ラジオマーカ
鉱石ラジオのダイヤルメモリを確認するツール。
テストオシレータのようなものです。

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鉱石ラジオのダイヤルメモリはいろんな条件で正確さがありません。
弱い信号は見失いがちです。
そんな時、役に立つのがラジオマーカです。

ラジオマーカ

一見”携帯ラジオ”。
ラジオは電波を受信するもの。これはダイヤルメモリ(BCバンド)周波数の信号を出すモノ。
小さな放送局の代わりです。
電波の届く距離は50cmくらい。隣に置いたラジオに目印の信号が入ればOKです。
 

 

ラジオにはどの放送を受信しているかわかるようにダイヤルメモリが付いています。
最近のものは非常に正確ではっきりわかります。デジタル表示の製品も多くあります。

さて、この表題にあるような鉱石(ゲルマニュウム)ラジオではどうでしょう。
大雑把なメモリがあれば良いほう。何にも書いてないモノまであります。
正確なメモリがないのにはそれなりの理由があるのです。
鉱石ラジオは必要最小限の部品で構成され、その中で最高の性能を出すために大きなアンテナや回路の工夫があります。
たとえばコイルに沢山のタップを付けSW等で切り替え性能を引き出そうとします。アンテナを大きなものにするのも同じことです。
このような作業が良く聞こえる鉱石ラジオになるのですが少なからず同調回路にも影響を与えます。
と云うことはダイヤルメモリがほかの回路の影響を受けずれることになります。細かいメモリを書いても役に立たないのです。

地元の放送局の周波数を調べて(たとえばNHK東京第1は594kHz)ラジオマーカでその周波数の信号を出し受信機のダイヤルを合わせます。
アンテナやアースなど充分なものを準備しておくのは言うまでもありません。
その状態でダイヤルを回しマーカの信号がよく聞こえるように合わせます。


ループアンテナの鉱石ラジオ。
上においてある小さい箱が“ラジオマーカ”

ここでマーカを止めます。同じ周波数の目的の放送が聞こえるはずです。よく聞こえるようにアンテナやコイルのタップなどを再調整します。
ループアンテナやバーアンテナのように指向性のあるアンテナの場合はアンテナの向きなどを調整します。
これがラジオマーカを使った受信のしかたです。チョット面倒に思いますがどこで聞こえるかダイヤルを回すよりずっとらくです。

アンテナや受信する場所を変えるだけで聞こえ方がずいぶん違います。
どういうところが良く聞こえるか考えるのも鉱石ラジオの楽しみです。

【 ラジオマーカに求めるもの 】

擬似的に放送局と同じ周波数(BCバンド)の信号を出します。
日本では531〜1602kHzがつかわれています。
さらに、変調信号を載せます。無変調の信号では音が聞こえませんので識別が困難です。

電波の強さはとても微弱で50センチほど離れると受信できません。
ラジオマーカの電波は強すぎるとダイヤル位置がはっきり分からなかったり、近くのほかのラジオに混信する事になります。
鉱石ラジオとの接続はケーブルなどで接続するとラジオのダイヤルが狂いますので近づけるだけで使えるようにします。
また屋外での使用などを考え乾電池を使用します。

これらを考慮して出来るだけ簡単な回路でまとめてみました。

電池は9Vの006pですがかなり広い範囲で電圧変化に対応し動作します。
ただし電圧安定化回路など入れてませんので参考写真のような綺麗な変調が掛かるのはうまく条件があったときだけで全体的にあまり綺麗な変調は掛かりません。


参考波形・無理して100%にする必要はありません
このような波形を見て変調度を計算する
テストを思い出しました。さて何%?

その理由は変調用発振回路の条件が良くないためひずみが多いことがその理由と思われます。発振回路*のコンデンサ中点470Ωの抵抗はもっと大きくなるはずですが実験的にこの値に決めています。
*ツインT発振回路・netなどに参考記事が多数あります。

変調トランスは規格の不明なジャンク品を使っています。サンスイのST-71などで代用できます。
オシロスコープがあればタップなどを調整し波形を確認しておくと良いでしょう。この目的であれば“綺麗な変調”にこだわらなくても良いと思います。
そのほかの部品も手持ち品で代用できます。

ここで一番特徴的なのは高周波の発振コイルにラジオ用のバーアンテナを使ったことです。
これにより小型化と他のラジオに接近させるだけでマーカとしての使用を可能にしています。

【 ケースに入れる 】

ケースは手持ちのジャンク流用品です。
参考になりますかどうか?


こんなものが入ってました
内部の部品は全部外します


マーカ発振器を組み込みました
電池ケースは単3用を改造しています

私は使用頻度の少ない簡易測定器には006pを使っています。電池は常時外してあり、使い回しをしています。
006pを使う理由は電圧が高いのでほとんどの回路に適合させることが出来ることと、液漏れの危険が少ないように思うからです。
もし、電池は単3で動作させたいなら直列のLEDを外しバイアス抵抗を調整すれば動作します。


基板をUPで
バーアンテナを発振コイルに使っています


表はダイヤルの穴を開けたり
ネームをサンドペーパで消したり


ポリバリコンのダイヤルつまみは小さいので
プリント基板で作って見ました
ヘリに滑り止めのギザをつけました


紙で作った、つまみ板に張る文字盤と
目隠しカバー
全体に透明アクリル板をかぶせます


カウンタ付きテスタ(一部改造)をつないで
文字盤に周波数を書き込みます


メモリを書き込んで完成

最近は周波数カウンタ機能を持ったテスタがあります。一昔前までは低い周波数しか測れなかったのですが、このテスタは60MHzまではかれます。表示は4桁、精度は0.1%。
10MHzまでの廉価版も販売されてます。この目的には廉価版でも充分です。

【 こんな感じで使います 】


友人にコタツやぐらの出来損ないと揶揄される
大きな鉱石ラジオ
上の方にある黒い箱がラジオマーカ

スピーカの鳴る、高感度鉱石ラジオです。
強電界の場合外部アンテナなしで受信、スピカで聴くことができます。
*このラジオの詳細は誠文堂新光社・ゲルマラジオ製作徹底ガイドを参照ください。
左側の茶色のつまみがチュウニングダイヤルです。メモリは記載されていません。

このラジオのコイルは約60cm角の木枠に15回ほど巻いてあります。
1回ごとにタップを出してあり端子盤で切り替えます。(裏側で見えません)
コイル全体では530kHz〜1500kHz位しかカバーできません。これは大きなコイルの宿命で浮遊容量(ストレー)の影響です。
*バリコンの容量を大ききすればカバーできますが現在はとても高価です。
この場合タップを切り替えて有効巻数を減らせば1500kHz以上も受信可能です。

さらに高感度化のため外部アンテナ等を繋ぐと同調位置がずれることがあります。
先に書きましたとおり、受信状況の変化でダイヤルメモリはあまり意味を持たなくなるのです。

また、自宅以外でも聞こえるか聞こえるか試してみたいとか、違う放送が聞こえるか試したいときに役立つのがこのラジオマーカです。
目的周波数の信号を入れダイヤル位置を確認すれば容易に受信できるのです。


ラジオのコイルとうまく結合するように


結合が強すぎるか・メータ振り切れ
250μのジャンク電流計・VU?意味はありません

電流計はジャンク品(フルスケール約250μA)なので数値は単なる目安で意味はありません。ダイオードの検波電流を読んでます・沢山振れるほど信号が強い。
目的の放送周波数にマーカをセットします。
このように振り切っては比較できません少し離してマーカの電波を遠ざけましょう。(弱くなる)
タップなど切り替えて振れ具合を確認します。
調整が済んだらマーカを止めましょう。
これで目的の信号を受信できます。
放送局の電波が弱いときは聞こえないこともあります。

 

【 参考 】

私が使ってる周波数カウンタつきデジタルテスタ 
*写真:購入先、秋月電子通商広告より引用

韓国製ですが周波数は60MHZまで測定可能です。
もちろん普通のテスタ同様、電圧、電流、も測れます。右側の扉の中にテスト棒を収納できます。
実はこの扉の中に仕込んだ作品があります。
クリスタルチェッカ2 です。
http://park15.wakwak.com/~ja1cvf/diy/xtal-checker2/xtal-checker2.html
このラジオマーカもテスタの中に組み込めば使い勝手がさらに良くなったと思います。・・・これは次回のお楽しみ!!!

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