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┃＼／　創刊2000.11.01
┃ ｜｜月２回発行
┃ ｜窓　＜心・言葉・体の不思議なドラマ＞　Ｎo.51 発効日04/03/25

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┃／＼　　　　　　 Bｙ　Yuta.K
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｜　　　　　　何が起きるか分からない“ドキドキメルマガ”
｜ユタ独自のＬＩＰワークと整体の臨床事実、生活に役立つ手当て法を掲載。
▼　HP: http://park15.wakwak.com/~nrt/mel/index.html
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　　目次
　　￣￣▲　[ １ ]　音で表現
　　　　▲　[ ２ ]　動きで表現
　　　　▲　[ ３ ]　抑制・反発
　　　　▲　[ ４ ]　もう一押し
　　　　▲　[ ５ ]　実用化へ向けて

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久々の配信となりました。読者の皆様どうか末永くよろしくお願いします。

【ああー、邪魔ジャマ】　

内田（仮称）さんは月に一、二度のペースで整体に通ってきていました。この
方には心臓に少し問題があり定期的に医者にも通っています。ところが最近ず
っとご無沙汰になっていた頻脈が起きて少し不安が募っています。

頻脈は随分昔、仕事での海外出張先で起きたことがあり、その時はこのまま死
ぬのではないか、そんな不安にもかられたそうです。この症状は二、三年前に
も起きたことがありました。そういう時はとにかく気持ちを落ち着かせてゆっ
たりとした呼吸を繰り返したり、時には無視して眠ってしまう方法も取ってい
たそうです。

私は、まず最初に足の血行を円滑にするように体を整えてみようかと考えてい
ました。下肢の血行が良いと心臓の負担が軽くなるからです。でも最近の本人
の体へ関わろうとする意欲など総合的な判断末、ワークを奨めてみました。内
田さんは多少のためらいがありながらも少し興味を示され、行う事にしました。

※　頻脈とは
　突然心臓が速く打ちコントロール不能になる症状です。彼の場合同時に顎か
ら下の首筋、胸から腕、後ろ首筋から肩の関節辺りまで硬く張ってくるのです。

[ 1 ]　音で表現

「頻脈が起きているときの心臓の感じを教えて下さい」
内田さんはドキンドキンドキンと速い口調で繰り返しました。

「その印象は？」
「早くこれをなんとかしなければという気持ちで一杯です」
この気持ち自体は分かりますが、これは心臓の様相を表してはいません。

[ 2 ]　動きで表現

内田さんは音で表現しつづけ、くたびれて休んでは続けてを繰り返したのでい
よいよ疲れてきました。

「では自分自身全体が心臓だと思ってやってみてください」
すると彼はつい手を動かして表現しました。両手で心臓をつくり、それを鼓動
させたのです。

「何かが流れる感じですか」と聞きますと、「いや、そうではない」と氏
は答え、続けて「もし血液を送るならこんな感じだ」と言いながら左右に構
えていた両手を、上下に構え直して力強く動かしました。「これはポンプのよ
うだ。これは何か違う」。

結局両手は左右に構え直り、またドキンドキンドキンと言いながら速いテンポ
での動きの繰り返しとなりました。

内田さんはくたびれて何度か休みましたそのうち「なんだか空打ちしている感
じです」と言葉にしました。なるほどそういう実感があるなら血液を送り出す
イメージが出てこないのも自然なことです。

ちょっと試しに手の動きを極端にゆっくりとやってもらいました。すると内田
さんはとても感情のこもった口調で

「気持ちいい、気持ちいい。これはとても心地よいですね。心臓がドキドキす
る時こうするといいのでしょうね」と、とても嬉しそうに言いました。

確かに上胸部の交感神経の興奮を抑えるには深い呼吸は効果があります。副交
感神経の働きを高めて自律神経のバランスが取れるからです。そこでちょっと
腹式呼吸のコツをお教えしました。それから再びワークに戻りました。

[ ３ ]　抑制・反発

私は今度は内田さんの手の動きを止めようと考え、腕を押さえたり内に外に腕
を払ったりしてみました。それは試しにやってみたことなのですが、なんと！
その手はさらに忙しく動いて私の手を払いのけようとするではないですか。

「アレッ！　手が勝手に動いてますね？？？」と内田氏。

その力たるやハンパではないのです。もう一回試してみました。今度腕はもっ
と激しく動きました。おまけにその手の動きに持ち主はこっけいさを感じてい
るらしく笑い出してしまいました。

「あれ？あれ？あれ？何なんでしょうね。これは」
「どうやらこの手はこんなふうに動いていたいみたいですよ」と私。

何を思ったのか内田さんは唐突なことを言い始めました。
「医者は心臓の鼓動を促す神経をブロックして頻脈を起こさせなくする方法も

あると言っていました」
「そういうことはしない方がいいでしょう」
「そうですよね。変ですよね」

「もう一度私が動きを止めようとしますから、動きにあった気分があったら表
現してみてください。そこでお尋ねしますが、もしこれを止める側としてのセ
リフがあるとしたどんなものですか？」

「疲れるから止めろ止めろ。止まれ止まれ」

そこで私は彼の手の動きを阻止しながら
「疲れるからヤメロヤメロ。止まれ止まれ」と、言うが早いか

「オレに、命令すんじゃない、何言ってんだ！」

内田氏は突然切り替えしてきました。そして間があり、氏は手を止め、腕をダ
ラリと降ろし、眼を閉じたまま陶酔気味に顎を上げ、

「 ‥‥、あーーーーーー、気持ちがリラックスしてきた。何十年もいや、もっ
と長い間こんなこと言ったこと‥‥無かったなーーーーーー」

「その調子、もう少しやってみましょう」
またまた私は彼の手を止めようとしながら先ほどのセリフを繰り返しました。
「邪魔ジャマ、ああジャマジャマ」と彼は言い放ち、手はいよいよ速く動き
ます。何度やっても同じでした。

その動きはいたって一途なもので、決して逆襲したり私の手を押さえつける質
のものではありません。軽く速くパタパタとそして私の行為を邪魔だと主張す
るのです。

本人と私を驚かせたのは、言葉だけでやりあおうとすると内田さんは言葉が出
てこないのに、腕を動かすとサッと言葉が飛び出してくることです。

本人も自分の腕に心底感心してしまっているのです。内田さんの身体にとって
いかにこの動きが大切か、逆に言うと大切にされてこなかったかが想像できま
す。

[ ４ ]　もう一押し

私はここでもう一押しすることにしました。何せ、神話的な表現をするなら、
内田氏はせわしく羽を動かすおしゃべりな赤い鳥に導かれて、古ぼけた硬く重
い魔法の扉を開けたばかりなのでしょうから、これからのことを考えておかね
ばなりません。

自分用の魔法の道具は自分が責任もって成長管理していかなければならないで
しょう。魔法の力は強大です。時に扱いを誤れば自他共に大きく傷つけてしま
います。

そこで心臓の急処である胸椎４番に刺激が入り、腕の開閉の動きの可動性を促
進させる体操を考えて、彼に一回やってもらいました。内田さんの腰が入りグ
グッと胸が広がり始めました。

ワークで、自然性維持のためのバランス欲求が表出した時、そのエネルギーと
整体体操を融合させると、とてもパワフルになって定着率が良くなるのです。

[ ５ ]　実用化へ向けて

調子づいたところで、寸劇をやってみることにしました。

「オイ、内田、パチンコに付き合えよ。昨日５万円つぎ込んで20万取った台が
あるからおしえてやる。さっ、行こう行こう」

「邪魔ジャマ、ああー、ジャマジャマ」そう言いながら内田さんは盛んに手
を動かしている。

「全く付き合い悪いなぁ」
「駄目、ダメダメ、ダメッ！」

今度は飲み仲間、「オイっ、飲みに行こう」と私は彼の腕を持つ。
「ああー、ダメダメ、うるさい、うるさい、うるさい」ついに彼はゲラゲラ
笑い出した。

私は少し離れて内田氏を眺めてみました。
氏はまたも目を閉じ、深い息を洩らしながらストーンと肩の力が抜けた、心身
脱落の趣で立っています。そして少し間があり、

「あーーー、すっかり気持ちが楽になった。腕も胸もすごく弛んだ。あーーー
、心地ちいい」そう言いながら目を閉じたまま大きくうなづきました。

[ 6 ]　念のため

私はひとつ提案しました。「ちょっと立場を変わってもらいますか。今度はあ
なたが私を誘って下さい」

そうやって内田さんは内田さんの断り方の受け手に回り、先ほどの寸劇を再現
しました。自分が否定した相手の気持ちを知って欲しいからです。その作業が
終って‥‥。

「どうです。イヤじゃないでしょう」
「いいですね、これっ。嫌な断られ方ではないです」

「そう、さっき内田さんは、ゆっくり外から内側に圧迫する動作が心地よいと
言いましたが、もしそれがネガティブな出方をすれば結果的には相手を強く圧
迫することになるかもしれません。だからこの動きの軽さ、空打ちのような感
触、しかもハッキリした否定、これはとても大事なことのように思います」

「イヤー、本当に断られる側になっても嫌な感じがありませんでした」

■　あとがき　■--------------------------------------------------
少し寒いお天気が続いてる。春を迎えて体が弛んでいるこの頃うっかり薄着
ででかけると余分に冷えてしまう。この数年気温のアップダウンが大きい季
節があるような気がするが、温暖化のせいだろうか。気をつけなくっちゃ。
----------------------------------------------------------■ユタ■

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