2010.08.23 ウルヴァリン X-MEN
ZERO ★★★★☆
- X-MENのシリーズ3部作は、数あるアメコミの映画化作品の中では抜きんでているのではないかと思っています。第2作目あたりから、私もはまりました。
- 本シリーズでの主役は何と言ってもヒュー・ジャックマン演ずるウルヴァリンでしょうが、生い立ちが訳あり風で中々その素性が明かされていませんでした。本作品はタイトルにもあるように、時系列的には3部作の最初に位置するものであり、まさにウルヴァリンの誕生秘話を描いたもの。一方では、よくあるスピンオフ作品とも言えると思います。
- なるほど、そういうことでしたか・・・。うん、辻褄が合いますね。第1作目にもスムースにつながります。3部作では他にもストーム(ハル・ベリー)、ジーン(ファムケ・ヤンセン)、サイクロプス(ジェームズ・マースデン)などの人気キャラが登場し、それぞれに活躍し見せ場が作られていますが、本作は他にもミュータントは出るものの、じっくりウルヴァリン一人に焦点を当てています。
- 彼の悲しい生い立ちや苦悩がしっかり描かれ、何故過去の記憶を失っているのか、何故いつも悲しい眼をしているのかなどが明かされます。あの鋼鉄のような3本の爪がどうして出来たのか、なども・・・。それにしても彼が不老であるこは知りませんでした。髪の毛も、3部作のような獣チックになっていない・・・。
- バイク・チェイスやヘリコプターのシーンなど、またラストの原子炉破壊シーンなどもCG臭さはあるものの、見応え十分。特典映像によれば、結構実写も使っているようです。
- 本シリーズを全く未見の方は、まず本作からの観賞をお薦めします。なお、本シリーズから他にスピンオフ作品を出して貰うなら、断然ミスティーク(レベッカ・ローミン=ステイモス)作品をお願いしたいところです。(^_^;)
(BD)
2010.08.08 シャーロック・ホームズ、インビクタス/負けざる者たち、アイアンマン2、アリス・イン・ワンダーランド
- スペイン・ツアー往復でのルフトハンザ機の機内映画鑑賞によるもの。座席前の個人用モニタにて、オン・デマンドで視聴が出来るシステムでした。従って、途中で寝てしまったような場合でも巻き戻したりすることも出来、また機内アナウンスが入ってもそこで一時停止になるなど、従来のものと比べて随分使い勝手は良くなりました。ただし、日本語吹替えのみ、一部原語のみなのが残念。
- 蛇足:ルフトハンザ機の機内サービスはアメリカ系航空会社と比べて良かったです。機内食もそこそこ食べられましたし。(^_^)
(1)シャーロック・ホームズ ★★★
- ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウが共演し、これまでのホームズ映画の印象をガラリと変えたアクション映画としたことで話題を呼んだ本作。単なる謎解きでなく、黒魔術を扱う悪人との攻防を絡め、VFXでも見どころが用意されています。従って、従来のようなシャーロック・ホームズものとは大きく味わいが異なるので、それは覚悟して鑑賞する必要があるようです(別に無いって)。
- 全体的に画面が暗いのが気になりましたが、この時代の雰囲気は出ていたと思います。途中の謎解き、最後の種明かし(やや無理があるけど)などを含め、まあ楽しめる作品には仕上がっているのではないかな。
- ロバート・ダウニー・Jrは「アイアンマン」での活躍から抜擢されたのでしょうか。ワトソンの婚約者を張り合ったり、ボケをかましたり、余り知的でなくてホームズに見えない・・・。ワトソン役のジュード・ロウがここでは余り光っていないのは何故。レイチェル・マクアダムスは、やはり魅力的です。黒魔術師を演ずるマーク・ストロングが津川雅彦に見えて仕方がなかった。(^o^)
(2)インビクタス/負けざる者たち ★★★
クリント・イーストウッドの最新監督作品。彼が今回扱ったのは、やや目先が異なります。アパルトヘイト後の南アフリカで開催されたラグビーワールドカップを巡る実話を基にしたもの。ネルソン・マンデラ大統領の人となりが大きくクローズアップされていて、彼の伝記の一部を描いたものと言ってもよさそうです。
- 主人公は、ラグビーチームの主将で、マンデラ大統領に励まされ戸惑いながらもチームを引っ張っていく様が同時に描かれます。後半は次第にスポ根ものと化していくのですが、変に捻らず単純な盛り上げ方にしているのはイーストウッドの見識なのかな。ちょっと物足りない気がします。
- 27年間も投獄されていながらあの寛容さを持つマンデラの人柄は驚きですが、大分セクハラ発言が多いのではないでしょうか?人妻に向かって、「私の父は何人もの妻を持っていたが、私は一人だけ。貴方を見ると父が羨ましい」などと・・・。
- マンデラにモーガン・フリーマン、確かによく似たシーンもありました。チームの主将はマット・デイモンでしたが、単なる木偶の坊にしか見えませんでした。(^_^;)
(3)アイアンマン2 ★★
ロバート・ダウニー・Jrが再認識された大ヒットアクション・ムービーの第2作目。今回のポイントは、主人公に恨みを持つ難敵(ミッキー・ローク)と主人公をサポートする美女(スカーレット・ヨハンソン)の登場でしょうか。もう一人、アイアンマン・スーツ(?)を着て主人公とともに戦う中佐(ドン・チードル)が登場しますが、やや取って付けたような印象です。
- 第1作と比べて散漫な印象は拭えず、面白みにも欠けます。ただただ、スカーレット・ヨハンソンの謎めいた美しさと華麗なアクション(多分スタント)が見ものの映画でした。アイアンマン3は頼むよ。
(4)アリス・イン・ワンダーランド ★★
「アバター」の向こうを張った3D映画で、「不思議の国のアリス」の後日談という趣でしょうか。オープニングからテーマ音楽を含めて、ティム・バートン色が満載です。ストーリーそのものは余り面白くないのですが、奇抜なキャラの登場人物と実写とアニメを融合させた映像は一見の価値ありでしょう。当然ながら、いかにも3Dのためです、というシーンがあちこちに。
- 何といっても最大の見ものは、大頭の赤の女王を演ずるヘレナ・ボナム=カーターの怪演でしょう。物凄い存在感です。ジョニー・デップのファンはここでの彼のキャラはやはりお好みなのでしょうか?わたしゃ、あの奇怪なメイクに大分引きましたぞい。アリスを演ずるミア・ワシコウスカは、いつも眉間にシワを寄せているのは演技なのかな。余りブレイクする女優には見えませんでした。
(機内映画)
2010.07.19 ハリー・ポッターと謎のプリンス ★★☆
- 何だかんだと言いながら、結局見続けているハリー・ポッター・シリーズ。本作は第6作目で、完結するのが第7作ですから、そろそろ佳境に入ったということでしょうか?
- 主人公の3人の成長ぶりや、VFXにはもはや少しも驚きません。驚くのはそのダークさ加減が益々度を増しているということ。これはもはや児童文学ファンタジーなどではなく、ゴシック・ホラーと言うべきでしょう。
- 闇の帝王ヴォルデモートの幼少の頃の秘密をメインテーマにし、主人公ら3人の青い恋物語を絡ませ、お馴染の空中サッカーのようなクィディッチをアクセントに挿入して、バランスを取っているようです。相変わらず「一見さんお断り」というばかりに、原作を読んでいるのが前提のような展開と構成だと思いますが、今回のメインテーマはそれでも比較的分かり易かったのではないかと思います。
- それでも「謎のプリンス」さんが新たに登場するかと思ったら、何の布石も示さずにこれまでのメイン登場人物の一人がそれだったなど、唐突さと説明不足さは相変わらずです。主要な人物が今回死んでしまうのも、その必然性がよく分かりません。
- 恋の話としては、やはりハーマイオニーとハリーがカップルとなるのが座りとしては良いような気がします。ダニエル・ラドクリフと言えば、今年度のトニー賞での授賞式でプレゼンターを勤めていましたが、眼鏡無しの顔は冴えませんでしたし、一緒に登場したケイティ・ホームズと比べて余りにも背が低くてビックリしました。それに引き換え、エマ・ワトソンは大女優に成長するような予感がします。
- 最終となる第7作の「ハリー・ポッターと死の秘宝」は、前編と後編の2回に分けての公開のようです。う〜ん、引っ張りますねぇ〜。(-.-)
- (BS-HV)
2010.07.04 バーン・アフター・リーディング ★★★★
- 「バートン・フィンク」、「ファーゴ」、「ビッグ・リボウスキ」、「ノーカントリー」などの一風変わった映画を制作しているコーエン兄弟の監督作品。この作品とてその例外ではありません。ドタバタ・コメディと思いきや、中盤と終盤で観客をゾッとさせるようなブラックなシーンが出てきて、まあコーエン兄弟の面目躍如といったところです。
- 何せ、キャストが豪華です。ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンの錚々たるメンバが、くんずほぐれつのドタバタを演じます。複雑に絡んではいますが、分かり易い展開となっているのがよろしい。
- 浮気、出会い系、大人の椅子などかなり下ネタ的要素も強く、お茶の間で家族と一緒に見る映画ではありません。(^_^;) それにしても最初から見る者をグイグイ引っ張る展開の巧さよ。最後まで楽しめました。殆どの人間が悲惨な目に合うのですが、最後のオチが救いになっています。
- ブラピはチャラい男を演じますが、どんな役でも巧くこなせることをここでも証明していて、本作での一番の見物ものになっていると思います。私の好きなジョン・マルコヴィッチも本領発揮で、パワーが炸裂しています。でも、ホントにおつむが寂しくなりましたね。ジョージ・クルーニーはややオーバー・アクトかも。フランシス・マクドーマンドは整形に憧れる独身女性を演じますが、どこより先にあの口元をまず整形すべきなのでは?ティルダ・スウィントン、ああドンドンおばさんになっていく・・・。
- それにしてもジョージ・クルーニーが作る大人の椅子のエピソードって必要だったのでしょうか?単に作品の品位を落としているだけのような気がします。
- タイトル(「Burn After Reading」)の意味は、「読んだら焼却すべし」の意味だと思いますが、本作でキーとなっているCD-ROMにかけて、「読んだ後、CDに焼く」との意味とも取れるとのこと。なるほど。(^_^)
- (BS-HV)
2010.06.27 消されたヘッドライン ★★★★
- イギリスBBC製作の人気TVシリーズを劇場版にリメイクしたものなのだそうな。2つの関連性が無いと思われた事件を暴いていくうち、巨大な軍需企業の陰謀が明らかになっていく(かのように見えるが)・・・、というような、よくありそうなお話。
- ほぼ同時に発生した2つの事件。一つはドラッグ中毒の黒人少年の射殺事件。もう一つは、国会議員のもとで働く女性職員が出勤途中の地下鉄で不可解な死を遂げた一件。そしてその女性の悲報に、その国会議員が衆人の前で冷静さを失い涙を見せたことで2人の不倫疑惑が浮上、マスコミの格好の餌食に、という誠に下世話かつ興味深いイントロです。(^_^;)
- 社会派サスペンスをごくごく正当に描いたものとも言えますね。しかも最後に大きなどんでん返しが待っているという・・・。国家が民間に戦争を委託するなどという構図も、リアリティある演出の連続でそれらしく見えたりもします。あとで確認したら、脚本家が錚々たるメンバらしい。最後まで弛れることなく緊張感を持って見せてくれます。好きですね、こういう映画らしい映画。
- キーとなっているのが、主人公のラッセル・クロウの出で立ち。デブで、酒好き、女好きのむさ苦しい中年男、でも新聞記者としての感は冴え渡ります。このキャラなくしてこの映画は成り立ちません。それに引き換え、国会議員役のベン・アフレックはいかにも整然、平然とし過ぎ。あんな窮地に立たされたのだから、もう少し取り乱してもよさそうなのに。やはりこれはオチの伏線なのでしょうか?
- 編集長役にヘレン・ミレン。この役ではやや勿体ないか。主人公の相棒役にレイチェル・マクアダムス。中々魅力的で、どこかで見た顔と思って後で確認したら、「きみに読む物語」のヒロインでした。議員の妻で、主人公とも微妙な関係の友達役にロビン・ライト・ペン。流石に老けましたが、まだいけますね。
- 事件が解決したと思ったら、最後のオチ。ややご都合主義的で、少々軽い印象を与えてしまっているのが残念。それにこの邦題はなんだ?火サスではあるまいに・・・。(^o^)
- (BS-HV)
2010.05.16 オーストラリア ★★★
- 監督(バズ・ラーマン)も主演の二人(ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン)もオーストラリア出身ということで、公開時には話題となりました。映画自体の評判は余りよろしくなかったことと、165分という長さにいささか躊躇しましたが、日曜の午後の観賞にはいいかな、ということで・・・。(^_^)
- 第二次世界大戦下のオーストラリアを舞台に、夫の消息を求めてイギリスから渡ってきた貴婦人(ニコール・キッドマン)と、現地の粗野なカウボーイ(ヒュー・ジャックマン)との出会いを描き、そこに原住民であるアボリジニとの交流を絡ませた大冒険活劇、といったところでしょうか。大きく展開が二つに分かれていて、前半は牛追いを中心とした大西部劇、後半は日本の真珠湾攻撃のような空襲を絡ませた戦争映画、といった趣です。典型的な悪役(デヴィッド・ウェンハム)が登場して、主人公らの牛追いを邪魔をし、スリルを盛り上げるという前半だけでもお腹が一杯・・・。
- 序盤の貴婦人のカバンの中身が散乱するところや、出迎えるはずのカウボーイが乱闘していてそれに間に合わないといったシーンはB級コメディの乗りで、やや脱力。その後もおおかた予想がつくような展開です。まあ、見せ場を所々に作っているので、それほど退屈しないで最後まで見ることは出来ましたが、薄っぺら感は終始拭えませんでした・・・。
- とにかくキッドマンのスタイルの良さが目立ちます。あの足の長さ、あの腰の細さ・・・。
- アボリジニや女性に対する差別描いているのは、いかにもハリウッド的。それ以前のアボリジニを虐殺してそこに住み着いたイギリス人の酷い歴史を描かないのもハリウッド的。片足で立つ神秘的なアボリジニの長老の存在感がとにかく大きい。
- 日本軍のオーストラリア上陸って、本当にあった?ラストシーンも納得がいかない。少年と素直に別れられる主人公たちの気持ちが知れません。
- 港の俯瞰図はCGであることがありありですが、壮大で美しいオーストラリアの大自然は見ものです。でも私は、この国に対して良い印象がありません。今から約10年前の旅行の初日、シドニーのオペラハウスの前で、カバンに入れていた財布が盗まれたのです・・・。(-.-)
- (BS-HV)
2010.05.08 タイタンの戦い ★★★★
- 1981年に制作されたオリジナル作品は、特撮の大家であるレイ・ハリーハウゼンがストップ・モーション撮影を駆使したもので、精神年齢の低い私としては大好きな作品の一つでした。特にメドゥーサの印象は強烈で、粗い動きながらも炎をバックにしたその登場シーンでは、マジで怖いと思ったものでした。(^_^;)
- さて本作はそのリメイクですが、オリジナルにかなり忠実に作られているようです。気まぐれで我が侭なゼウスなどの神々と半神であるペルセウスらの攻防に、スコーピオン、ペガサス、メドゥーサ、クラーケンなどの神話に登場するクリーチャーが絡みます。オリジナルのストーリーを余りよく覚えていなかったので、スピード感溢れる展開に「ああ、そうだったか状態」での鑑賞でした。
- 最新技術によるVFXは流石に見ものでしたが、3Dメガネのせいもあり、画面が暗くて何が何だか分からないシーンも・・・。お待ちかねのメドゥーサ登場と相成りましたが、とても可愛いお顔なのでビックリ。メドゥーサがこんな小顔の美女でいいのか・・・。(^o^) 蛇の髪の毛や、大蛇のような胴体は、流石に気持ち悪かったのですが・・・。
- 主人公のペルセウスを演ずるのは今を時めくサム・ワーシントン(そーなんです)。没個性の彼がこんなに持て囃されるのは何故なんでしょう?しかもギリシャ神話に坊主頭ではいけないだろ。(-.-)
- ゼウスはリーアム・ニーソン、ハデスにレイフ・ファインズで、登場した時には余りにも漫画チックな出で立ちに脱力してしまいましたが、見慣れるとこの二人は神々にぴったりの貫録でした。ただ、あとのポセイドンやアフロディーテらの印象が薄いこと!
- オリジナル作品ではアンドロメダなど美女たちのサービスショットがありました(それだけを何故覚えている?)が、本作ではその手のものは一切無し。
- 3D作品の鑑賞でしたが、「アバター」などと比較して奥行き感が乏しかったり、シーンによっては殆ど立体感が感じられないなど、本作に限っては余り3Dの意味はなかったように思います(追加料金、返して・・・)。
- (劇場)
2010.04.30 ワルキューレ ★★★☆
- ご存知、最後のヒトラー暗殺計画を題材にしたもの。史実に基づいていますので、失敗することは分かっています。敢えてそれをサスペンス・ドラマに仕立てようとした、監督のブライアン・シンガーのお手並み拝見、というところでしょうか。
- 第二次大戦下のドイツのシュタウフェンベルク大佐(とても覚えられません)が、自宅でワーグナーの「ワルキューレの騎行」を聴いてこの作戦を思いつく、という嘘のようなお話が特徴的。「ワルキューレの騎行」はコッポラの大作「地獄の黙示録」にも使われていました。戦闘ものに合うイメージということなのでしょうか。
- シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)はアフリカ戦線で片目、手首、他方の手の指2本を失います。そんな体の不自由な彼が、ヒトラー暗殺のために自ら爆弾をしかけたり、陣頭指揮を取ったりと大活躍。ギリギリのところで判断をし、追い詰められながら計画を進めて行くという盛り上げ方はそこそこです。
- ただどうしても腑に落ちないのは、あそこまで綿密な計画を立てていながら、何故主人公はヒトラーの生死を確認せずに現場を立ち去ったのだろうか、ということ。あれではあの失敗はなるべくしてなった、なんて迂闊なことをしたのだろうか、という脱力感は拭えません。爆薬の威力の見極めもしなかったのでしょうか。
- それにしてもヒトラー暗殺に同意している反乱分子があれほど多く、かつ頻繁に集会を開いているにも関わらず、事前に洩れないというのも不思議です。
- トム・クルーズはアイパッチの出で立ちがとても似合います(不謹慎かな?)。周りを固めるのも、ビル・ナイ、ケネス・ブラナー、テレンス・スタンプ、トム・ウィルキンソンなど豪華な布陣です。ヒトラーを演じているデヴィッド・バンバーがスゴイ。出番は少ないのですが、ヒトラーの怪物ぶりを巧く演じています。
- セリフは英語、劇中に現れる手紙などの文字はドイツ語という奇妙キテレツさを無視して、何喰わぬ顔で観賞することにしましょう。(^o^)
- (BS-HV)
2010.04.11 ミラーズ ★★★
- 韓国ホラーのリメイクと知って余り食指は動かなかったのですが、予告CMを見る限り、映像が中々面白そうだったのと、主役がキーファー・サザーランドだったので、まあ見てやるか程度の気持ちでの観賞です(何を偉ぶっている?)。
- まあ、正当的ホラー作品というべきなのでしょうが、相当グロいスプラッタ・シーンもあるので、覚悟して見る必要があります。これではR-15もむべなるかな。
- 日常生活でそこら中にある鏡、あるいは反射するものをネタに使うというのは、良いアイディアであると思います。ただ、余りにも超常現象的展開が続くので、それについていけるかどうかですね。宗教的(悪魔的)要素も入っているのですが、何となくストンと落ちない。あのエシカという女性の背景説明が少ない所為でしょう。彼女は不憫ですが、あの連鎖を産んでいるのだから致し方ありません。
- もっと不憫なのが、主人公の妹(エイミー・スマート)。あの顎(アゴ)は酷過ぎます。(・・;) まるで楳図かずおの世界だ・・・。
- 理不尽なのは、あんな廃虚がニューヨークのど真ん中にあることと、あそこを毎晩警備しなければいけないこと。もっとおかしいのが、あんな目に遭いながら、またのこのこと警備に出かけていく主人公。
- 「予想的中率0%のラスト」というフレコミのようですが、確かにあれは予測出来ません。でも影があったのは、消し忘れでしょうか・・・。(^o^)
- (BS-HV)
2010.04.05 アンダーワールド:ビギンズ ★★★
- ゴシック・ホラー作品である「アンダーワールド」、「アンダーワールド:エボリューション」に続く、第3作目。ただし、タイトルが示すように時系列的には、これらの最初に来る作品です。
- 要するにヴァンパイアとライカン(狼族)の誕生と両者が戦うことになった経緯を描いたもの。ただし、ヴァンパイアの娘(ローナ・ミトラ)とライカンのリーダ(マイケル・シーン)とのロマンスが大きくフィーチャーされています。
- 観賞前は、前2作のヒロインであるケイト・ベッキンセールが何故別の女優と変わったのだろう?と思っていたのですが、本作のヒロインは彼女とは別人なのでした。特にビックリするような展開はなく、大掛かりな仕掛けもありません。まあ、そういう展開なんだろうなと、何となく納得させられます。
- 前2作もそうだったのですが、CGの狼がどうもいけません。画面を必要以上に暗くしてカモフラージュしていますが、造形の稚拙さは隠せません。
- 一番ビックリしたのはライカンのリーダ役をマイケル・シーンが演じていること。「クイーン」でのブレア首相役や「フロスト×ニクソン」でのデヴィッド・フロスト役を演じた人物とはまるで別人です。こういう過激なアクションもこなせるのですね。と思ったら、前2作にもマイケル・シーンは出演していたのでした。単に私が気がつかなかっただけ。ヴァンパイアのボスに御大ビル・ナイ。こういう役柄にピッタリ。何せデイヴィ・ジョーンズ(例のタコさんね)と違って、顔は丸出しですから。(^o^)
- ヒロインが光にあっさりヤラレてしまうのに、マイケル演ずるライカンとビル演ずるボスが不死身というのが、何となく納得できず。90分という短さは潔し。
- (BS-HV)
2010.03.22 7つの贈り物 ★★★
- 私としては余り評価しなかった「幸せのちから」と同じコンビのウィル・スミス主演で、ガブリエレ・ムッチーノ監督の作品です。全くの予備知識無しでの観賞でした。
- 冒頭、主人公のウィル・スミスが、これから自殺をするというシーンから始まります。それからの展開は、時折フラッシュバックがあったりして、何か訳ありなんだなとは想像はさせられますが、主人公の行動の意味が殆ど解らずにどんどん進行して行きます。これはかなりフラストレーションが溜まってしまう展開です。早く何とかしろよ!てな感じ・・・。(-.-)
- ようやく途中で心臓病でドナーを待っている女性(ロザリオ・ドーソン)が現れるに至って、ああそうか!とほぼ全容が掴めてしまいます。終始彼が暗い眼差しであること、彼が贖罪しなければいけない理由も。限りなく宗教的なにおいがしますが、キリスト教世界では彼の行動は明らかにNGでしょう。報いる先が違うような気もします(あの遺族なのではないかな?)。
- 原題は「Seven Pounds」で、「7ポンドの重さ」かと思ったらそうではなく、ベニスの商人の「肉1ポンド」から来ているとのこと。つまり「肉1ポンドの重要さ×7」と言うことのようです。数えたら6つまでは分かったのですが、あと1つが思い出せません。サッカーのコーチには一体何をしたんでしょう?
- ウィル・スミスの後ろ姿(あの頭に耳)が、「レレレのおじさん」に見えて仕方がありません。(^o^) ロザリオ・ドーソンは「シン・シティ」でのボンテージ・ファッションでの印象が強いのですが、ここでは汚れ役で、こういう渋い演技も出来る人なんですねと再認識。中々良いと思いました。思い掛けなくウディ・ハレルソンも登場。
- ラストのロザリオ・ドーソンがウディ・ハレルソンと出会い、彼の瞳をじっと見るシーンには泣かされました。それまで極めて冷めた目で見ていたのに、どうしたことでしょう。(^_^;)
- (BS-HV)
2010.03.15 フェイク
シティ ある男のルール ★★
- 「L.A.コンフィデンシャル」、「ブラック・ダリア」などの犯罪小説のジェームズ・エルロイが書き下ろしたオリジナル脚本とのこと。ロサンジェルス市警の刑事を主人公にしたクライム・アクションです。原題は「Street Kings」で、「ストリーキング」ではありません。(^o^)
- 邦題からして、何か大きなどんでん返しがあるのだろうと身構えて観賞したのですが、そうではなく(若干そういう要素が無くもありませんが)、悪名高いロス警察の裏側とそれらの黒幕(=Street Kings?)がのさばる状況を「フェイク」と表現したようです。
- 主人公はキアヌ・リーヴス。ロス警察の荒くれ中堅刑事が似合っているかというと、余りにもキリリとし過ぎていてミスキャストではないかとまずは思ってしまいます。パトカーを運転しながら、ウォッカのミニボトルを飲み干しても様(さま)にはなっていません。
- ストーリー展開は余りにも強引と言おうか、深みに欠け、面白くありません。人がやたらに殺されるのも、見ていてうんざりです。ここで描かれる銃社会が大袈裟でないとしたら、本当に恐ろしいことです。(・・;)
- 黒幕(あの容易に想像が付く男ではありませんよ)は最後の最後に明かされる仕掛けで、なるほどフェイク・シティなんだなぁと感心させられるという塩梅です。
- 主人公の上司に、オスカー俳優のフォレスト・ウィッテカー。ここでもオーバーアクトが目立っていて、相変わらずこの人は大根だなぁと再認識(?)させられます。中盤以降に出てくるイケメン刑事はどこかで見たことがあると思って後で調べたら、「ファンタスティック4」の炎男(クリス・エヴァンス)でした。主人公の恋人や死んだ同僚の妻などの美女を絡ませますが、殆ど意味がないようにも思います。
- それにしても、そろそろもっと面白い映画に出演しないと、イメージがどんどん悪くなって行くよ>キアヌさん。
- (BS-HV)
2010.03.08 フロスト×ニクソン ★★★
- 第81回アカデミー賞(2009年3月)で、ニクソン大統領を演じたフランク・ランジェラが主演男優賞候補となったこともあり、本作を注目していました。
- 例のウォーターゲート事件で現職大統領でありながら失脚したリチャード・ニクソンに、イギリスのTV大衆司会者であるデビッド・フロスト(マイケル・シーン)が単独インタビューを申し込み、米テレビ史上最高の視聴率を記録したという伝説的(?)なTVトーク番組を扱った作品です。原作は舞台劇で、ニクソンとフロストは同じ配役なのだそうな。監督は「ダ・ヴィンチ・コード」、「天使と悪魔」などで名声を馳せているロン・ハワードです。
- このインタビューは、政界に返り咲きを狙うニクソンにとっては自身の正当性を改めて米国全土にアピールするための、またフロストにとってはより高い人気を博するための、それぞれ絶好の機会であった、という風にお膳立てが整っていたのでした。両者ともにブレーンを巻き込んでの駆け引きが展開されていきますが、時々登場人物の後日コメントが挿入され、実録風な仕上がりになっています。当然これらは俳優が演じているので、白々しい感じがしなくもありません。(^_^)
- 見ものは、各2時間の4回にわたるインタビュー・シーン。3回までが余りにもニクソンが優勢に描かれるので、結果を知らない私でも、最後の4回目がどうなるかが分かってしまうのが、本作の最大の欠点と言えるでしょう。他でも事実を脚色したということなので、3回目までは一進一退でどちらに形勢が傾くか分からない演出にすべきだったと思います。また、4回目の起死回生の展開も事実なら止むを得ませんが、いかにもニクソンの不注意さがそれまでの策士ぶりからほど遠く感じられます。
- まあ、それにしてもニクソンの老獪ぶり、海千山千ぶりが際立つこと。フロストからインタビューの提案を受けて、ニクソン自らがギャラをつり上げるシーンには笑いました(60万ドルですぞ!)。ただ、4回目インタビューの前夜、フロストに電話したことを忘れていましたが、あれはニクソンが老人性健忘症にかかり始めていたということを言いたかったのでしょうか?
- フランク・ランジェラはニクソンには決して似ていないと思うのですが、その喋り方など、明らかに本人を徹底的に研究した演技である(多分)ことが想像出来ます。無言での複雑な表情も、とても巧い。残念ながらオスカーは手に出来ませんでしたが。画像をググってみるとマイケル・シーンもデビッド・フロストには髪形以外は余り似ていないようです。
- それにしても、曲がりなりにも米国大統領であった人物を、余りにも哀れな敗者として描くことが出来るハリウッドに、改めて感心することしきりでした。
- (BS-HV)
2010.03.01 マイケル・ジャクソン
THIS IS IT ★★★★
- 2009年6月25日、マイケル・ジャクソンの訃報に接し、死因が薬物と知って、自殺を疑ったのは私だけではないでしょう。しかし劇場公開された本作を見ると、そんなことは100%無かったことが分かります。
- 間も無く51歳になろうとしていた彼が、7月13日スタートのロンドン公演に向けて、いかに注力していたかが、4月から6月にかけての100時間以上のリハーサル風景や舞台裏の記録(つまり本作)から、鮮明にあぶり出されています。特にバックダンサーのオーディション場面は「コーラスライン」を彷彿とさせ、音楽はもちろんのこと、ダンスを含めた全ての演出に完璧さを求めるマイケルを含めた製作者側の熱意が伝わってきます。ダンサーに合格した若者達の喜びようったら・・・。マイケルもミュージシャンに曲毎に色々な注文を付け(時には厳しく、時には優しく)、彼の意図するところに導こうと努力している様が窺われます。
- マイケルのパフォーマンスは、複数のリハーサル・シーンを合成しており、HD映像とSD映像が混在していますが、もちろん音楽とはシンクロしています。しかも口パクではなく、全て生声である(多分)ことに驚かされます。これらのリハーサル・シーンはそれなりに完成度が高いものですが、マイケル自身のボーカルやダンスはある程度セーブされていることが所々で分かります。例えば、「ビリー・ジーン」では、あのムーン・ウォークが披露されないなど。
- 今更ながら、本公演を行うことが出来なかったこと、つまり彼の死が音楽界、エンタメ界にとっていかに大きな損失であったかということを痛感させられます(それほど大ファンでなかった私でさえも)。
- 「スリラー」もニュー・バージョンで披露されますが、舞台のバックに投影するゾンビ達の復活シーンが別に収録されていて、特典映像で見ることが出来ます。併せて、「スムース・クリミナル」ではリタ・ヘイワースやハンフリー・ボガードの古い映画(題名は私は知りません)と合成しているのも面白い。まあ、このシーンのマイケルは余り雰囲気と合っているとは言い難いのですが・・・。
- 他の注目は、一躍脚光を浴びたブロンドの女性ギタリスト、オリアンティでしょう。バカテク振りがとにかく半端ではありません。
- 冒頭、バック・ダンサー達の涙ながらのコメントが映し出される以外は、彼の死については一切触れられていません。マイケルの追悼を全面に押し出した(お涙頂戴)映画としなかったのは、ロンドン公演の舞台監督で本作の監督でもあるケニー・オルテガの卓見であるように思います。
- (BD)
2010.02.20 その土曜日、7時58分 ★★★★☆
- 本作の原題は「BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD」。全文はこの前に「MAY YOU
BE IN HEAVEN HALF AN HOUR 」が付き、「お前が死んだことを悪魔が気づく30分前に、天国に着きますように」と言う意味になります(と冒頭に提示されます)。「お前」とは地獄に落ちるような悪人のことであり、本作はそのような人々の物語です。
- お金に困っている兄弟が、ある宝石店の強盗を計画し実行するも、手違いから悲劇が起こり、更にそれが悲劇を呼び、どんどん奈落に落ちて行くという塩梅です。
- 暗い、重い、辛い、破綻、陰惨、泥沼、絶望、負の連鎖・・・、そんな映画です(どれだけ酷いのだ)。兎に角、見ていて息苦しくなりました(心臓に悪いかも)。レイティングがR-18であるのは、冒頭のベッド・シーンのためだけでなく、この救いようの無いストーリー展開のためとも思えるほど。
- 本作の監督は「12人の怒れる男」、「狼たちの午後」などのシドニー・ルメットで、御歳84歳とか。その年でよくまあこんな映画が撮れるなあと感心させられます。時間軸を変えて、ある事柄を異なる人間の視点から描いて行くという、最近では珍しくない手法が取られていますが、本作ではそれが緊張感にメリハリを付けていてとても効果的。
- 少し腑に落ちない点も幾つか。何故宝石店の店番が誰か、しっかり確認しなかったか。リオに高飛びしようとしていた兄は、何故名刺を渡したか。弟の結末はどうなったか。父親は事実をしっかり確認せずに、何故あの行動に出れたのか。
- 兄を演ずるのがオスカー俳優のフィリップ・シーモア・ホフマン。ここでも怪優ぶりを発揮して、役に見事にハマッています。彼が麻薬を打ちに通う店の男のファッションが印象的。ダメ人間の弟を演ずるのが、イーサン・ホーク。主役も張れる2枚目の彼がこんな役でいいのか・・・。フェロモン全開の兄の妻役は、マリサ・トメイ。45歳には見えない裸体を、惜しげもなく披露しています。父親役が御大アルバート・フィニー。彼のラストの行動が、本作の原題を表しているのでしょう。
- 本作は必ず体調の万全な時に観賞することをお勧めします。また、ゆめゆめ雨降りの日曜日の午後などには見ませんように・・・。(・・;)
- (BS-HV)
2010.02.14 インクレディブル・ハルク ★★
- エリック・バナ主演の「ハルク」にはがっかりさせられたので、本作品にも余り食指は動きませんでした。予告CM等で見る限り、変身したハルクの造形は相変わらずマンガチックであり、SFXの出来も余り良いとは思えなかったからです。
- 興味の的は主演のエドワード・ノートン。あの曲者的演技を行う彼は、どう考えてもこの手の映画のヒロインには似合わないと思ったことでした。まあ、最近は「アイアンマン」をあのトウが立ったロバート・ダウニー・Jrが演じていますから、驚いてはいけないのかも知れませんが・・・。共演はリヴ・タイラー、ティム・ロス、ウィリアム・ハートなど豪華な布陣で、厚みを持たせるよう努力してしていることが窺われます。
- 本作はエリック・バナ主演の「ハルク」の続編でもなく、リメイクでも無く、全くもう一つのハルク、と見た方が良さそうです。背景には軍事目的が絡む科学研究があるのですが、これはよくあるようなお話で何となく取って付けた感じ。要は、緑色の巨大怪物への変身とそのアクションが見せ場なのでしょう。
- ところがこのハルクが全くエドワード・ノートンの面影がないばかりでなく、余りに醜く、その落差に脱力してしまいます。前作で、巨大化したハルクのズボンだけが一緒に大きくなることに突っ込みを入れましたが、本作ではその反省があったのか、大きめのズボンを選ぶシーンがあります。でも、やはりあんなに大きくは伸びませんよね。(^o^) クライマックスはお決まりのティム・ロスが変身したもう一つの化け物との一騎打ち。更に漫画的な展開になります。
- ラストは、あの人物が出てきてビックリ。そうか、同じマーベル・コミック作品ですものね。見る順番を間違えると、あれ、何この人?状態になります。
- 久しぶりに見たリヴ・タイラー、ややドスコイ体型がかってきていて、可哀想にも次第に父親(スティーヴン・タイラー)に似てきていますが、まだまだ美形を保っています。エドワード・ノートンは脚本にも参画しているなど、本作品に入れ込んでいるようですが、彼の才能からしたらやっぱり勿体ないでしょう。
(BS-HV)
2010.02.01 あぁ、結婚生活 ★★★☆
- 1949年(!)という古き良き時代のアメリカを舞台にしており、ヒッチコック的なミステリーも絡めて、中々興味深い展開のドラマと言えると思います。ミニ・シアターでしょうが、一応劇場公開作品です。原題はまんまの「MARRIED
LIFE」。
- 孫もいるような歳(!)のエリート・ビジネスマン(クリス・クーパー)が、愛人(レイチェル・マクアダムス)と結婚するために妻(パトリシア・クラークソン)の殺人を企てるというお話。そこに独身の主人公の友人(ピアース・ブロスナン)が、その愛人に横恋慕してしまうという風に絡みます。
- まずはオープニング・クレジットが良き時代の雰囲気一杯で、中々良い滑り出しです。ゆっくり、ゆっくりお話が進むところもよろしい。殺人の動機がやや説得力が無いこと(身勝手過ぎる!)と、主人公の友人の言動がやや不可解(何故あんなに悠然としていられる?)ではありますが、総じて楽しめる、映画らしい映画と言えると思います。ただ、結末は予定調和となってしまって、もう少しヒネリが欲しかったですね。
- 特に不満も無い妻と、若くて美しい愛人との関係に悩む男の苦悩をクリス・クーパーが好演しています。本作は一応コメディ・ドラマに分類されているようですが、この人の狼のような鋭い眼光を見ていると、とてもコメディには思えません。良い俳優だと思います。愛人役のレイチェル・マクアダムスは、「きみに読む物語」のヒロインでした。ここでは飛び切りの美女に仕上がっています。多数の映画に出演している(気がする)妻役のパトリシア・クラークソンも好演。結局、一番得をする役のピアース・ブロスナン。どうもこの人はジェームス・ボンドのイメージが強くて、何を演じても私は違和感を感じてしまいます。
- 休日の昼下がりなどに、独りで観賞すべき作品です。(^_^;)
- (BS-HV)
2010.01.25 愛を読むひと ★★★
- 2009年度のアカデミー賞でケイト・ウィンスレットが主演女優賞を獲得したこともあり、この作品を注目していました。レンタルしたブルーレイ・ディスクは、「完全無修正版」などという凄い表記付きです。
- 原作は「朗読者(The Reader)」のタイトルで、大ベストセラー小説であるとのこと。ケイト扮する36才の独身女性と15才の少年の、いわゆる「ひと夏の経験」から物語はスタートしますが、その後の展開はそんな青春ドラマとは異なり、ホロコーストが絡む重い展開になります。
- 見終わって、どうもスッキリしないのですな、これが・・・。まずはドイツが舞台なのに、例によって全員が英語を話していること。ドイツ語訛りの英語のようにも聞こえますが、それは意味がないというものです。ケイトの相手役を少年時代及び青年時代はデヴィッド・クロス(新人らしい)が、成人してからはこの手の暗い映画にはピッタリのレイフ・ファインズが演じているのですが、両者のイメージがかなり異なっているので違和感が拭えません。デヴィッドのあの顔なら、成人したらジョン・トラボルタでしょう。(^o^)
- ケイト扮する女性が、職を犠牲にしたり刑期を延ばされても文盲の暴露を避けることに拘ることにも合点がいきませんが、これは元々理解しがたいところのある女性という設定でしょうから、まあ良しとしましょう。成人した男が、セッセとテープに録音して送り込む労を惜しまないのなら、何故最後にあのような冷たい態度に出たのか。あれでは「愛を読んではいない」ではありませんか。冒頭で成人した男(つまりレイフ)が浮気性であることを暗示するシーンがあるので、そのような人間であるということであれば、致し方ありませんが・・・。
- ケイトの老けメイクの出来はイマイチ。彼女あの大胆な体当たり演技がオスカー獲得に貢献したのでしょうが、確かにあの「足」は凄かったなぁ。(^_^;)
- (BD)
2010.01.17 X-ファイル:真実を求めて ★★
- 前作「X-ファイル ザ・ムービー」から10年ぶりに映画化された本作。監督がTVシリーズの製作者のクリス・カーター自身なので、期待できるのではと思いました。見た結果はさにあらず。
- X-ファイルのTVシリーズでは、UFOなどのSFがかった怪奇現象、超常現象などを題材にして、政府の陰謀などと絡ませ、スリリングな展開を見せてくれていました。また主人公のモルダー(デヴィッド・ドゥカヴニー)とスカリー(ジリアン・アンダーソン)の魅力的なコンビと、例の特徴的なテーマ音楽で、私も一時期嵌まっていました。
- 本作は、モルダーとスカリー(老けたのは止むを得ません)コンビと、例のテーマ音楽(ロック調にアレンジされていましたが)の復活は嬉しい限りなのですが、内容が全くX-ファイル的ではありません。かろうじてサイキックの神父が登場しますが、それ以外はよくあるネタ(よくある、というのがある意味恐ろしいのですが)を使った正統的なサスペンス・スリラーとなっています。ただ、サイキック神父と本題との関係がチグハグにしか見えないなど、脚本もうまく書けているとは言い難い・・・。しかも大掛かりなシーンは皆無で、全くの低予算映画にしか見えません。う〜ん、ちょっと違うんでないかい・・・。(-.-)
- モルダーとスカリーがいきなりベッド・インしているのにビックリ。いつからそんな仲になったの?(・・;)
TVシリーズでは二人の間には恋愛感情的なものはなかった(少なくとも表現されてはいなかった)と思いますし、前作の映画作品でもキス寸前のシーンはあったものの、寄らず離れずの関係が二人の持ち味(?)だったのではないかと思うのです。ということで、モルダーとスカリーが深い仲になったことを知らしめるという意味では、本作は価値ある作品と言えるのかも知れません(なんのコッチャ)。(^_^;)
- (BS-HV)
2010.01.10 アバター ★★★★
- 本作は「タイタニック」、「T2」、「エイリアン2」などの名作を手がけたジェームズ・キャメロン監督の12年ぶりの作品であること、3Dによる驚異的映像作品であることなどから、巷では随分と話題になりました。
- 年末、正月は見に行けなくて、ようやく見ることが出来ましたが、狙った上映時間の1時間前に行ったら何と既に満席とのこと。いつも空いている映画館なのに、珍しいことです。止むを得ず次の上映時間のチケットを購入して、また出直したのでした。
- 上映が始まってテロップに促されて3Dメガネをかけると、おお!、文字が浮き上がって見えます(当たり前か)。ストーリ展開は極めて分かりやすくて、安心して見ていられます。アメリカ先住民を迫害した白人の物語、つまりまんま西部劇、と言ったら叱られますでしょうか? 若干偽善的な匂いがしないでもありません。
- 結局、上映時間160分強の殆どが、フルCGによるアニメなんですね。これはもう実写映画とは言えないでしょう。しかもパンドラという星に住むナヴィ族というのが、青色の肌を持つ長身で、眼と眼が離れて鼻がつぶれた、お世辞にも可愛い、美しいとは言えない造形なのです。この容姿を生理的に受け入れられるかどうかが、この映画への感情移入の境目となるでしょう。まあ、私はその醜さは後半には慣れましたけどね。「アバターもエクボ」と言うくらいですから・・・。(^o^)
- 最大の問題は、3Dメガネをかけることによる映像の暗さでしょう。かなり、眼が疲れます。試しに途中でメガネを外して見ましたが、普通に明るく見えます。プロジェクタ方式ではこれ以上に輝度を増して明るくすることは困難なのでしょうが、今後拡大していくであろう3D映画の大きな課題であると思いました。むしろ、ブルーレイ化した2Dソフトを液晶TVで視た方が、鮮やかな色彩が楽しめて良いのではないかな?
- 主人公は「ターミネータ4」でブレイクしたサム・ワーシントン(どうしても、ソーですか、と言いたくなります)。ユアン・マクレガーをワイルドにした感じですが、余り個性的ではありませんね。今更シガニー・ウィーバー大姉御が出て来て活躍するのは何故でしょう?ナヴィ族のヒロインをパフォーマンス・キャプチャー(実際の演技をコンピュータで取り込んでCG化する)で演じているのが、ゾーイ・サルダナ。本人の顔や姿が一度も出ないのは、やや可哀想か。
- ラストはご都合主義過ぎですが、まあ、あれでないと納まらないのでしょうね。次回作も作れるでしょうし・・・。
- エンドロールに現れるスタッフの数の多さに呆気にとられて、劇場を後にしたことでした。
- (劇場)
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