五郎たちは、新聞部員として、親友として、そして五郎とまゆみは更に親しい関係の一歩(?)手前で、充実した青春の日々を過ごしていた。 そんなある日、無事に学校新聞を発行し終えた五郎とまゆみと一平は、解放された気分で帰路に就いた。 次の日には、新聞部員一同でサイクリングに行く予定を立てていた。翌日のことを話し合いながら、楽しく歩く3人。 だが、その途中、まゆみの父が車で通りかかり、まゆみに話があるからと車に乗せ、去っていった。 翌日、新聞部員達は海辺までサイクリングに行った。 波打ち際ではしゃぎ回る五郎たち。だが、まゆみの様子がどうもおかしい。 みんなから離れて一人砂浜に座り込み、砂の上に「サヨナラ五郎さん」と書いたりしている。 不審に思った五郎が近付くと、きれいな桜貝の貝殻を拾い上げ、「これが日本の色ね。私、忘れないわ」と意味深な言葉を呟いて、瞳を潤ませる。 次の日から、また元の日常が始まるかに思えたが、まゆみの態度がいつもと違う。 新聞に関しては絶対に妥協を許さず「鬼編集」と陰口を叩かれていたまゆみが、五郎の原稿を「ご苦労様」とそのまま受け取り、いつも載せる写真を自分で選んでいたのに、「写真は一平君が専門なんだから」と一平に任せたりしている。 心配に思った新聞部員達が問いただすと、まゆみは泣きながら、父親の仕事の都合でアメリカに行くことになったと打ち明ける。まゆみの父は、今度アメリカ支社長になり、家族揃って引っ越すことになったのだという。 突然のことに衝撃を受ける新聞部員達。一平は泣き出すが、五郎は必死で涙をこらえ、「俺は泣いちゃいねえぞーっ!」と叫んで走り去る。 いよいよ、まゆみがアメリカに出発する日が来た。 校長、教頭、顧問、新聞部員一同、柔道部の荒熊と鬼丸と清水、剣道部の細川、それに五郎の叔父夫婦などレギュラーメンバーが勢揃いして空港まで見送りに来たが、肝心の五郎の姿が見えない。そのとき五郎は、みんなから離れ、物陰から様子を見ていた。 飛行機が飛び立った後になって、ようやく一平が五郎を発見し、まゆみから託された小さな箱を渡す。 それには、サイクリングの日に拾った、あの桜貝が入っていた。 箱を握りしめ、飛行機が飛び去った方を見上げて、涙を浮かべる五郎。 まゆみが去った新聞部室。五郎はまゆみの面影を思い浮かべて、ぼんやりしていた。しかし、その間に、満場一致で五郎が新しいキャップに決められた。 「アメリカにいるまゆみに笑われないよう、立派な新聞を作ろう」と、新しい体勢で奮起する新聞部員一同。 瞬く間に日は流れ、また桜の咲く季節がやってきた。 そんなとき、校庭に佇む五郎と一平の所に、顧問の先生が走り寄ってきた。 なんと、ニューヨークで開かれる「世界少年新聞大会」に、日本代表として青空学園新聞部から一人出席できることになったという。 当然、代表者は、新聞部のキャップである五郎ということに。「みんなが一丸となって我が新聞部をもり立ててきた努力の成果が認められたからだ」「ニューヨークへ行けば、まゆみにも会える」と、躍り上がって喜ぶ五郎たち。 息子の一世一代の晴れ舞台を一目見ようと、五郎の母親も東京へ出てきた。 だが、来て早々、五郎の母親は倒れてしまう。 叔父と叔母は「疲れが出ただけだ」「出発までには起きられるようになる」と励ますが、五郎は心配でたまらない。 クラスメイトや顧問の先生も、心配せずに行くようにと言い、五郎が来ることを知ったまゆみからも、「あなたが来られると聞いて、飛び上がるほど嬉しいです。その日が来るのを指折り数えて待っています」という手紙が届いていたが、五郎はまだ決心できていなかった。 そんな折、五郎は、母親と医師の話を立ち聞きしてしまう。 五郎の母親は主治医に、自分を退院させるか、でなければ五郎にアメリカに行くよう薦めて欲しいと、頼んでいるところだった。 医師は「いくらなんでもそんな身体で起き出してくるなんて」とベッドに戻るように言うが、五郎の母親は、約束してくれるまではベッドに戻らないと、座り込んでしまう。 そんな様子を見た五郎は、病院の屋上へ走り出て涙を流し、母親の病状にも気付かずにアメリカ行きを喜んでいた自分の単純さを悔やみながら、「アメリカがなんだい! ニューヨークがなんだい! 大石五郎の大バカ野郎ーッ!!」と叫び、まゆみの手紙を粉々に千切ってまき散らす。 五郎は「たった一人の母が病気で寝ているのに、放っておいてアメリカへ行くなんてできない」と固く決心。替わりに一平を行かせてくれるよう、顧問に頼む。 五郎の決心が揺らがないことを見た顧問も了承。 「いいか一平、大会に出席したら、青空学園の新聞部員として、いや日本人として恥ずかしくない行動を取れよ」と、肩を叩いて想いを託す。 そして、もう一言付け加えようとして、一平に「まゆみさんによろしくって言うんでしょ」と先手を取られ、照れ笑いを浮かべる五郎。 「俺はいつか、きっと自分の力で、ニューヨークの君に会いに行くぜ。腕利きの新聞記者としてな。ニューヨークだろうがロンドンだろうが、アフリカの山奥だろうが、世界中のどこに君がいようと俺は必ず行くぜ。ペン一本で世界を駆けめぐる男になってやるんだ」と、五郎の胸には、新しい大きな目標が芽生え始めていた。 そして、いつかまゆみと二人でロケットに乗って、月はおろか火星、金星、宇宙の果てまでも突っ走ろう、と……。 まゆみは、「それでこそ私たちの『ばくはつ五郎』だわ!」と五郎の想いを受け入れる。 五郎たちの心の中には、五郎とまゆみと一平の3人が手を携え、雲の上のはるかな世界へまでも駆け昇る、壮大なイメージが浮かんでいた。