リターンロスブリッジ
スイーパとセットで活躍します。

ja1cvf  1001

スイーパ作ったのでこれも必需品でしょう。

高周波回路は50Ωの回路インピーダンスで構成するのが一般的です。
50Ωからどれだけずれているかチェックするツールです。

最近はスペアナキットも手に届く範囲になりました。ジャンクのスペアナも出回ってます。

トラッキングジェネレータが無くても別項の超手抜きスイーパとの併用で整合状態を可視化することが出来ます。

原理は簡単です。ホイートストンブリッジと同じで50Ωで構成されたブリッジの検出にスペアナを使っただけです。

オシロスコープで見るためにはスイープ信号との同期が必要ですが、特定の周波数で測定するだけならオシロでもまたダイオードとアナログメータの組み合わせでも可能です。
しかし可視化されたグラフで見ることが目的の一つで有るのにそれが出来ません。

抵抗値は市販品の近似抵抗を使用していますので50Ωになっていません。
51Ωは同じロットを使えば誤差は気にする必要有りません。
T使い方で特性は大きく変わります。参考資料を熟読されることをお勧めします。

回路は簡単ですが高い周波数まで使うためには高周波に対する配慮 『配線を必要以上に引き回さない』 ことが重要です。
接続用のコネクタは脱着が簡単なBNCを使いました。
両面基板の片側にカッターでランドを造りそこにチップ抵抗を付けて組み立てます。
基板はコネクタに直接ハンダ付けします。
このような作り方をすると「基板上ラインの幅は何ミリ?」というような質問が来ます。
今回は0〜200MHZ程度の周波数で使用することを考えてますので細かいことは考えませんが1.6mmのガラスエポキシ両面基板を使ってラインの幅は約3mmとしています。
抵抗はチップコンデンサです。
ブリッジ回路の抵抗は市販品の51Ωです。同じロットなら申し分有りません。理想的な50Ωの抵抗は一般的に入手できません。

出力(右コネクタ)は細い同軸ケーブルで取り出し、トロイダルコアとフェライトビーズを入れています。
このコア選択はとても重要で周波数特性に大きく影響します。

50Ωの終端抵抗を付け特性が良くなるようにスペアナを見ながら選別しています。
*コアについては後述の資料を参照下さい。

実際に使用したジャンクのコアですがジャンク屋で手にとってもその素性を知るのは至難の業です。
コアの色艶、巻線の種類などを見て判断しますがハズレが多いです。


調整に便利な50Ωの終端抵抗
右端は75Ω

これらの調整には精度の高い終端抵抗が有ると良いのですが同軸コネクタに直接抵抗を付けたモノでもこの程度の周波数帯なら気にする必要はありません。
一番右の終端抵抗は普通のカーボン抵抗が入っているだけです。

この作例基板ではブリッジの負荷接続コネクタ(中央)部分に抵抗を仮止めするスペースが空いています。
ここに50Ω(51Ω)の抵抗を取付け出力回路を調整します。(調整後取り外す)

このような構成で組み立てる時はあらかじめコネクタを仮止めしこの状態で基板をコネクタにハンダ付けします。その後、ケースから外して基板の裏側もハンダ付けします。
ケースが放熱器のように働き大きなハンダごて(100w以上)がないと困難です。コーヒーなどのホットプレート(80℃位?)に載せてハンダ付けするのも一考です。やけどには十分ご注意下さい。
また、安物のコネクタではハンダの熱で絶縁物が溶けてしまうこともあります。

* 参考資料:トロイダル・コア活用百科
  山村英穂 著  CQ出版社

波形を観測してみました。


1) これはスイーパ単体の波形。0〜100MHzです。
スパンは最大100MHzですが最高周波数は240MHzまで可能です。
高域は若干の出力低下があります。


2) ブリッジを接続しました。負荷は開放です。
これが基準になります。


3) 75Ω負荷を接続。基準に対し-14dBとなるはずですが、少し甘い!


4) 50Ω負荷では-30dBがやっと
アマチュアに判りやすいVSWRは1.07


5) 100〜200MHz負荷開放では2dBほどレベル低下。 この時の50Ωと75Ωのグラフは省略。

 


6) 最高周波数240MHz負荷開放ではかなり落ちています。start周波数を決める側VCOのレベル変動が大きいため。


7) 75Ω負荷・14dBにはほど遠い。
追求するかガマンするか迷う所!
あっさりガマンします。


8) 50Ω負荷では23dBくらいか?VSWRは1.15?
これ以下は測定不能。
これもガマンです。


9) 普段使ってるアンテナ(TA341)の整合状態は結構良い所まで行ってます。

スイーパとリターンロスブリッジがあるとこんなコトが出来るという実験です。
その他普段見えない電波の可視化は面白いです。
ジャンクのスペアナやスペアナキットに目を向ける時代が近づいているように思います。

 

☆DIY作品集【Quick Menu】 はこちら!

《ホームページ・表紙へ戻る》