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西表島 ジャングルの入門コース 西表島縦断

その4




西表島縦断4日目(2003.3.10) 縦断路往復を終えて下山 南風見田の浜へ

ジャングルの夜

マリウドの滝周辺で遊んだあとは、来た道を引き返して、ベースキャンプへ。汗ばんだTシャツやズボンを川の水でさっと洗ったあとは、米を研いで夕食の準備。

ご飯を炊いて、みそ汁を作って、あとは缶詰とふりかけ。日が暮れかかり、変わりゆくジャングルの景色を眺めながら、のんびりと夕食タイム。

森の中なので、日が暮れるとホントに真っ暗です。空が見えるわけでもなく、ホントの闇だけ。なぜか夜になると、遠くの山から鳥とも獣ともつかない不思議な鳴き声が響いてきます。近くでは虫の音がキンキンと。

まっくらなジャングルのなか、明かりもなくひとりでたたずんでいるなんて、客観的に見ればかなりコワイ状態なのに、なぜかなかなかテントに入る気がしないのが自分でも不思議。

泡盛のお湯割りが入ったコップを片手に、いつまでも、テントの脇の平らな石に腰掛けてはボーっとしていました。

ふと足がもぞもぞするなぁと思って、ヘッドライトをつけると、山ビルが一匹サンダルと指の間を行ったり来たりしていました。

あ、そうだ、ここは西表の山だったんだ!

ヤバイ、ハブがでる! ということで、テントにもぐり込んだのでした。

なぜ往復なの?

ここでは西表島縦断にまつわる裏話について少し書きたいと思います。

今回は完全に島を縦断してしまわないで、あえて往復ということにしました。これまでなんどか書いていますが、一般的な西表島縦断では、西側の最初(今回の逆走では最後)のセクションは観光船を利用します。

この観光船がくせ者で、入山届けを出していない人は乗せないという、いわば関所のような役目をしているのです。

西表島の縦断をする場合、営林署か駐在所に届けを出すというのが原則になっています。それだけならいいのですが、単独行者には入山許可が下りないとあって、個人旅行者にはなかなかやっかいな問題ともなっています。

島で出会う旅人たちにいろいろ聞いてみると、入山許可を取るために、一緒に歩く相棒を探して何日もキャンプ場で声掛け(ナンパ?)を続けたりと、縦走するために涙ぐましい努力をしているようです。時間があればそういう相棒探し&出会いも楽しいのでしょうけど、短期旅行でひとりで訪れた場合、西表縦断をするのはなかなか難儀なことと言えるかもしれません。

あと、セコイ話しですが、この観光船、料金は基本的に往復になっています。縦断で島の反対側に抜けてしまう場合、当然片道しか船に乗らないわけですが、頑として割り引きはしてくれません。これだけ、縦断で人が入っているのであれば、片道料金くらいあってもいいんじゃない? と思うのですが、絶対に譲らないようです。

そんなこともあって、絶対にこのボートは使うもんか! という思いがあって、今回はボートを使わないで済むように東部から往復という形にしました。(つまらない話でごめんなさい)

西表島縦断はそんなに危険なコースなのか?

今年は入山届けに関しては例年以上に厳しかったようです。去年2002年8月に古座岳に単独行でいった大学生が行方不明になって、いまだに発見されていないという事件があったそうです。それで地元民もピリピリしていたようです。(ちなみに南風見田の入口に捜索願のポスターが張ってありました)

実際問題、西表島の縦断が、それほど危険かと言ったら、そんなことはまったくないと断言してもいいくらいです。ルート自体は、ふつうの登山道レベルで、はっきりしていますし、ハブに遭遇する確率も、内地の山でマムシに会うよりは低いかもしれません。なにより地元の中学生は遠足で来ているくらいのコースですしね。

ただ問題は、このコースが8時間程度で無理すれば日帰り可という微妙なところにあるのかもしれません。なにも考えない観光客が無謀にも足を踏み入れてしまう恐れがあるというところなんでしょうね。

テントを担いでいくくらいの人のレベルで言ったらなんてことのないコースです。でも、装備もなく経験もない観光客にとっては、相当に危険というのは納得できます。

どんな登山にも危険はついてまわるのは自明のこと。(もっとも町中を歩いていて交通事故に遭う確率の方が格段に高いですけどね)西表縦断に関しても、入山届けを出しておくべきなのは議論の余地がありません。しかし単独行者は入山させないという態度には個人的に賛成しかねます。

世間的に、単独行は危険で無謀な行為として思われがちな傾向があるのは承知しています。でもそのリスクは西表島に限らずどこにいっても同じはず。西表島が特別危険とは思えなかったので、今回あえて、許可無しの入山に踏み切りました。

縦断に関してこれほど、過敏に言われるのは、それが大衆化しているからに他なりません。有名になれば、なにも知らない人がひょいひょいとやってきて事故につながる可能性は高くなります。それ故にこのような事なかれ主義的なおふれが出されているのでしょう。

こんなことを書いてしまっていいのかわかりませんが、今回の西表島縦断に関して考えたことを書かせてもらいました。

重ねて言いますが、西表島の縦断トレッキングは、営林署か警察官駐在所へ届け出が必要です。また単独行では認可されませんので、ご注意を!

下山〜南風見田(はえみだ)の浜へ

翌朝、二日間お世話になったテントサイトに感謝しつつテントを撤収。いよいよ帰路につきました。帰りはもと来た道だから、勝手もわかってて楽勝。

山を抜けて、大富林道を歩いているあたりから、急に雲行きが怪しくなってきて、激しい雨に...

雨具の暑苦しさがイヤで折り畳み傘を差しつつ、大富の町を目指しました。快適といっちゃ快適なんですが、折り畳みゆえに柄が短いのがちょっと苦しい。。頭より上に突きだしたザックが引っかかってうまくさせないんですよね。下手すると首筋に雨が流れ込んでくるし(^^ゞ

そんなこんなで大富の集落へ無事下山。バス停の東屋に荷物を置いて、売店でさっそくビールを購入。実は雨のせいでかなり体が冷えていたんだけど、下山後のビールはやめられない。というわけで、500ccを一気にゴクゴクと。

そしたら案の定、寒くてじっとしてられなくなってしまいました(おバカです)。で、やむなく歩いて7キロ先の南風見田の浜へ向かって移動開始。途中、大原の集落でストーブのガソリンを補給して、南風見田の浜、最寄りの豊原の集落で食料を調達。雨のなかトボトボと道路を歩いて、今宵のキャンプ地へと進むのでした。

(2003.5.4 up)





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焚き火のまえで 〜山旅と温泉記
By あきば・けん
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