJ)を演ずるジェイ・ヘッドの天才的演技。あのハイテンションなノリはYUMAにそっくりで、そこだけは大いに笑わせて貰いました(楽屋オチ(^o^))。
- (BS-HV)
2011.01.23 ココ・アヴァン・シャネル ★
- シャネルと聞いて、すぐさまマリリン・モンローを思い出すというのは、余りにもオヤジ過ぎますでしょうか。(^_^;) ココ・シャネルを演ずるのが、私にとって「アメリ」の印象がまだまだ強いオドレイ・トトゥということで、まあ観てやろうかという気にはなりました。いったいどうやって、何が良くて、あんな頂点に駆け上がったのだろうか、というのも興味の的です。
- やあ、見事に裏切られました。孤児院で育った主人公が、お針子をしながら夜は場末のクラブで歌手のバイトをする、という子供の頃のエピソードはまあ良しとして、その後はひたすら、大富豪の将校と英国の実業家の間を行き来する情婦のような存在として描かれます。これらの描写は起伏がなく、とても退屈。
- フリルのついた華やかな衣装を着る貴婦人方の中で、黒を基調とした地味でボーイッシュな服装に拘る主人公。帽子のファッション・センスは早い頃からあった、ということはまあ分かります。
- いかにしてあの有名なブランドを確立し得たか、というクダリは全くもって皆無で、二人の男の間を行き来する、暗くていじけた性格の田舎女の恋物語がダラダラと続きます。実は余りにも退屈なので、3回に分けてやっと観終えたほどでした(止めればいいものを)。
- あの超有名なブランドの創設者の伝記ものとしては、こんなもんじゃあまずいでしょう。オドレイ・トトゥの老け顔にもガッカリ・・・。(-.-)
- (BS-HV)
2010.12.23 ソルト ★★★★
- アメリカで逮捕され、美し過ぎると評判になったロシアの女スパイ。両国のスパイの交換でロシアに戻ったと聞いて、へ〜え、映画みたいなことが現実にあるんだと思ったものでした。それにヒントを得たのかどうかは定かではありませんが、本作もまさにアンジー(アンジェリーナ・ジョリー)による美し過ぎ、かつ過激な女スパイのお話です。劇場公開時、観たかったのですが観逃してしまっていた作品。
- CIA捜査官のソルト(アンジェリーナ・ジョリー)が二重スパイの容疑をかけられ、逃げまくりながら真相を追及して行く、というようなストーリーかなと予告編などからは想像していましたが、外れました。かなりのミス・リードがあってストーリー展開は混乱の極みなのですが、アンジーの魅力と男勝り(差別?)のド派手なアクションで一気に100分を見せてくれる、ある意味凄い映画と思います。
- 観客を裏切る展開の連続で、ソルトの行動は謎だらけ。しかし観ている間はそんなことを考えているヒマはありません。スタント無しでこなしたという数の々危険きわまりない、かつスタイリッシュなアクション・シーンの連続に口あんぐり状態。冒頭の北朝鮮での拷問シーンの後が凄い。まるでお岩さんのようになったアンジーが現れます。よくあんなメークを許したね。
- アンジーの色々な変装シーンも見ものです。特に黒髪で眼光鋭く歩く姿は後光が差します(意味不明)。しかし、終盤の男装はいけません。良くできてはいますが、途端にチープ感が漂います。
- 脇を固めるのも曲者揃い。CIA捜査官の同僚にリーヴ・シュレイバー(「ウルヴァリン」での狂犬のような兄)とキウェテル・イジョフォー(「2012」でのじれったい男)。夫役にミス・キャスト的なアウグスト・ディール(「イングロリアス・バスターズ」での気味の悪いドイツ将校)。冒頭現れて、ソルトがロシアのスパイだと告げるダニエル・オルブリフスキーは、私は知りませんでしたがポーランドの名優なんですね。存在感がありましたもの。
- BDには「劇場公開版」、「ディレクターズ・カット版」、「別エンディングのディレクターズ・カット版」の3種類があってそれぞれに楽しめてサービス満点。いずれも続編あり、という感じで終わっています。しかし、本作で謎を全部披露しているので、続きは大変だと思いますが・・・。
- (BD)
2010.12.19 96時間 ★★★☆
- 「シンドラーのリスト」でのオスカー・シンドラー役、リメイク版「タイタンの戦い」でのゼウス役など、リーアム・ニーソンはどこか気品があって優しい男というイメージですが、本作ではブルース・ウィリス、あるいはスティーヴン・セガールばりに荒々しく戦うオヤジを演じているのです。公開当時、かなり評判が良かったと記憶しています。
- 誘拐された(原題:Taken)娘を救うために元秘密工作員の父親が立ち上がる、というだけであらすじが殆ど分かってしまうほどの一直線の映画です。別れた妻は資産家と再婚し、そちらについて行った娘と会う機会を何よりも楽しみにしている父親、と聞くだけで、既に観客の同情心をわしづかみ・・・。ありがちな設定なのです。
- 父親の心配をよそにパリに旅行した娘は、案の定人身売買組織に拉致されます。その際に娘と電話をしていた父親の言動が凄い。「お前は確実に捕まるから、犯人の特徴を携帯電話越しに知らせろ」などと冷静にも言ってのけるのです。このシーンでこの父親のスーパーマンぶりが分かるという寸法。その後の父親の過激な行動には度肝を抜かされますが、あんなに人を殺していいものか。昔の友人の妻までも脅しのために腕を打ち抜く、などというのは明らかにやり過ぎ。主人公のイメージがかなり下がります。
- それにしても、リーアム・ニーソンがあんなにキレのよいアクションが出来るのにビックリ。ハリウッドのジミー大西こと、マット・デイモンの「ジェイソン・ボーン」シリーズでのアクションを見た時以来の衝撃でした。(^o^)
- 見終えて制作がリュック・ベッソンと知って納得。彼が好みそうな過激なカー・チェイスやガン・アクションでしたもの。
- 邦題の「96時間」という制限時間の根拠が薄弱。上映時間93分という短さは大変よろしい。唯一残念なのは、娘役。完全にミスキャストでしょう。もっと皆に「助けてあげなくては!」と思わせるような美形でないとね・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2010.12.12 パブリック・エネミーズ ★★☆
- デリンジャーと聞くと、私はリンカーンの暗殺に用いられた小型の特徴的な拳銃を思い出しますが、本作の主人公であるジョン・デリンジャーとは無関係のようです。アメリカの大恐慌時代に数々の銀行強盗を働いた義賊的な伝説のギャング、ジョン・デリンジャーの壮絶な半生を描いたもの。タイトル(PUBLIC
ENEMIES)は、FBIから「社会の敵」と名付けられた彼のあだ名を指します。
- う〜む、終始くら〜い顔をしたジョニー・デップと、なが〜いお話し(141分)にややくたびれました。リアリティのある銃撃戦(弾丸が前後左右に飛び交う!)は迫力十分でしたが、あれだけ連続して銀行強盗を働いておきながら、容易に脱獄できたり、街中に平然と顔を出したりできるのが、やや現実離れしているようにしか思えません。特に自分の捜査本部がある事務室に平気で入り込んだり・・・。まあ、それだから伝説のギャングと言われたのかも知りませんが。
- 人間関係が余り説明されず、分かりにくいところも気になりました。実録なんですよね。
- 彼と敵対するFBI捜査官を演ずるクリスチャン・ベールもやたら粋がるばかりで、存在感薄し。銃撃戦以外は地味な展開に、恋物語を絡ませたのは正解でしょう。特にラストにデリンジャーの最後の言葉を聞いた捜査官(「アバター」の悪者役の男だ)が、デリンジャーの恋人(マリオン・コティヤール)にそれを告げ、彼女が涙を見せるシーンは、作為的とは分かっていても感動的です。
- それにしても、ニコリともせず、変なコスチュームで戯けたりしないジョニー・デップは久しぶりでした・・・。(^o^)
- (BS-HV)
2010.11.21 レスラー ★★★
- ミッキー・ロークと言えば、かつては「ナイン・ハーフ」、「エンゼル・ハート」、「蘭の女」などで代表されるセクシーな2枚目スターというイメージがありました。その後消息を聞かなくなったと思ったら、どうやらプロボクサーに転身したとのこと。しかもトラブルを起すなど、よい噂はありませんでした。
- ところが突然(?)「シン・シティ」などで再デビュー。怪物的なメイクの役柄であったことを差し引いても、その容貌やイメージの激変にビックリしたのは私だけではないでしょう。容貌が大きく変わったのは、整形手術に失敗しただけでなく、ボクサー時代に顔の骨折などを繰り返したことにも起因しているようです。
- 本作品はそんなミッキー・ロークの波乱万丈な人生を象徴した映画、という触れ込みですが、まあ後でとって付けたという感が無きにしもあらずです。かつての栄光を胸に、どさ回りを行う老レスラーの哀愁溢れる生き様を描いたもの、などと言うと、それだけで「はい、もう結構です」という感じですが・・・。(^_^;) 馴染の年増ダンサー(マリサ・トメイ)や別居する娘(エヴァン・レイチェル・ウッド)との、悲しいやりとりも涙を誘います。
- プロレスが予め勝ち負けを決めたショーであっても、有刺鉄線や特大ホチキスなどの血を出すための演出は余りにも痛々しい。でも、レスラー達がリング上では悪役であっても、楽屋裏ではお互いを敬う良い人間達に描かれているのは救いかも。
- ラストは余韻を残す巧い演出でした。「死ぬなよ!!」などと誰しもが思ったことでしょう。
- 本作でミッキー・ロークはゴールデン・グローブ賞で主演男優賞を受賞。また、アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされましたが、オスカーには届きませんでした。「その土曜日、7時58分」で超セクシーな役柄を演じたマリサ・トメイは、本作でも熟女ストリッパーを演じ、アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされました。きっと彼女の勇気が買われたに相違ありません。(^_^;)
- (BS-HV)
2010.11.14 イングロリアス・バスターズ ★★★★☆
- 久方ぶりのクエンティン・タランティーノ監督作品。第二次大戦下のフランスを舞台に、ユダヤ人女性のナチスへの復讐と、ユダヤ系アメリカ人部隊(バスターズ)のナチスとの攻防を描いたもの。
- オープニング・クレジットの音楽に、旧録音風な「遥かなるアラモ(The
Green Leaves of Summer)」を使っていることで、まずはニヤリ。尺が長い(152分)、章立てになっている、会話が長い、手書き風コメントが入る、説明のためのシーンが挿入されるなど、クエンティン・タランティーノらしい特徴のよく出た作品で、大いに楽しめます。ただ、相当ショッキングな残酷シーンもありますので、気の弱い方は要注意。
- 5つの章はそれぞれに見どころがあります。特に第1章の農場に隠れていたユダヤ人家族の虐殺に至るまでのシーンや、第4章の地下酒場の密会でドイツ将校から正体を見破られるシーンなどは、緊張感が半端ではありません。流石はタランティーノ、かなりの拘りで脚本を練りに練っていることが窺われます。
- 終盤では史実を無視した展開となりますが、これもありでしょう。生き残りそうな人を容赦なく殺してしまうのも、タランティーノ風か。よくあるハリウッド映画のように、アメリカ人もドイツ人もフランス人もみ〜んな英語を喋る、というのではなく、それぞれがキチンと母国語で話をしていることも得点高し・・・。まあ、それが幾つかのシーンで巧く活用されているのですが。
- ストーリーに大きく絡む、ナチスの残虐な大佐を演じたクリストフ・ヴァルツが凄い。ブラッド・ピットをも喰う怪演で、むしろ彼が主人公と言っても良さそう。アカデミー賞助演男優賞、カンヌ国際映画祭男優賞、その他の賞を軒並みに受賞したことも大いに頷けます。こんな人、今まで何故放っておいた?
- 復讐に燃えるユダヤ人女性にメラニー・ロラン、イギリス人スパイ役にダイアン・クルーガー。いずれも美形の一言。ブラピ・・・、う〜ん影が薄かったなぁ・・・。
- それにしてもドイツにとっては屈辱的なこの映画、ドイツ国内では無事に上映が出来たのでしょうか?(・・;)
- (BS-HV)
2010.11.07 グリーン・ゾーン ★★☆
- ヒットしそうでなくてヒットしたジェイソン・ボーン・シリーズの監督のポール・グリーングラスと、主演俳優のマット・デイモンが組んだイラク戦争を題材にしたドキュメンタリー風作品。ついこの間まで劇場公開されていたような気がしていますが、もうBD&DVDが出たのですね。
- 生物兵器、核兵器などの「大量破壊兵器」を保有していることを理由に、米国が仕掛けたイラク戦争。結局「大量破壊兵器」は見つからず、それが誤情報であったと言うのは周知の事実。本作は「大量破壊兵器」の捜索を命じられたアメリカ兵士(上級准尉)が次第にその情報の信憑性に疑問を抱いて行き、国防総省の巨大な力に立ち向かって行く、という展開が描かれます。タイトル(「GREEN
ZONE」)は「バグダッド市内にある多国籍軍支配地域(=プールサイドで美女を見ながらビールが飲める)」のこととのこと。
- ハンディ・カメラを多用し、モノトーンに近いざらついた映像は、この手の戦争アクションにはお約束のもの。酔いそうな手ぶれ映像は、まるで実写のような臨場感がありますが、後で特典映像を見て納得です。実際に「大量破壊兵器」の探索を行った元兵士を主人公(マット・デイモン)のアドバイザー役として採用しており、かつ実際にイラク戦争に兵士として従事した者を多数、起用しているのです。彼らが戦闘の状況に合わせてどういう行動を取るか、などをポールやマットにその都度アドバイスをしており、よりリアルな感じを出すことに成功しているようです。
- ただ、「大量破壊兵器」が出ないことは当然分かっていますし、余りにも荒唐無稽なストーリー展開にもできないということで、映画としての面白みに欠けてしまっていることは否めません。ラストでイラク人に「あんた達にこの国のことは決めさせない」などのセリフを言わせるのも、やや偽善的で恥ずかしい・・・、などと言うと怒られるかな?(^_^;)
(BD)
2010.11.06 プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 ★★★★
- 随分宣伝にお金をかけていました。本来やさ男のジェイク・ギレンホールが、ドーダと言わんばかりに胸を張ったスチール写真も印象的でした。制作がジェリー・ブラッカイマーですから、まあ映像的には見どころの多い作品であることは容易に想像が出来ます。ただ、ディズニー映画ということで子供向けなのではないか、という心配がありました。
- 果たして見事に子供向けでした、と序盤ではやや脱力気味でしたが、見続けているうちに怒濤のようなVFX攻勢に圧倒させられて、のめり込んでしまいました。時間を戻せるツールが出た瞬間、おおよその展開が読めてしまうのが惜しいかな・・・。中盤でテンポが悪くてやや弛れるシーンも。
- 映像だけが命、のようなジェリー・ブラッカイマーですが、本作品ではストーリーは練られている方だと思います。見せ場は、主人公(ジェイク・ギレンホール)の曲芸師のようなアクション、CGであることは明白ですが美しい都市の佇(たたず)まい、そしてこれでもかというVFX。
- ジェイク・ギレンホールが草食系のイメージを振り払って、すっかりマッチョ男に変身しているのにビックリ。特典映像では相当鍛練していた様子が窺われました。ヒロインはジェマ・アータートン。「タイタンの戦い」(新作の方ね)にも出ていて地味な印象がありましたが、ここではミス・キャストかも。本作に相応しい華がありません(せめて脱ぐとか・・・)。オスカー俳優のベン・キングズレーを起用したことで、黒幕が誰であるか分かってしまうのは致し方ないか・・・。結果的に主人公をサポートする悪党一味のボスを演じたアルフレッド・モリーナ。とても良い味を出していて、極めて印象的。妖術を使う気味の悪い暗殺団のボスは、弱すぎないか・・・。
- 最後は誰もが喜ぶハッピー・エンドとしているのは、ディズニー映画ならなのでしょうが、複数のタイム軸が並行して走っているパラレル・ワールドが前提であるとすると、他の時間軸ではとんでもない悲劇が起きているのですけど・・・。(-.-)
- (BD)
2010.11.03 第9地区 ★★★★
- LOTRなどのピーター・ジャクソンが制作したSF映画で、全米で大ヒットするとともに日本でもかなり評判が良かった作品です。第82回アカデミー賞でも作品賞、脚色賞、編集賞、視覚効果賞の計4部門にノミネートされました(オスカー受賞は無し)。
- 劇場公開のタイミングを逸していて、早く見てみたいと思っていたのですが、スターチャンネルHVでは中々放映されず、ついにしびれを切らしてTSUTAYAへ。7泊8日で200円。旧作扱いなのですが、それにしても随分と安くなったものです。
- 序盤はまるでドキュメンタリー風。しかもエイリアンはすぐに登場します。何と彼らは人間から差別されている難民なのです。まずはこの設定が素晴らしい。
- エイリアンの造形は、「ザ・フライ」と「プレデター」を足して2で割ったよう・・・。何となくB級テイストがプンプンです。エイリアンはモーション・ピクチャーからのCGとのことですが、よくあるような暗がりのシーンなどで誤魔化そうとはせずに、昼間の太陽光の下に堂々と登場。出来によほど自信があるのですね。
- 前半はB級のノリにやや脱力気味でしたが、中盤からスリリングな展開となり俄然引きつけられてしまいました。後半、一気に「トランスフォーマー」状態にはなりますが・・・。中々余韻を残したエンディングもマル。3年後に彼を何とかして頂戴。
- 舞台となるのはアメリカではなく、南アフリカ。エイリアンの扱いが何となくアパルトヘイトを暗示しているようですが、特典映像の解説によれば、そういう政治的な意図はないとのこと。
- 本作品は、監督(ニール・ブロンカンプ)及び主演俳優(シャールト・コプリー)が共に新人で、かつ2人とも南アフリカ出身。シャールト・コプリーは序盤はチャラい男にしか見えなかったのですが、後半ではすっかり見栄えのする良い男になっていました。感情表現もくどくない程度に巧いですし。
- なお、気持ちの悪い(グロい)シーンが多いので、食事などをしながらの鑑賞はお勧めできません。(^_^)
(BD)
2010.10.24 エクスペンダブルズ ★★★★
- シルベスター・スタローンが監督、主演した話題のアクション映画です。タイトルの「THE
EXPENDABLES」は「消耗品軍団」とのこと。
- 笑うしかありません、その1:とにかく布陣が凄い。アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、ジェット・リー、ジェイソン・ステイサム、ドルフ・ラングレンといった主役格級スターの勢ぞろい。「オーシャンズ」シリーズより、上を行っているでしょう。
- 笑うしかありません、その2:ストーリーがまるで付け足し的で、しかも中核をなす敵方の将軍と元CIAの麻薬王との関係が、とても不可解。特にフセインに似ている将軍は、自分の娘を何故ああして放っていられるのか?
- 笑うしかありません、その3:とにかく、ドンパチとアクションが凄い。使った火薬の量は半端ではないでしょう(CGでないとしたら)。ただし、アクション・シーンは動きが速過ぎの上にカット割りが多用されているので、とても眼がついていけません。
- 笑うしかありません、その4:シュワルツェネッガー、スタローン、ウィリスの3人が、一つのコマに納まっているシーンはある意味感動的でもあります。例え、合成であるとしても。シュワちゃんは、帰り際に「I'll
Be Back」とは言いませんでしたが、代わりにスタローンが投げ掛けた「・・・大統領・・・」のセリフには大笑いでした。
- 笑うしかありません、その5:ジェット・リーが道化的役割なのが、ちと可哀想。ファンは怒るかも。
- 笑うしかありません、その6:スタローンは御年64才とのこと。若いですね。ただし、飛行機を走って追いかけるシーンは、相当辛そうでした・・・。
- 笑うしかありません、その7:「消耗品軍団」とは、主人公側を指すのではなく、敵の将軍一派を指すのでしょうね。主人公側は誰一人として消耗しませんでしたもの。
- 笑うしかありません、その8:エンド・ロールに何故か長渕剛の歌が流れますが、違和感あり過ぎでした。
- 予告編上映された「RED」も、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチといったオッサンが活躍するスパイ映画らしい。オッサン、万歳!!私も頑張らねば・・・。(^_^)
- (劇場)
2010.10.16 フェーム ★★★
- 「フラッシュダンス」のテーマ曲である「What A Feeling」は私の好きな曲の一つですが、これを歌っているのがアイリーン・キャラ。そして彼女のデビュー曲であり、アカデミー主題歌賞に輝いた「Fame」が挿入され、彼女自身も出演しているのが、本作「フェーム」なのです。ということで、以前から見たいと思っていた映画の一つでしたが、ようやく観ることが出来ました。
- 歌手、演奏家、ダンサー、俳優を目指して、ニューヨークの養成学校で学ぶ若者を群像劇的に描いたもの・・・、であるとは全く知らなくての鑑賞です。
- ユニークな入学試験(オーディション)シーンから始まりますが、それ以降も複数の若者の行動を小刻みに描きながら映画は進行します。小さなエピソードの積み重ねで、物語的な要素は殆どありません。従って、序盤は殆ど主人公らしきものは特定されず、後半になってようやく焦点が当てられる何人かに絞り込まれて行く、といった塩梅です。
- それにしてもメジャーな俳優が誰一人出ていない、というのは寂しいものです。準主役級のアイリーン・キャラは、テーマ曲他で抜群の歌唱力は顕示するものの、「What A Feeling」でのブレイク以降のよなうな存在感は未だありません(小さな胸も可哀想でしたし・・・)。
- 30年も前の映画ですから全体的に古くささは否めませんが、学食でのシーンや「Fame」が流れるニューヨークの路上のシーンなど、アーチストを夢見る若者の情熱のほとばしりのようなものは大いに感じられました。良かったね、80年代は!(あんた何歳?と聞かないように)(^_^;)
- (BD)
2010.09.26 敬愛なるベートーヴェン ★★★
- 今更こういう映画を制作するというのも、どういう拘りなんでしょう。かつてはゲーリー・オールドマンが演じた作品(「不滅の恋 ベートーヴェン」)がありましたが、本作はしぶしぶのエド・ハリスが演じています。
- 第九交響曲の完成前後のベートーヴェンの晩年を描いた作品です。例によって、ここでは全てのドイツ人が英語を話しますので、気をつけましょうね。(^o^)
- ベートーヴェンには写譜師が3人いて、2人は素性が確認されていますが、残り1人は姓名等は不詳とのこと。その1人は才能溢れるうら若き女性だった、という設定が本作のキモです。まあ可能性は薄いのでしょうが、生涯独身のベートーヴェンの晩年には彼を慕う美女が近くにいた、というのは映画としてはアリと思います。
- ベートーヴェンは例によってかなりの変人に描かれていますが、女性写譜師に向けて尻を出したり、彼女の恋人が作成した建築模型をたたき壊したりするのは、ちとやり過ぎかも・・・。聴衆の拍手が聞こえないほどの難聴なのに、普段の会話はさほど不自由がないような描き方も、少し変。
- 第九の初演指揮を女性写譜師のサポートを受けてやり遂げ、喝采を浴びるという演出はベタではありますが、それなりに感動をもたらします。女性写譜師との男女の関係は、ギリギリセーフかな(?)。
- エド・ハリスは、昔の小学校の音楽室にあったベートーヴェンの肖像画に良く似ています。もう少し、眼がギョロッとしていても良いかも・・・。女性写譜師には、
ダイアン・クルーガー。「トロイ」でヘレンを演じていましたが、ここではトビキリの美女に仕上がっています。キーラ・ナイトレイと雰囲気が酷似していますが、体の凹凸はダイアンの勝ち。(^_^;)
- 「晴れたる青空 ただよう雲よ♪♪♪」。小学生の頃を思い出しますね・・・。
(BS-HV)
2010.09.21 サブウェイ123 激突 ★★
- 「サブウェイ・パニック」(1974年、私は未見)のリメイク作品。1998年にもTV映画としてリメイクされていて、こちらは見ていますが、随分古めかしく感じた記憶があります。ニューヨークの地下鉄のハイジャック犯人と、交渉役となった地下鉄会社職員の攻防を描いたもので、原作はベストセラーであったとのこと。
- 地下鉄のハイジャックですから、どうしてもスケール感が乏しくなるのは致し方ないところ。そこをデンゼル・ワシントンとジョン・トラヴォルタといった超重量級のスターでカバーした、ということなのでしょう。いかにも善良な職員といった感じのデンゼル・ワシントン、冷徹な極悪犯人のジョン・トラヴォルタと、2人ともピッタリの配役です。特にトラボルタは恐ろしいまでの存在感。
- で、どう考えても成功確率の低い地下鉄のハイジャックなんぞを選択した犯人の動機が分かりません。いくら元地下鉄職員が身近にいたとしても、浅はかとしか言い様がないでしょう。しかも元証券マンがあんなに簡単に人を殺すような凶暴な男になるという設定が、いかにも不自然です。
- かてて加えて、犯人の真の目的は何だったのかが最後の最後まで不明です。結局、派手に死にたかっただけなのかな?
- あの状況で平気でビデオチャットを続けているバカ男、折角のビデオチャット映像を何にも活用しない警察、余りにも簡単に人を殺す犯人、犯人の全てが見えているのに一向に狙撃しないSWAT、あんなことで誤射するSWAT、一刻を争うのに妻と電話を止めない主人公、簡単に事故ってしまう現金輸送車など、いらつく場面も満載です。
- 多分、オリジナルの第1作には到底及ばなかったのではないかと想像できます。(-.-)
- (BS-HV)
2010.09.19 トランスポーター3 アンリミテッド ★★★
- リュック・ベッソン制作のトランスポーター・シリーズ第3作目(言われなくても分かりますって)。第1作目、第2作目を見ているのでこれも見なければ、という殆ど義務感にて観賞。
- このシリーズの見どころは、何と言っても主人公・ジェイソン・ステイサムのストイックなキャラ。ハゲていながらあのカッコ良さは何なんでしょう。
- 今回も派手なアクションが満載ですが、特徴的なのは主人公の腕に車から20メートル以上離れると爆発するというブレスレットがはめられているということ。いかにもわざとらしい設定ですが、これが思いの外、いくつかの見せ場を作るのに役立っています。自転車アクション、水中アクション、そしてラストの悪人退治などに。
- ただ、何故あの運搬物をわざわざ離れたところまで運ぶ必要があるのか、契約調印などの手の込んだことをせずに強引に廃棄すればよいものを、とか、肝心のストーリーは破綻していると言わざるを得ません。
- タイヤの空気であれが出来るのであれば、始めから車は浮くでしょうに、とか突っ込みどころは他にもありますが、まあ良しとしましょう。(^_^;)
- ヒロイン(ナタリア・ルダコーワ)はいかにもリュック・ベッソン好みであろう個性的な女性です。赤毛でそばかすだらけ、演技も殆ど素人。女には中々心を開かない主人公が最後には落ちてしまうのは、ややイメージが違うかも。
- そうそう、セーム・シュルト(K1格闘家ね)の登場には驚き、かつ爆笑してしまいました。あんな役、よく引き受けたね・・・。(^o^)
- (BS-HV)
2010.09.05 ブーリン家の姉妹 ★★★★
- ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンという、今を時めく(でもないか)2大女優の共演だから見てみようか、程度の興味でしたが、予想外に見応えのある歴史ドラマでした。まさに英国版大奥物語・・・。
- 新興貴族一族(ブーリン家)とその姉妹の野望と愛憎劇が中心で、フィクション部分も少なくないのでしょうが、何せ英国のローマ・カトリック協会との歴史的訣別やエリザベス一世の誕生エピソードが絡むストーリー展開ですから、最後まで飽きさせません。次々と見せ場を作るテンポの良さは、脚本の勝利でしょう。
- ナタリー・ポートマン演ずる姉のアンと、スカーレット・ヨハンソン演ずる妹のメアリーの性格の対比も面白い。原題は「The
Other Boleyn Girl」ですから、歴史的に有名なアンではなく、メアリーの方にスポットを当てたということなのでしょう。
- スカーレット・ヨハンソンは意識的に地味なメークをしていて、「アイアンマン2」などでのハデハデ・キャラとは大違いです(ツマラナイかも・・・)。ギラギラとした野望を目付きに表すナタリー・ポートマンの演技は流石です。子役(「レオン」のね)は大成しない、というジンクスはこの人には当てはまらないようです。
- ヘンリー八世を演ずるのはエリック・バナ。もっと好色で残忍性を出さないといけないし、小顔がやや不似合いかも(関係ないか)。姉妹の母を演じたクリスティン・スコット・トーマス、老けたね〜。物凄い存在感で、終盤の夫へのビンタにはおののきましたぞい。
- それにしても簡単に首を刎ねる当時の残酷性には辟易。陰謀に絡んだ叔父一家を、ひ孫の代にまで渡って処刑したなどという最後のテロップにも驚きました。
- この映画の後、ケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」、「エリザベス:ゴールデンエイジ」を見ると、更に英国史の勉強になりますね・・・。(^_^)
- (BS-HV)
2010.08.29 インセプション ★★★
- クリストファー・ノーラン監督のこの最新作は、TV-CMなどでの仰天VFX映像で興味を引く一方で、とても難解であるという評判にやや尻込みをしていたのでした。おまけに私が余り好きではないレオナルド・ディカプリオが主人公。なおかつハリウッド映画には日本人(渡辺謙)は出て欲しくないとかねてから思っていたということもあります。
- それでもあの映像は是非大画面で見てみたいという誘惑には勝てず、猛暑の中、シネコンに出かけたのでした。公開後時間が経っているとはいえ、相変わらずこのシネコンの入りはガラガラの状況(どうかつぶれませんように)。
- 他人と夢を共有し、ターゲットからアイディアを盗み出したり、逆にある概念を植え付けたりすることが出来る世界があるという設定。しかもその夢は、夢の中のまた夢というように階層を築くことが出来るのです。序盤で他の要素も含めてこのようなルールが示されるのですが、それを理解するのが老化した頭にはかなりシンドイ・・・。おまけに夢の階層が最大5つ(多分)にも及ぶので、どれが上の階層で、どれが下の階層かが判別しにくいのです。階層別では時間の速度が変わったり、覚醒の仕方が異なるなどというルールがあって、その位置づけをしっかり把握していないと混乱してしまいます・・・。(・・;)
- 期待していたVFX映像も全てCMで披露されているものどころか、CMで主人公が座っていると背面の街が折れ曲がって来るシーンは出てこなかったように思います。
- 本作でキーとなる渡辺謙が依頼したインセプション(植え付け)の動機や方法、その結果がしっかり説明されてなかったのも不満です。そもそも航空機をまるごと買収できたりする金持ちが、そうまでしてライバル会社のコントロールなどしなくてもよさそうなものを・・・。
- 冒頭出てくる日本は、断崖の上にお城みたいな建物があったり、内部はチャイナ風と、やっぱり変。渡辺謙が出ているのにもっとどうにかならないものかね。
- 結論を観客に委ねるというありがちなラスト。あれはコマを倒して欲しかったぞ・・・。
- ディカプリオは健闘。だんだん良い俳優になってきているのは認めます。他では無重力格闘シーンを演ずるジョセフ・ゴードン・レヴィットが中々良いですね。あとはマイケル・ケインやピート・ポスルスウェイトをチョイ役で使って、厚みを持たせようとしているのかな。エレン・ペイジ(歌手のエレイン・ペイジではありません)は悪くないのですが、折角の紅一点ですからもっと華のある女優を起用して貰いたかったですね。例えば、スカーレット・ヨハンソンとか・・・。(^_^;)
(劇場)
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