の世界にあそぶ

H13.12.19(水)
とちぎ読売(山想記)掲載


 初冬の山はもの悲しいイメージ。でも実際に出かけてみれば以外と明るく、冬枯れの山はそれほど寒くはありません。 こんななかでのハイキングはもちろん楽しく、多くの人たちが出かけている事でしょう。 しかし、まもなくやって来る銀世界、ここでの遊びとなると話は別で、限られた人たちのものとなり、ゲレンデをのぞいてはまだまだ一般的ではありません。
 雪山、稜線から頂上への強風の吹く場所は、当然「冬山登山」の領域で、ハイカーの遊ぶフィールドではありません。 でも、車で行ける程度のところで、谷間や盆地状のところであれば、強い風もあまり吹かず、ハイカーにとっては格好の遊び場となります。
 幸い我々の住む栃木は、冬山といえども晴天の日が多く、雪化粧したフィールドは「白い世界」を通り越し、日差しが白銀に乱舞する「光の世界」となります。 
 「こんな世界で遊んでみませんか?」とお誘いをしても「何をして?」と返事が返ってくることと思います。 手軽には雪上ハイキングがありますが、それではせっかく雪遊びをするのに芸がありません。
 そこで登場するのが雪上を歩く道具。 古くは生活の道具として用いられてきた「輪かん」があり、遊びの道具とすると結構楽しめます。 最近は洋式で、装着が簡単に出来るよう改良されたスノーシューも普及し、面倒な技術なしに手軽に扱え、防水性さえ良ければ軽登山靴でも楽しむ事が出来ます。 「これではスポーツ性がない」と言う方にはクロスカントリースキーがあり、すこし慣れれば雪の野原を自転車感覚で走り回る事が出来ます。
 専用に整備されたコースは、日光の光徳地区にはありますが、雪さえあれば、かって知った野山や積雪で閉ざされた林道など、フィールドには事欠きません。 走り回って汗をかくのも良し、お弁当を用意して、お気に入りの場所にツーリングに出かけるも、遊び方はまったく自由です。
 夏の行楽期や紅葉の時期であれば休む所もないくらいの人気の場所も、この時期であればほとんど人影はありません。 十分な防寒具と暖かな飲み物があれば、お気に入りの場所は独り占め。 我が庭に遊ぶようにくつろげ、とても贅沢なひと時が過ごせます。
 「雪さえあれば自由に遊べる」「自由に遊ばなければ雪遊びではない」と言うのが持ち味で、その様に我々も楽しんでますが、「自由」と「勝手」を履き違えた遊び方をすると困った事になります。 安全に関わることも「自由」であるためには自己責任が当たり前、一見簡単な遊びでもフィールドは冬山。 周到な用意と十分なコースの検証が必要です。 遭難騒ぎや禁止されてる行為をして、地元の方達に迷惑をかけたり、結果的に同じ遊びをする仲間達の自由を奪ってしまっては、少しも自由な遊びではなくなってしまいます。
 間もなくやってくる光の世界、この冬は少しだけ心の自由を楽しんでみませんか?


今回をもちまして山想記の掲載は終了致しました

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