――今、なんて言った?
無機質な壁が取り囲む、外界から隔絶された四角い世界 慣れ親しんだ街の風も音も届かないこの部屋に取り込まれて、どれほどの時間が経ったのだろう
衰弱した耳にふと響いた、声の意味を飲み込めないでいる間に 複数の者たちの手が素早く動き、あっけなくこの身は捉えられる
肩から背中へと誰かの手は走り、衣服が剥ぎ取られ ――イヤダ 丁寧に、しかし有無を言わさぬ力で、あっさりと両手が固定される ――ヤメロ
まるで架空の出来事のように、信じがたく過酷な現実を前に 乾ききった口の中で舌は痺れ、簡単な拒絶の言葉すらも発せられない
晧々とライトに照らされた一角、括られた両手が天井に繋がれ 光の中に白く浮き上がった剥き出しの肌の色に、誰からともなく奇妙な感歎の声がもれる
――耐えられるだろうか?
ふわり、試すように一瞬背中に触れたやわらかいものの感触に これからなされるであろうことの酷さをかえって予感させられ、光の中で身が竦む
つぎに、そこに触れてくるものは、はたして何なのか 棘か、針か、それとも鞭か
耐えられるだろうか その苦痛に、その恥辱に、この身はどこまで持ってくれるだろう――
絡みついてくるように感じられる、周りの視線を振り切ろうにも 繋がれた身体は自由にはならず、ただ晒し者でいるほかはない
――耐えるしかない ここから逃れることが、もう叶わないのならば
大切なものを、それで守り切ることができるのならば――
やがて
ひときわ明るい光に照らされながら、こちらへと近づいて来ていた者たちが姿を現し
そしておごそかに
恐ろしい所業が、今まさに始まることを告げた
『このあとは、発掘あるある芸人大事典!!』 『今日のテーマは
” くすぐり ” ♪』
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