その3
テントを張った「イタジキ川出合(であい)」は、浦内川と板敷川が合流する場所。板敷川というのは、その名の由来なのか、岩床を流れています。その川の脇の森のなかにぽっかりと開けた空間があって、なかなか快適なキャンプサイトになっています。
地元の営林署が勧める正式なキャンプサイトは、もう少し先に行ったところにある第二山小屋跡なんですが、雰囲気的には、こちらのほうが個人的には好きです。サイトのすぐ脇にきれいなせせらぎが流れていて水汲みにも便利。
西表縦断路を外れて、イタジキ川を遡ること30分、マヤグスクという大きな滝が待っています。上の写真のような扇形にひろがるきれいな階段状の滝。その気になれば滝の右手の流れが少ない部分を選んで滝の上に登ることも可能です。
ただ、ここでは事故が頻発している場所なので、単独行の今回は上にいくことは控えておきました。
マヤグスク滝は、漢字では『猫城滝』と書きます。ヤマネコの城ということなんでしょうか。写真では写っていませんが、この滝の両脇は切り立った崖になっていて、まるで要塞のよう。とても神秘的な滝です。
イタジキ川のキャンプサイトから、縦断路を1-2時間も歩けば、縦断路も終点。軍艦岩と呼ばれる浦内川中流の船着き場に到着です。その手前にあるのがカンピレーの滝とマリウドの滝。観光船に乗った観光客が遊びに来る西表島屈指の観光スポットになっています。
特にマリウドの滝は見事! 高台にある展望台から見おろす姿も立派ですし、滝のすぐそばに近づけるのもうれしいところ。大きな滝の割には、安全柵もなんにもなく、ただ自然の滝がポツンと大自然のなかにある状態。観光地といえば観光地ですが、内地みたいにスレてないし、派手な看板とか土産物屋があるわけでもなし。ある意味貴重です。
軍艦岩から滝までの遊歩道はちゃんと整備されていますが、シダが生い茂り、あちこちから水が流れ落ちて、かなり本格的なジャングルを体験できます。縦断なんぞしなくても、これだけでもかなりの満足度。人気なわけです。縦断はちょっと...という人でも、西表へ行ったらここだけはぜひ!
マリウドの滝、カンビレーの滝周辺の大地は岩盤でできているのですが、ここではちょっとかわったモノが見られます。きれいにくりぬかれたかのような岩床の丸い穴。ポットホールと呼ばれるこの穴は、川の流れと石ころによって長年かけて作られた天然の穴です。
中には水が溜まっていて、五右衛門風呂に見えなくもない。ということで、エイヤっと服を脱いで穴に身を沈めてみました。
それが右の写真(ちょっとわかりにくいですが後ろ姿です)。実際に入ってみると、けっこう深さがあって、かろうじて足がつくくらい。これがお湯だったらなぁ、と残念でならないくらいの見事な風呂っぷり。
近くで焚き火をして、焼け石を作って中に放り込んだら、それこそ露天風呂になるんじゃない? と真剣に考えてしまいました。
3月はじめの西表島。暑いときは真夏みたいな日もあれば、雨なんか降るとかなり寒い。そんな中でも不思議と水温はあまり変わらず、「冷たいッ!」というほどではありません。このときは曇り空。まあ、かろうじて水に浸かれるかなぁという程度。
もちろん他にこんなオバカなことをやっている人はいませんでした。
素っ裸になってセルフタイマーでこんな写真を撮っていますが、じつはここはまだ観光客がウロチョロしている場所。服を脱ぐタイミングがけっこう難しかったです(笑)。場所が西表島でなかったら、ちょっとやばかったかもしれません(^^ゞ
By あきば・けん e-mail address |