南原清隆 研究発表会2003夏
〜なんばらくご〜

2003年8月30日・31日 於 新宿アイランドホール

 の、8月30日分をすみっこの席で観劇してた者によるレポです。
 この公演のビデオ・DVD発売、テレビ放映、同じ内容での再演などの予定はないものと思って、これを公開しています。もしかして将来それらが実現した場合、ネタばれになりますことをご了承ください。
 一人の観客として楽しんできた記憶のみを頼りに構成しているので、誤りや勘違いもあることと思われます。文中、南原さん自身のセリフのように書き起こしている箇所もありますが、それも筆者の記憶の中にあるものを再構成して書いているものであり、必ずしもそのとおりの言葉が南原さんの口から発せられたというわけではありません。
 それらをふまえてくださった上で、拙いものですがご覧ください。
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 舞台は中央の少し奥に小さめの演台がひとつ、その周囲を天蓋のように下げられた何枚かの網目状の布が飾っています。シンプルな装置ですが、これが照明によって後にさまざまな表情を見せてくれます。
 舞台下手(しもて。お客さんから見て左側)から南原さん登場。白地に細いチェックかストライプ(すみませんよく見えなくて)の半袖のシャツに、きれいな紫色の薄手のニットベスト、白のパンツに白のスニーカー。爽やかです^^ 胸元のピンマイクの頭もベストに合わせて紫色。大きな拍手の中、舞台中央に立って丁寧にごあいさつ、そしてまずはフリートークから始まります。

(本当にフリーなトークで、さまざまなエピソードを話してくれたわけですが、どれも面白かったのにどういう順序で話されてたのか忘れてしまいました;なので順不同かもしれませんがとにかく思い出せる限りのことを書いていきます)

 この8月にソロライブをやろうとした理由を『ヒマだったから』と語る南原さん。…ヒマって(笑)ちなみに今年は、世界水泳でバルセロナに行ってたことが事務所のほうで『休み』とみなされているので、南原さんにはもう夏休みは無いとのこと(笑)
 久しぶりのライブなので綿密に準備を進め、この前日もこの舞台で最終的な場当たりを遅くまで続けていたそうなのですが、このホールは完全撤収が夜の10時と決められており、その時刻にはホールから出なければならない。それを超えて打ち合わせを続けるとなると、適当な場所が下のロイヤルホストしかなく(ホールの入っているビルの1Fにロイヤルホストがあるのです。周辺がオフィス街で夜遅くに開いている店が他に無いんですね)やむなくそこへ移動しようとしたら、大勢で座れる席が店中央のテーブル(いわゆる『お誕生日席』)しかないと言われ、それはちょっと…なんて事態も起きてたりしていろいろ大変でした、てなことが話されました。
 『言葉』をテーマにしたライブに向けて、今の自分が関心のあることを考えると同時に、自分の内面についてもあらためて見つめてみて、そして見つけた南原さん自身の思う自分の基本性格?というのを列挙されてたんですが、まあ…明るい。楽しい。カラオケ好きそう。ずっと歌っててなかなか帰らなさそう。でも肝心なとこで気が弱そう。…てな、おなじみのイメージが挙げられまして(笑)なかでも『気が弱い』、ちょっとしたことでダメージを受けてしまう性格のことを、『ある時、いつもの敏腕マネージャー市川君から携帯を借り、話し終えてそれを返した後、ふと振り向くと市川君が自分の使い終えた携帯を彼のズボンで拭いていた』というエピソードで語ります。些細なことですが、こういうの目にすると彼のガラスのココロが傷つくのですね(笑)。
 このフリートーク中、かなりの部分をこの市川君エピソードが占めてた気がします。TVの収録中、きれい好きな南原さんのために市川君は楽屋を整頓しておいてくれるのですが、ある時南原さんがひょいとその楽屋(和室)を覗いたら、市川君がそこに土足のまま上がって片付けていたとか…。タレントとマネージャーとが、双方が驚いてフリーズする瞬間(笑)。そんな大らかな市川君の将来の目標は、プロデュースも出来るマネージャーとのこと。単なる付き人ではなくプロデュースもしていけるマネージャーを目指しているそうです。そんな市川君と体験してきた、今年の南原さんのある仕事の話。
 ウリナリ社交ダンスSPのロケで訪れたスペインで、闘牛をすることになってた南原さん。ダンスの特番なのに、っていうか芸人なのに、と疑問感じつつもまずは本職の演技を見ることに。闘牛場にて、女性のマタドール(マタドーラ?)が颯爽と登場し、そして牛の出てくるゲートがガコンと開いて相手の牛が登場。が、その牛、やたら元気に荒々しく飛び跳ねていて、日本で見かけるもっさりした乳牛のイメージ(南原さん、口もぐもぐさせたりして牛の顔真似してみせてます。巧いです(笑))とはまるっきり違う。あれじゃ馬じゃん!とびっくりしていたんですが、南原さん達(ウドさんとゴルゴさんが一緒だったそうで)が相手するのはもちろん子牛ですから、と言われて安心、するはずもないんですが。いよいよ南原さん達の番となり、マタドールの衣装に着替えさせてもらうのですが、ご存じのようにあの衣装のパンツは非常にぴったりフィットする形をしていますから、まずそれを履くのに一苦労。よいしょよいしょって感じに飛び跳ねながら引っぱって履いてる仕草をしてみせる南原さん(可愛らしいです)その際、股間の大切なものは左側に寄せろ、と指示されたとか。演技の時、牛は自分の右側を通るので、大切なものは極力そこから遠ざけておくのだそうです。ビビりながら言われた通りにそうして(左に寄せる仕草をしてます。可愛らしいです)ついに本番の時が。ゲートが開き、出てきた牛を見るとこれがやたら元気に飛び跳ねている。ってこれさっきの牛じゃねえかよ! 聞けば、あの牛の体重は闘牛の世界ではまだ『子牛』なんだそうで…。まずウドさんが挑戦し(南原さん曰く『あの子は頭が弱い。ゆえに恐怖心が無い』)次にゴルゴさん、そして南原さんの番が。ふと見ると、市川君はとうにTVカメラの後ろに一人で避難してる。コノヤローと目を向けると市川君は気付いて『水ですかー?』水じゃねえだろ。…赤いケープ(ムレータ)を構え、いざ勝負。しかし。闘牛の牛というのはその布の色や動きを見ているのではなく、自分から近いところにある動くものを目がけて突進してくる、だからケープは自分の身体の真横ではなく、自分よりも前の方に出してかざすのです。すると牛はそのケープの先端のほうに向かって行くのですね。が、恐怖のため身体が縮こまってしまった南原さんは布をうっかり自分の身体の近くに構えてしまい…気がつくと牛が、自分のほうに向かって来る! …やばい!と思った瞬間、ありがちですが人間は思考がスローモーションになるようで。走馬灯のように『まさか・まさか・まさか…ボクが・ボクが・ボクが…そんな・そんな・そんな…内村の顔がフッ(と脳裏に浮かんだらしい。この日、ここで初めて内村さんの名が出て客席は大喜び)』といろんなことを数秒のうちに思った後、お腹に衝撃が。幸い大事には至らなかったわけですが、怖かっただろうな…。恐怖心の無いウドさんに『おいしかったですね〜』などと言われつつ、写真を撮ってたはずの市川君に『写真見せて』『それが…』『デジカメだからすぐ見れるだろ?』『…撮れてません』おいおい。凹む南原さんに市川君『服をめくってもらえますか?』『なんでだよ』『痣を撮ります』『…撮らなくていいよそんなの!』おいおい。
 市川君エピソードは他に、TV朝日の社長ほかトップ陣と会食した際の話なども。偉い人たちばかりの席に南原さんのお供で参加の市川君、誰の目にも彼が一番の下っ端というか、足軽というか。一抹の不安を抱えつつ、会食のテーブルにつきます。そこは社長を頂点に明らかなヒエラルキーの存在する世界。飲み物を決める際、誰もが内心『ビールがいいよね』と思っていたにもかかわらず、社長が『ワインを』と言おうものなら全員が右へならえで『ワインで!』となるような世界です。そんな中、一人いつまでもビール飲みたそうな顔してる市川君がやはり不安な南原さん(笑)。ワインが運ばれてきて、グラスがゆきわたったところで乾杯となるはずが、人数が多いのでボトル1本のワインでは全員のグラスには少し足りない。社長を見ると、早く乾杯したいのにという顔をしてる。こういう場合、一番目下な者が自分のグラスを隣りの人にでも譲ればいいのですが…この場においてそれに該当するのは市川君なんですが…その市川君、まるで気にせず自分のグラスを優雅に揺らしてたりして(テーブルに置いたグラスを片手ですりすり動かす仕草をする南原さん。ワインに空気が含まれて美味しくなるらしい)譲るどころか飲む気満々…。お店の人がすぐに別のボトルを運んできて事なきを得たのですが。ところで、こういった場での座る位置はその相手との心の距離を現すそうで、自然に座った位置関係がそのままその人との関係性を示すのですと語る南原さん。遠くに座った相手とは心の距離も遠く、近くに座る相手とは近い。話しやすいのは斜め前に座る者同士で、だから合コンなどで親しく話したい相手がいたらその斜め前に座るのがいい。よくないのは真正面に向き合って座る相手。これは戦う相手とみなしていることになるそうで。…で、ふと見ると、市川君が社長の正面に座っている。…やる気なのかよ、と思ってたら案の定?世界水泳の話の流れから『背泳の選手はどこを見て泳いでいるのか?』との疑問を発した社長に(他の全員が答えられないので)自信たっぷりに『天井です』と答える、じつは水泳経験者の市川君。選手はプールの上の天井に自分なりのラインを決めてそこを見て進む、という答えに一同なるほどと思った、までは良かったのに、調子に乗ったのか市川君『だから、世界水泳福岡の会場(天井が湾曲したデザインらしい)は背泳の選手には泳ぎにくかったはずです。あれじゃ記録は出ません』と…。福岡水泳の主管だったTV朝日のトップに向かって福岡水泳のダメ出しかよ;
 そんなエピソードに事欠かない市川君、何かしでかすたび『今日はすみませんでした』と南原さんに謝るのですが…『今日は』のフレーズに反応したお客さんからくすくす笑いが起こると、南原さんはそうなんですよ〜とばかりに市川君のその『リセット芸』を強調します。何をやらかした時でも、市川君は常に『今日はすみませんでした』。バルセロナ行く時、自信たっぷりに『南原さんは着替えだけ持って行けばいいです。僕がすべて準備して行きます』って言ってたのにサングラス忘れてた時も(しかもそのサングラスは彼がずっと前に南原さんから預かったのを返し忘れ続けているもの)やっぱり『今日は、すみませんでした』。ミスを後々に引きずらない、そんな『リセット芸』に長けた市川君なのでした。
 …市川君ネタばっかじゃなくて、『言葉』にまつわる話がもっとあったんですよ;えーと、些細なことで傷つくという流れで、現在共演中のベッキーとの会話のエピソード。ハーフであるベッキーは日本語と英語とを操れるわけですが、そんな彼女と南原さん、日本語で会話する時は非常にフレンドリーで冗談なんかも普通に『ベッキー、今日も顔が丸くて“丸い・アントワネット”だな』『やーだ、それはマリー・アントワネットでしょ』ってなノリで楽しく話せるのですが、同じ冗談でも英語で『Hi,Becky! I love you!』なんてやると『Stop it! I hate you!』ものすごく怒られるとか。ベッキー曰く、日本語を使う自分と英語を使う自分とでは若干性格が違うらしい。日本語の時は多少のことも『まぁいいか』とアバウトに考えることもあるのに、英語だと先々のことまで予測してきっちり行動するような性格になってるらしい。神戸出身の演出の小松さんも、普段の仕事場で標準語で話す時と、郷里の知人などと関西弁で話す時とでは別人格になっている感がある。関西弁の時は前へ前へ出るキャラなのに、標準語の時にはそれが押えられているような。かく言う南原さんも、標準語の時と讃岐弁の時とではやっぱり違っている。標準語で仕事してる時はやる気を出せるけど、讃岐弁になるとだらーっとしたモードに入るらしい(笑)そもそも、彼の『清隆』という名、郷里では発音のされ方も違っていて、現在普通に呼ばれる『南原清隆』の『きよたか』のアクセント(低・高・低・低)ではなくフラットに『キヨタカ』(低・高・高・高)と呼ばれていたそうです。なので上京してしばらくは名前を呼ばれても自分のことを言われている気がしなかったとのこと。

(繰り返しますが、お話した順序がどうだったか今となっては思い出せない私です;話の流れが間違ってたらごめんなさい。
 たしかこの辺で、南原さんは演台の中に用意してたジャケットを持ってきて着ます。下のパンツと同じ色のジャケットで、爽やかな白のスーツ姿になりました)

 『言葉』といえば、南原さんが最近気になる妙な言葉は『美女軍団』。ニュースで耳にするたび何それ?と思ってたそうで、日本でもこの際『なんとか軍団』っての作ってあちこち出没させたらどうだとか考えて…そしたら既にありましたね『たけし軍団』というのが(笑)他に『スイカップ』とか、不思議な言葉が流布してますねという世間話的なネタも交えつつトークは進み。気になるといえば、世界陸上の織田裕二も気になるらしい。(番組中での彼の独特なテンション?を形態模写してみせたりして笑いをとる南原さん。私はこれ見てないのでわからないのですが;でもなんとなく笑える)『CMのあといよいよ○○です!』とか言う割にはCMのあとなっかなかそれを放送しない、待っても待っても始まらない、これはどうなの?という点でも気になるらしい。明日ライブなのに、いい加減寝たいのに、織田裕二が『いよいよ次です!』とか言ってるから寝られない(笑)やっとその種目が放送されて、結果見て、やれやれ眠れると思ったらまた織田裕二が『このあと表彰式です!』とか言うし、でやっぱりすぐには放送しないし(笑)何なんだよーという話でした。

 それから、各国の言語の中でもっとも語彙の豊富なのはフランス語という話とか。単語の種類が多い、ということは文章表現において事細かな点までをしっかり書き現わすことができるのというので、国際的な条約の条文にはフランス語が使われるのだとか。逆に語彙が少ない言語の例としてあげられたのはアフリカのスワヒリ語。なにせ『ジャンボ!』という挨拶の語が、どこ行ってもどこの部族でも通じる。以前アフリカを訪れた際、現地の人みんな黒い人ばっかだし、言葉は通じないし、『この妙な東洋人はなんだ?』ってな目で見られてるようで怖いし、困ったな〜と思っていたけど(南原さん曰く『でも、もし何かあれば僕のこれが出ますから(と言ってコブシを固めてみせます。この人たまーにこういうボケに走りますね^^ コブシだけでここまで来た、とかなんとか…実際はケンカしたことのない人のはずですが)』)でも『ジャンボ』って挨拶すれば通じるから、と教わっていたので、恐る恐る『ジャンボ!』って言ってみたら、たちまち『ジャンボ!』『おー、ジャンボ!』って周囲がいきなりフレンドリーになったという、そんな例もあるほどなので。

 という話をはさんで、フリートークから南原さんの一人芝居へとライブは進行していきます。南原さんは背後の演台の後ろに回り、用意してあった紙コップに口をつけてます(ここで客席から笑いが起こるところが南原さんライブらしい。トークライブの途中で出演者が飲み物を口にするのって普通のことだと思うんですが、南原さんの場合これが笑いになっちゃうんですね^^)

 ※これはライブ初日(30日)のフリートークです。楽日(31日)のほうではまた内容が違ってたそうです。

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