H12.12.06(水)
とちぎ読売(山想記)掲載
紅葉が終わると、炬燵で冬眠するハイカーが増えてきます。 「なぜ冬は山歩きをしないのか?」と理由を聞けば、もちろん「寒いから」「雪が降るから」「冬山は危険だから」と言う答えが返ってくると思います。
当然、夏の間楽しんだフィールドは銀世界。 登山の分野でいう「冬山」となりますから、当たり前のことで、限られた人たちの世界となります。 でも根雪となる積雪の無い山は、登山では「冬山」とは呼びません。
平地とおなじ程度にしか雪の降らない冬枯れの山、しかも南面のコースを選んでやれば風も避けられ、意外と暖かいものです。 夏は木の葉が邪魔をして何も見えない暑いだけのヤブ山が、木の葉が落ちると思いもよらない明るい林になり、乾いた空気は思わぬ遠望をプレゼントしてくれます。 これらは冬眠ハイカーにはうってつけのフィールドで、冬場の体力維持のためにも、ぜひ多くの人達にお勧めしたいと思います。
わたしもこの楽しみを知ったのはここ数年で、それまで冬といえば雪遊びが主で、この時期になると雪を求めて駆け回っていました。 雪が降る直前の山は暗いイメージがあり、雪をまとった明るい山と対比して、なかなか遊びの対象として見ることが出来ませんでした。 しかし、雪山の状況が悪く、やむなく低山のハイキングに切り替えたのをきっかけに、意外な快適さとそこで遊ぶ楽しみを知ってしまったのです。 それでなくとも忙しい雪の季節に、またまた遊びのプログラムが増えてしまいました。
「日溜まりハイク」とも呼ばれる冬の低山歩きを快適に遊ぶには、まずフィールドを積雪の無い落葉広葉樹の山で、標高1000メートル程度を目安に求め、出来れば南斜面の沢沿いを選ぶと良いでしょう。 服装はそれ程厚着をする必要はありません。 ウール系の行動着のなかは、専用の速乾アンダーウエアーを用い、その上に保温着(セーター、フリース等)と防風着(ゴアテックス等)とを、状況に応じて組み合わせを替えて(レイヤード)対応します。
最初は お天気を見計らってお昼を食べに行く感覚で、一番近い”やま(頂上にこだわらず)”に出かけてみてはいかがでしょう。 家でまるくなっている方がずっと寒いのに気が付くと思います。 慣れてきたら温かい飲み物をもって少しだけ遠出をし、地元の方にいろいろ尋ねながら、里の集落を含めて楽しむと良いと思います。
狩猟の危険を避け、とっておきの自分だけの散策コースを見つけて、遊んでみてはいかがでしょうか。
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