掃除機をサイクロンに 

   ja1cvf   0405


電動工具などを使うとゴミやホコリをまき散らしてしまいます。
空中に飛散させないうちに始末するための工夫です。

 

キッカケとなった時代物のミニドラム缶・ブリキ細工でサイクロンのシリンダを作り始めました
今までは工具に掃除機のホースを直結するだけでした。
しかしそれでは粉塵の多い木工作業の場合すぐに掃除機が詰まってしまいます。 それを解消するダストコレクタなる商品もあるのですが掃除機のフィルタ目詰まりについては効果は少なく使い勝手の改善には?マークが付いてしまいます。
普通の掃除機はゴミと空気を一緒に吸い込んで網目フィルタでゴミを分離しています。 このフィルタに遠心分離器の原理を使ったのが最近はやりのサイクロン掃除機です。 これはフィルタの目詰まりがない(少ない)のでパワーが落ちないのが特徴です。 しかし掃除機ではゴミタンクの容量が小さいのでモノ足りません。ダストコレクタ付きのサイクロン掃除機が欲しかったのです。

台所の掃除をしていたカミさんが”このドラム缶・処分しても良いかなあ”と言い出したのがキッカケです。
実はそのミニドラム(ペルー缶と同じくらいの小さなモノです)、忘れかけてはいましたが懐かしいモノでした。 私が小学校に行く前から我が家にあった不思議なモノです。 古く汚い空き缶”捨てちゃえば”と言いかけたのですがやっぱり取っておくことにしたのです。
これでサイクロン創ろう!*50年以上の時代モノです*
今木工のサイトではサイクロン集塵機造りがチョットしたブームです。ただし私の場合サイクロン掃除機です。

集塵機:室内に飛散した粉塵も除去できる。工作機械に接続して吐出されるゴミも除去できる。
作業場全体をクリーンにする能力を持っている。
掃除機:局所的に発生したゴミを処理するモノで室内に飛散した粉塵などには対応できない。

この違いは吸い込み風量に関係します。集塵機は掃除機の10倍以上もの風量で吸い込みます。 当然大きな送風機が必要です。

風量の少ない掃除機ですから吸い込み側ダクトはあまり太くすると風速が下がってしまいますので掃除機のホースと同じ程度で処理しています。
サイクロンから掃除機まではゴミを吸い込まない方がよいのでこちらは太くしています。
この考えが正しいかどうかは理論的裏付けが有りませんので出来上がるまでわかりません。

【大分出来てきました】 あと一息です。

シリンダを支える円盤を切り抜いてます。中心穴はテーパを付けて切り抜きます。 これが心臓部のシリンダをドラム缶に取り付け支える板です。 ダクトや取り付け用のUボルトもネジ棒を曲げて作ります。
既製のUボルトではちょうど良いのがありません。

吸い込み口接続部分です。リモコン用コネクタも組み込みました。コネクタはメーカによって違います。 統一しないのは日本のメーカの特技です。 接続部分を内筒に取り付けます。エア漏れがないようにシリコンでシーリングします。白い筒は整流筒のつもりです。 外筒をかぶせ固定します。これもシーリング材で仕上げます。(逆さまで作業中)
この後の解体は面倒なことになります。
サイクロンシリンダは内筒の直径をなるべく大きくします。

と云うことは吸気の風速を落とさないようにするためです。 内筒と外筒の間隔が大きいと風速が落ちてゴミと空気の分離が悪くなると思います。(実験していませんので定かではありません)
吸い込み側の風速を落とさないように流路を狭くして回転させれば遠心力が大きくなります。
今回の試作では外筒が240Φ、内筒が180Φです。つまり流路は30mmです。 これ以上狭くすると大きなゴミの通過に支障が出そうな気がします。
ここを通過した後排気側にゴミが吸い込まれないように風速を落とします。 ここでの流路は180Φで長さは150mmです。掃除機のホースの先から100mmくらい離れるとゴミの吸い込み力はほとんどありませんので余裕を見て150mmとしました。 中央の白い筒は80Φの整流筒です。
排気口の渦流発生を抑制するためですがその効果は判りません。整流筒の長さは100mm程度です。
ミニドラム缶の入り口は約100Φです。外筒のテーパに合わせてフタを加工し気密のためシリコンシーラで接着します。 この穴は必要以上に大きくすると渦流が入り込みゴミを巻き上げてしまいます。

 

掃除機本体は改造しないことを原則にしています。

気分が変わればいつでも普通の掃除機として使うことが出来ます。 そして万一掃除機が壊れたらいつでも取り替えられるつもりでした。
ところが世の中そんなに甘くありません。試しに他の掃除機と比べてみました。 ホースの太さは違うし、リモコンのコネクタの大きさも違います。もしかしたら制御の方法も違うかも知れません。 各メーカ研究してるな!と一見良さそうですがこれは”壊れたら新しいのを買いなさい”と云うことです。
日本のメーカはいつもこうなのです。もしかすると同じメーカでも機種ごとにみんな違うなんてことは珍しくありません。 修理がやり難く出来ているのです。それでも本体無改造でようやく形が見えてきました。
吸い込みホースの取り付け口の怪しげな”犬”みたいな物はホースのロック装置です。 木の枝を加工して作りました。チョットした遊び心です。

 

組上がるとこんな感じです。あと一息! 掃除機も接続できました。

リモコンコネクタのプラグです。アクリル板で作りました。 パワーステーションです。キャスタを付けて移動可能にしてあります。 B型の穴は掃除機の排気用です。少し掘り下げたところに掃除機のタイヤが乗ります。 こんな形になりました。よく見るとシリンダになにやら加工の後が!強度不足が発覚。補強のハチマキです。

 

完成間近にいろいろトラブルも発生しています。 リモコンのコネクタは当然のこととは言え既製品はありません。 ホースを保守部品として購入することも考えましたがアクリル板を細工して作りました。
バラバラのユニットを載せるトレイを作りました。
名付けて”パワーステーション”です。 キャスタを付けて移動可能にしました。ダストコレクタのフタはかぶせただけですが隙間には柔らかいゴムのリングを嵌めてあります。 真空圧が上がると吸い込まれて密着します。(5Φの丸ゴム・スポンジ状を円周に合う寸法に切り接着して輪ゴムを作ります。) 
真空度のテストをしていたらシリンダの外筒が潰れました。 どなたかもホームページに書いていましたが真空圧は大変な物です。見てくれは悪くなりますが補強のハチマキを掛けました。
最終的には減圧弁が付きますので壊れることはないでしょう。 チョットだけゴミを吸い取ってみましたがうまく分離しているようです。 
中が見えないのが残念です。ダストコレクタにのぞき窓を付けたいのですが強度が心配になってきました。
ダストコレクタはシリンダよりは厚手の鉄板ですが窓を開けたりすると強度の低下は明らかです。

ダストコレクタのゴミが多くなりすぎるとゴミが掃除機の方に吸い込まれてしまうので、
のぞき窓は是非とも欲しいのです。

 

閑話休題
 サイクロンの渦巻きは左巻がよいか?
台風は左巻、下水の吸い込みも左巻? 北半球では地球の自転の影響で左巻になると云う話を聞くことがあります。確かに右巻の台風はありません。 しかし下水の吸い込みはよく見ていると右巻もあります。 渦流に対し自転の影響が出るのはその規模が数100kmに及ぶときで小さい範囲の渦流では発生の状況で左右どちらにも廻ります。 と云うことは竜巻なども両方あるはずです。まだ確認したことはありません。
ちなみに地球自転の影響力を”コリオリの法則”、”コリオリの力”などと呼びます。

 みんなが云うからサイクロン集塵機と云いましたが。
サイクロンはインド洋で発生します。日本に来るのは台風(tyfoon)です。メキシコ湾で発生するのがハリケーン。
タイフーン集塵機にすれば良かったかも!

 

 

完成した集塵機はこのように作業台の下に収まりました。

パワーステーションには移動用の取っ手を付けています。これは掃除機本体をガードする役割も兼ねています。 シリンダのハチマキは効果抜群で吸い込み口をふさいでも変形せず充分な強度を確保出来ました。 減圧弁はシリンダ頭頂部の後側に付きますが現段階では出来上がっていません。(構造を検討中です) 吸い込み口は(手前U字型になっているホース)適宜使用工具に接続して使います。集塵機のように室内に拡散した粉塵を集塵する能力はありません。 どちらかと云えばダストコレクタ付き掃除機のような物です。
私の作業形態は金工も多いので工具の近くで集塵することが原則です。 
テスト使用ではゴミはうまく分離しているようです
が軽い物などはいつまでも廻っています。 大量のゴミを吸い込んだ場合分離がうまく行くか気がかりです。(シリンダの高さが足りない?) これは気流に対しての知識がほとんど無い私の1号機と云うことで様子を見ることにします。 これから使いながら一つずつ接続用のアクセサリを作っていくことになります。それも手作りの楽しみ。 不具合の改良も課題です。
ひとまずこれで完成!

完成してから2ヶ月ほどが過ぎました。
サイクロンはうまく動作しています。時々ホースの先端がビニールなどで塞がることがありました。 それでもゴミはミニドラムに落ちているようです。掃除機の紙袋にはほとんどゴミは入っていません。 サイクロンの回転音は聞こえなくなりますので重力による分離になるようです。
排気側の直径を大きくして風速を低くしたのは正解でした。

 

このサイクロンと電動工具を連動させるため、リモコンに一工夫を!
  リモコン回路(東芝VC-B28Kの場合)

掃除機の付属ホースに組み込まれている制御用SWは右図のようになっています。 同じような回路を作れば純正ホースを使わなくてもリモコンが出来ます。SWはプッシュONタイプ(押しており間だけONになる)を使います。
R2のSWを押せばOFF、R3のSWを押せば弱、中が交互に切り替わります、R4のSWを押せば強になります。

小さな箱に組み込んで工作機械などと連動させれば快適に使えるでしょう。
他のメーカでもそんなに違いはないと思います。
回路解析して連動化するのも楽しいですよ。

コレを具体化した 「連動遅延コンセント」を参照下さい。

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