朝、起きた時にはまるで気がつかなかった。
柊かがみは、いつものように学校へ行く仕度を整え、
妹のつかさと共に、稜桜学園へと出かける。
異変に気づいたのは駅だ。
本当はここで下車するはずなのに、
つかさは乗り換えのホームへと足を運ぼうとするのだ。
   「ちょっと…なにボケてんのよ?こっちでしょ?」
   「えぇ〜!?こっちだよぉ…」
   しっかり者の姉、かがみと違って
妹のつかさは、かなりのうっかり者だ。
こんな事はよくある。
   「はいはい。まだ寝ぼけてるのね?
ほら、起きた起きた!」
   つかさの頬をムニッと引っ張る。
  「ひ…ひがうもんっ!ほんほぉらもん!
…!もうっ!寝ぼけてるのはお姉ちゃんだよ!?
今日ばっかりは、私の方が正しいもん!」 
   つかさは怒って、乗り換えの電車のホームへと
向かってしまった。
   「いい加減にしなさいよっ!
稜桜学園は、ここで降りなきゃ行けないでしょ!」
   人がごった返す朝の駅で大声で喧嘩。
しかし、それは意外な形で終息を向かえる。
   「稜桜学園…?よその学校へ行ってどうするの…?」
   つかさが、本当に心配そうにかがみを見た。
   「はぁ…?よ、よそって…」
   「…学生証、見る?」
   つかさは、瞳を潤ませ、
本当に姉がおかしくなってしまったのかと心配そうだった。
   「穂群原…学園?住所は…雛見沢…?」
   「うん…」
   既に、数人の野次馬が二人を見守る事態にまでなっていた。
   「あ…あははっ!そ、そうだったわね…。
ほんとごめん、つかさっ!私、昨日稜桜学園に通ってる夢見てさ…」
   かがみは、覚悟を決めて嘘をついた。
これ以上、つかさを不安がらせるわけにはいかないから。
   「そ、そうだったんだ…。こ、怖かったぁ…
お姉ちゃんとケンカなんかしたくないよぉ…」
   「ごめんね、つかさ」
   だが、かがみの目はこの時から鋭くなる。
手がかりを知らなければならないのだ。
昨日とは大きく変わってしまった、自分の境遇を。


その2へ続く
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