――今、なんて言った?


無機質な壁が取り囲む、外界から隔絶された四角い世界
慣れ親しんだ街の風も音も届かないこの部屋に取り込まれて、どれほどの時間が経ったのだろう


衰弱した耳にふと響いた、声の意味を飲み込めないでいる間に
複数の者たちの手が素早く動き、あっけなくこの身は捉えられる


肩から背中へと誰かの手は走り、衣服が剥ぎ取られ
   ――イヤダ
丁寧に、しかし有無を言わさぬ力で、あっさりと両手が固定される
   ――ヤメロ


まるで架空の出来事のように、信じがたく過酷な現実を前に
乾ききった口の中で舌は痺れ、簡単な拒絶の言葉すらも発せられない


晧々とライトに照らされた一角、括られた両手が天井に繋がれ
光の中に白く浮き上がった剥き出しの肌の色に、誰からともなく奇妙な感歎の声がもれる


  ――耐えられるだろうか?


ふわり、試すように一瞬背中に触れたやわらかいものの感触に
これからなされるであろうことの酷さをかえって予感させられ、光の中で身が竦む


  つぎに、そこに触れてくるものは、はたして何なのか
  棘か、針か、それとも鞭か


  耐えられるだろうか
  その苦痛に、その恥辱に、この身はどこまで持ってくれるだろう――


絡みついてくるように感じられる、周りの視線を振り切ろうにも
繋がれた身体は自由にはならず、ただ晒し者でいるほかはない



  ――耐えるしかない
  ここから逃れることが、もう叶わないのならば

  大切なものを、それで守り切ることができるのならば――



やがて


ひときわ明るい光に照らされながら、こちらへと近づいて来ていた者たちが姿を現し



そしておごそかに




恐ろしい所業が、今まさに始まることを告げた







 『このあとは、発掘あるある芸人大事典!!』
 『今日のテーマは ” くすぐり ” ♪





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02年1月27日放送の「笑う犬の発見」でやってたアレです。
収録疲れでDの説明よく聞いてなかった彼を襲う悲劇、なんつって。
ただそれだけです。
ええ、それだけです。
…いろいろな意味で、すみません。

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