TOPへ



ここでは、チョウゲンボウについて少し書いていみます


2001年の繁殖の様子はこちら


チョウゲンボウの都市進出について(その1)
   従来の生息地(岩壁への集団営巣)の状況と生息状況について
 このチョウゲンボウについては、以前は韮崎市の「鷹の巣岩」などに代表されるような、河川脇の岩壁とか岩棚の窪みを利用して営巣していました。このチョウゲンボウがどのような理由で都市進出をしてきたのか? について、ここでは考えてみたいと思います。
 チョウゲンボウは猛禽の中でも集団繁殖する鳥として知られています。県内で調べられた古い文献を見てみると、釜無川(富士川)や塩川の河川脇の岩壁だけでもかなりの数が生息していたようです。最近の僕の調査では、同じ地域でも10数ペアしか繁殖していません。

普通であれば、
・生息環境の悪化
・農薬等の影響
・天敵であるカラスによる被害

などというようなことが考えられているようですが、僕は全く違う考えです。
 僕の調査においては、そこらじゅうの岩壁などを詳しく調べても、彼らが営巣できるような窪みというか穴やクラックを見つけることが非常に少なく、営巣適地と思われる窪みや穴には、そのほとんどの場所で彼らが営巣しているという事実でした。

これは、どのようなことを意味しているのか?
まずこのあたりから考えていきたいと思います。
(1)岩壁が少しづつ風化して崩れ、岩の窪みや穴が少なくなった。
(2)窪みだけでなく、ちょっとした平らなところがあれば、そこで繁殖していた。
(3)当時の調査が間違っていた。
(4)人間から見えないような箇所に営巣している。

の、どれかであろうと考えています。
 まず(1)についてですが、当地の岩壁は、そのほとんどが八ヶ岳の噴火に伴う安山岩から形成されており、この安山岩から成る岩壁は、比較的しかっりしているため風化して崩れていくことは、考えにくく、一部堆積地(代表は韮崎市の鷹の巣岩:正式にはなんというかわかりませんが)のところもありますが、この堆積地については、風化・崩落する事はわかっています。しかし、このような堆積地が露頭しているところがすべてではなくく、安山岩の露頭もかなりの部分ありますので、この(1)については、少し可能性が少ないのかなと思っています。
 次に(2)についてですが、この架巣できるスペースというのが、微妙なところですが、このような場所についても、いざ探すとなるとほとんど見つからず、あっても、かつて繁殖していたとは到底思えない感じがした。
 次に(3)についてですが、これも今となっては検証できなく、まあ特に大きな間違いはなかっただろうと考えています。
 最後に(4)についてですが、そんなに地形が複雑なわけではなく、しかもほとんどの岩壁が少し移動するだけで、そのすべてを見ることができるので、この可能性もほとんどないと思います。
 このように、すべてを否定してしまうと、本当の原因がわからなくなってしまうので、あえて推測すると、大きな原因は(1)ではないかと考えています。つまり、往事チョウゲンボウが集団で営巣していたところは、その大半が堆積地の露頭部分ではなかったのか。ということです。

代表的な生息地
韮崎市:鷹の巣岩
このような、堆積地において岩が抜け落ちた箇所を利用して繁殖している
営巣場所の様子
岩が抜け落ち、丸く窪んでいる様子がわかる
安山岩の露頭地帯には少なく、このような堆積地の露頭に営巣地が多い



2001.5.6 OPEN
2002.2.1 RENEW