= 焚き火のまえで =
以前紹介した上川井の"横浜温泉"に次いで、横浜市内の知られざる温泉をお伝えする第二弾です。
今回行ってきたのは、横浜市鶴見区生麦にある"松の湯"です。
昔ながらの商店街の一角にある松の湯は、見た目も雰囲気もふつうの下町の銭湯。料金も400円(2004年)と銭湯協定料金ながら、実は中のお湯はとびきり濃厚な温泉水なのです。
松の湯のお湯は、いわゆる「黒湯」と呼ばれるもので、東京の蒲田あたりから川崎、横浜にかけて広く分布している黒っぽい源泉水脈のひとつです。
この周辺の銭湯では、"温泉"と銘打っていなくても、この黒湯を利用している施設が多いのですが、なかでもこの松の湯の濃さの点で秀でているので有名です。
国道15号線(第二京浜)を折れ、小さな商店街を進むことしばし。一方通行路にぶつかる左角に目指す松の湯はありました。間口の小さな古びた銭湯、そんな印象です。
中に入るとますます薄暗くますます古くさい雰囲気(失礼!)
中はほんとに小さな銭湯なんですが、その湯船にたたえられたお湯は、一見して尋常でないのがすぐわかります。
真っ黒!
真っ黒は真っ黒でも、透き通った黒ではなく、まるで墨汁のような濃厚な黒なのです。
湯船からあふれ出たお湯は、床のタイルをはっきりと黒く染めています。
これまで黒湯の温泉にはいくつか入ってますが、確かにこれはスゴイかも、と唸ってしまうレベルの色の濃さでした。
さっそく湯船に身を沈めますが、あまりの色黒さに透明度はほとんどゼロ。まるで体を汚しているかのような気分になってしまうほど。事実湯上がりの体も黒く染まります。洗い場まで歩いていく間には、ポタポタと黒い水たまりが続いていきます。。。
松の湯では、温泉の登録申請をしていないようで、成分表のようなものはありません。泉質は不明ですが、肌のスベスベ感はかなりはっきりありました。ドハデは色とは裏腹にニオイや味はほとんどなし。
度肝を抜かれる濃さといい、この泉質、かなり気に入りました。
松の湯の温泉は、昔で言うところの鉱泉、つまり冷たい湧水を湧かしているタイプの温泉です。わき出たままの源泉風呂(つまり黒湯の水風呂です)も用意されていますので、冷水で体を冷ましてまたお湯へ、という繰り返しもなかなかよかったです。
あと、昔ながらの銭湯にしては珍しくサウナがついていて、料金は400円に込みのようです。
建物や施設自体は、かなり古いというか老朽化が進んでいて、お世辞にもきれいとは言えない感じではありますが、泉質に関して言えば是非体験をお薦めしたい横浜の名湯でした。
〜メモ〜
横浜方面から車の場合は、国道15号線「南仲通入口」を右折して、生麦南仲通商店街の中を進んでいく。一方通行の通りにぶつかる左角が松の湯。あたりに駐車できそうな場所はない。一通を抜けて15号に戻り、再び松の湯方面に戻る途中の15号沿いに100円パーキング(20分100円)がある。パーキングから松の湯までは徒歩5分。
電車で行く場合、最寄り駅は京浜急行花月園前。徒歩10分くらい(たぶん)
By あきば・けん e-mail address |