α7の一年 2003年12月20日UP
ミノルタのα7を買って1年がたちました。 昨年12月にα7の使用レポートのようなものを書きましたが、そのときから簡易ミラーアップとSTFモードの効果が宿題になっていました。
1.簡易ミラーアップ
α7を買って最も良かったと思うのは、簡易ミラーアップ機能です。ミラーショックのせいでブレないように、ミラーアップしてから2秒後にシャッターが切れる機能です。このおかげで、シャッタースピードが遅くなるときも、恐れずに撮ることができるようになりました。
先日、ミラーアップした場合と、ミラーアップせずにレリーズを使った場合とを比較してみました。撮影条件は次のとおりです。300mmの望遠レンズで1/4秒ですから、とてもぶれやすい条件です。
A B レンズ 300mmF4 シャッタースピード 1/4秒 絞り f16 撮影方法 簡易ミラーアップを使用
簡易ミラーアップを使わず、レリーズを使用
レンズの三脚座を三脚に固定 この二つの条件で撮った写真を並べてみます。どんより曇った日だったので、眠い写真になってしまいました。曇天が好きな私ではありますが、あまりにも暗すぎました。しかし、そのおかげでシャッタースピードが遅くなり、ブレを確認するには好都合だったのです。
A 簡易ミラーアップ B レリーズ この画像の大きさではブレているかどうかわかりません。どちらも同じように見えます。しかし、10倍のルーペでポジをチェックすると、明らかに違っていました。そこで、フィルムスキャナの解像度を最大の2720dpiにしてパソコンに取り込み、真ん中付近をトリミングしてみました。赤い枠で囲われた部分です。
この赤い枠の部分の拡大図を示します。
A 簡易ミラーアップ B レリーズ ご覧のように大きな違いがあります。簡易ミラーアップの方がブレが少ないことがはっきりとわかりますね。
ところで、簡易ミラーアップの場合でもピントが甘いじゃないかと指摘されそうです。トリミングしたこの部分は縦横とも全体のちょうど1/10の長さなので、私のモニター上のこの写真の横幅が10cmですから、フィルム全体を横1mに引き伸ばした場合に相当するのですが、それにしても、もう少しカチッとしたピントがほしいところです。言い訳になるけれど、実は、フィルムスキャナの能力不足という問題もあるのです。私の経験では、コダックのフォトCDに焼いてもらった場合に比べると、フィルムスキャナで取り込んだときはピントが甘くなります。だから、本当はもう少しくっきりと写っているはずなので、そのように想像して見てください(笑)。ここでは、AとBに明らかな差があったということをわかっていただければ、それで十分です。
それと、このときに使った三脚の重さは 2.5kg と軽いので、もっと重くてしっかりした三脚を使えば、ミラーアップしなくてもこんなにぶれないはずです。私は車を持っていないので、近くは自転車、遠くは電車で撮影に行きますから、重い三脚は持っていけません。そんな私にとって簡易ミラーアップ機能は大助かりです。
2.STFモード
ミノルタには、135mmSTFレンズというボケの美しさにとことんこだわったレンズがあります。そしてα7には、135mmSTFレンズと似たような描写を普通のレンズで行う機能があります。レンズの絞りを変えながら7枚の多重露光をするのだそうです。これがSTFモードです。
この機能を使ってみた結果、軽い三脚では使い物にならないということがわかりました。7枚の多重露光をするたびにミラーが上がったり下がったりするので、そのショックで映像がずれてしまうのです。できあがりをみると、見事な多重露光でした。(爆)
STFモードは隠しワザではなくて、説明書にちゃんと書いてある機能ですから、おそらくはしっかりした三脚を使えば大丈夫なのでしょう。誰か、試してください。(^^;
α7を1年間使い、その間にフィルム45本を消費しました(α7で撮ったフィルムには通し番号が打たれるので、それが何本目なのか正確にわかるのです。)。とても使いやすいカメラだと思いますし、特に不満なところはありません。値段もそんなに高くありませんから、もしも壊れたら、現時点では再びα7を買います。
最近、一眼レフカメラもフィルムからデジタルに移り変わりつつあります。デジタルはすぐに結果がわかるし、パソコンへの取り込みが容易で、しかもフィルム代がかからないというメリットがあります。デジタル一眼レフの価格が下がってきているので、魅力的ではあります。
しかし、一枚一枚の写真を丁寧に撮ろうとすると、デジタルよりもフィルムの方が良いのではないかと考えています。デジタルでも撮影者の心構えによって丁寧に撮ることができるはずですが、私にはあまり自信がありません。
それに私はフィルムの消費量があまり多くないので、フィルム代が不要ということもそんなに大きなメリットではありません。36枚撮りのフィルムを一日で使いきれないので、いつも24枚撮りのフィルムを使っているくらいです。数枚残っているフィルムを使い切ろうとして安易に撮ってしまうことがありますが、それで良い写真が撮れることは絶対にないということが経験的にわかりました。結局は24枚撮りの方が経済的なのです。
現在は、気楽に撮るコンパクトカメラはデジタル、じっくりと撮る一眼レフはフィルムという使い分けをしていて、当分、このような使い分けを続けようと思います。ミノルタは、従来のレンズが使える一眼レフのデジタルカメラを未だに発売していないので、他社に乗り換えなければフィルムにとどまらざるを得ないという事情もありますが、それが主たる理由ではありません。ただし、デジタルの技術が進んで画質がフィルムを完全に凌駕するような事態になれば、デジタルへの移行を考えざるを得ませんので、ミノルタにも頑張ってほしいものです。
<採点の修正> 1年前のα7の採点表を修正します。緑色の部分が修正した部分です。(点数は以前使っていたα507との比較で、10点が満点、α507と変わらなければ5点です。修正していない部分の詳細については、1年前のα7の使用レポートのようなものを参照してください。)
項目 点数 コメント 裏蓋ロック
10点 間違って裏蓋を開けてしまうという致命的な失敗を完全に防ぐことができるこの機能は素晴らしい。簡単なことのように思われるが、これ以上は望めない。文句なしの10点満点!!
簡易ミラーアップ
10点 今まで悩みだったミラーショックによるカメラぶれを解消することが可能となった。本格的なミラーアップではないが、私にはこれで十分。
AFとMFの切り替え
9点 とても便利になったので高得点。ボタンが小さくてちょっと押しにくいので1点減点。(このボタンを大きいものに変更するカスタムサービスがあるらしい。
AF
8点 中央の測距点はAFが迷いにくく、ピントを合わせやすくなったようだ。測距点が9点に増えたことと、AFスピードが速くなったことは、世の中の評判は良いのかもしれないが、私にはあまり関心がない。
データの記録
8点 これによりデータのメモをとる必要がなくなった。背面の大きな液晶は、データを読むときにも好都合。パソコンへの取り込みが簡単にできるようになるか、それとも主要なデータだけでもフィルムの枠外に書かれるようになれば、さらに点数アップ。
ファインダー
7点 大きく見やすくなったが、店頭で覗いたα9のファインダーには負けているような気がする(価格から考えて当たり前。。。)。ファインダーの中に9点もある測距点は、私にとっては目障りなだけなので減点対象。
露出補正
7点 露出補正を後ろダイヤルでできるようになったが、普通のカメラに追いついただけという見方もある。なお、適正露出を得るための露出補正という行為自体が不要にならない限り、10点満点はつけられない。(ただし、撮る人が意図的に実際よりも明るくしたり暗くしたりするための露出補正は、どんなに技術が進歩しても必要。)
輝度分布表示
6点 背面液晶の輝度分布表示は期待が大きかっただけに、その反動で採点が厳しくなってしまった。露出補正値を決めるためには結局、α507にもあった測光インジケーターを使うことになりそう。発想は良いので、さらなる改良が望まれる。
シャッタースピード
5.5点 5点にしようかと思ったが、1/4000〜1/8000秒のシャッタースピードを使う可能性がゼロとは限らないので、おまけで0.5点プラス。
プレビュー
5点 機能的に改良されているものの、押しにくいところが減点対象。結果的にα507と比較して±ゼロ。
STFモード
5点 この機能は、しっかりした三脚がなければ使えない。そのために三脚を買い換えようとも思わない。
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