パソコン売上げ急落の真の原因は?


 こちらのコーナー(パソコン業界Watch)は、本当に随分久しぶりの更新になりますね。見てみたら、2/13(金)以来ですか。まるまる一ヶ月以上更新してなかった訳ね。長野オリンピックの関係で、スポーツColumnのほうを書いてたからなぁ。そうこう言ってるうちに、長野パラリンピックも、こないだ(2/14)閉幕しましたね。このパラリンピック期間中は、公私ともにやることが沢山あったので、あまりテレビも新聞もきっちり見てないんですが、何ですか、日本は、メダル数41個、金メダルだけでも12個だとか。凄いですねぇ。参加者数の問題で、上位入賞が(オリンピックより)し易いとは聞きますが、それでも大変なもの。はっきり言って、日本なんか、欧米に比べたら、障害者にとっての社会的環境は、数段厳しいものがあると察します(注*1)が、そんな中で、スポーツをも頑張れるというのは、とても精神力を要すると思います。そういう中で、日本の選手達は、よくやったと思います。(勿論、外国の選手達もですが。)成功して良かったですね、お疲れさまでした、としか、言いようがありません。

(注*1) 私、学生時代、教育学部に在籍していた関係で、「社会学習」と称して、いわゆる知的障害者の施設(障害の程度は低い)でお手伝いをした経験が少しあるんですが、あの頃の知的障害者に対する社会環境は、本当に非道かった。(今でもやはり非道いんだろうか?)知的障害者と言っても、ある程度年齢のいっている人は、職に就いている人達もいたけれど、そういう人達は、殆どがおとなしい人達なので、要するにイジメる側からすれば、「反撃も何もしてこない(できない)イジメ易い相手」ということで、さんざんイジメまくる奴らがいたんですよね。ほぼ毎日、頭から血を流して職場から帰ってくる人がいましたよ。その人の世話をしてる人の話では、職場で複数の人間からさんざん殴られてるって話だった。(世話をしてる人は、その知的障害の人の頭の血を、いつも涙流しながら拭いてましたよ。)肉体的(知能含む)に弱いとか、社会的に弱いとかの、弱点のある人を、ここぞとばかりにイビリ倒すようなクサレ外道どもは、ほんと、どうにもならんね。(MSと同等?そうね、まあ、MSもクサレ外道には違いないが、金と脅しが主武器(要するに今風の経済ヤク ザね)で、暴力は(今のところ)使ってないから、どっこいどっこいじゃないかな。)子供ならともかく、大人になっててそんな道徳観じゃ、もはや更生させるのも難しいでしょうね。

 おっと、こちらのコーナーで書く話ではなかったかな。前振りとしては、ちと長くなりすぎました。それでは(久々に)本題に入りましょうか。
 さて、本来ならば、MSの総帥ビル・ゲイツ君が、米国で公聴会に呼ばれて色々発言したという話もありますし、最近の話題としては当然取り上げても良いところなんですが、まあ、この件はハッキリ言って世界中が注目していることでもあり、各方面で既に色んな論評がなされているので、今回ここで取り上げるのは避けることにしますね。どこかのニュース・ソースからただ引っ張ってきて、ほんの少し色を付けて書くだけだったら、このコーナーの存在価値(元々そんなもん、あるのかって声も...(^^;;)が薄れてしまいますからね...このホームページの読者も、通り一遍の「アンチMS論」など、期待してないと思いますし...そんな訳で、今回は、MS叩き云々からはちと離れて、業界全体に警鐘を鳴らす意味を込めて、パソコンの売上げがこのところ急落している原因を、コンピュータ屋という立場よりも、一般の人の立場に立って、第三者的な目で改めて見てみたいと思います。と、言いますのは、このこと(=パソコン売上げ急落)は一般の経済紙(誌)でも取り上げられるほど、厳然たる事実なんですが、その原因を指摘したつもりの記事には、疑問符を付 けざるを得ないものが余りにも多いからです。特に、一般紙よりも寧ろ業界紙のほうに、的外れな指摘が多い。曰く、

 1.日本の景気そのものが、かつてないほど冷え込んでいるので、パソコン関係もあおりで落ち込んでいるだけ。
 2.今年(1998年)出るという噂のWindows98を待っての、ユーザーの買い控え心理が大きく影響している。

など。なるほど、上記1.にしろ2.にしろ、ある程度は当たってないことはないでしょうね。けれど、ことは実はもっと深刻なんじゃないかと、私なんかは思う訳です。その理由を、以下に述べつつ、今回のテーマとします。
 まず、1.の論理ですと、日本の景気が回復しさえすれば、パソコンはまたバカスカ売れるようになるはずですね。ところが、本当にそうでしょうか?まあ、まだ景気が回復してもいない(そもそも、回復することがあるんだろか?(^^;;)段階で、何も実証できませんが、私は、景気が少々回復した程度では、もうユーザーは以前のようにパソコンに飛びついてこないと思います。その理由は、パソコンは、現時点で、購入する可能性のある層には、一渡り行き届いてしまったと言えるからです。

 「えっ、そんな馬鹿な。アメリカに比べて日本はまだパソコンの普及率が低いから、まだまだ潜在的には需要があるんじゃないの?業界の見通しでも、そんなことが書いてあるし。」とおっしゃるかた、それは例によって例の如く、「業界物知り」の(ふりをした)連中に、騙されてますよ。確かに、米国に比べ、日本での家庭のパソコン普及率はまだ低い(米国40%前後、日本20%弱と言われてますね)ですが、数字に騙されてはいけません。大事なのは、今パソコンを持ってなくて、それでとても不便を感じている人がどの程度いるか?です。私の知る限り、パソコンを家庭に置いてないけど、別に何も困ってないっていう人ばかりですよ。以下は、私の友人知人の中で、今まだ個人的にパソコンを持ってない人たちの話。(実名は伏せてますが、実在の人物ですよ(笑))

 Aさん:インターネット?職場でなら必要だから使うけども、別に家でまでメール見る必要ないからねぇ。
 Bさん:パソコンは持ってないけど、ZAURUS持ってるから、家でも困ってないよ。
 Cさん:使うとしたらゲームだけど、PlayStationで充分だしね。パソコンでゲームなんて、面倒くさそう。
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などなど。さて、ここで問題です。上記AさんからCさんまでで、誰が男で誰が女でしょうか?って、そんなのはどうでも良いか(笑)。(一応書いておくと正解は、全部女性です。いやぁ〜、皆さんきちんと考えてますねぇ。男のほうが、多分、役に立つか立たないか考えずに買ってしまう人が多いんでしょうね。私もそのクチだけど(笑))まあ、つまり、パソコンは、もはや新規ユーザー獲得は、かなり厳しいってことです。みんな、いつまでも馬鹿じゃないですよ。パソコンが如何に普通の人に「使えない」かってことは、知れ渡ってますよ。と、言うことは、買い換えユーザーの獲得も、同様に厳しいってことです。こういう状況下では、景気が少々回復しても、パソコンが「黙ってても売れる」なんて現象は、もはや夢の夢ですね。
 次に、2.の「Windows98待ちの買い控え」って論理。これも相当嘘くさい。既存のユーザーでさえ、Windows98なんて、期待に胸膨らませて待ってる人など、殆どいないのが現実。(MS幹部やMSの幇間(たいこもち)マスコミが、如何にWindows98が待望されているか、を力説しても、現実は違います。)何故、既存ユーザーが時期Windowsに余り期待してないかと言うと、要求されるハードウェア・スペックが高すぎるってのがまず第一に大きい。Windows98について噂されているハードウェア・スペックは、最低構成が「Pentium/120MHz以上、メモリ48MB以上、ハードディスク・ドライブ空き容量1GB以上」、推奨構成が「MMX Pentium/166MHz以上、メモリ64MB以上、ハードディスク・ドライブ空き容量2GB以上」と言われています。これを見ていると、既存ユーザーは、もうウンザリですよね。Windows95発売以降に買ったはずのマシンが、その次のOSの発売時には、もう使えない。(これは、今回のバージョンアップ時だけでなく、Windows3.0以降は、常にそうです。)いい加減にしてくれよ、って声は、私の周りにも多いです。そして、期待しない(したくない)第二の理由は、Windows98には、あの鬱陶しいIE4.0がバンドルされて出てくるのでは、という危惧があるからです。(これは米国での裁判の結果次第で状況が変わるんでしょうが。)Windows98にバージョンアップした為に、今まで動いていたアプリ(Netscape含む)が動かなくなってはかなわん、という既存ユーザーの声を、メーカーはどう思ってるんでしょ。(MSが自発的にIE4.0を外すのはあり得ないから、あとはハードメーカーの対応に期待するしかない。)

 こんな具合で、パソコンの製品寿命が余りにも短い(私、このコーナーの初回のネタで、そのこと書いてます)もんだから、「どうせ製品寿命が短いなら、もっと安くあがって、もっと使いやすい物を」ということで、みんなPDA(Personal Digital Assistant、携帯情報ツールなんて訳されてますね)に走るんですよね。当り前の心理です。私みたいに、仕事柄、開発の為に必要だから、嫌でもパソコンを使わざるを得ない(←MS以外のOSなら、別に使うのは嫌じゃないですけど(爆笑))人間はともかくも、一般の人がPDAに走るのはごく当り前でしょう。だって、ちょっとした文章書いてメール送ったり、FAXで送ったりが簡単に出来て、住所管理やスケジュール管理も出来て、しかも使ってる途中で訳の分からんハングアップもまずしない(笑)んだから、普通の人には充分でしょう。パソコン業界が、殆ど意味のない、インチキやりまくりのベンチマーク・テスト(注*3)で性能を競っている間に、地道に「組込型マイコン」をユーザー・ニーズの面から研究開発してきて、PDAという形で開花させた、一部の真面目なメーカーだけが報われる時期になっていると、私は思います。

 こんな訳で、パソコン業界が、一般ユーザーが本当に欲しているものを提供できていない以上、Windows98が仮に今年中に発売されたとしても(本当に今年中に出るのかね?)、「パソコンばか売れ」状態になぞ、絶対ならないと断言できます。それどころか、Windows95以降、MSを嫌いになった人間(私もそうだが)多いから、Windows98の発売が、パソコン売れ行きを更に鈍らせる要因になったりしてね(^^;;;まあ、そうならないよう、各ハードメーカーには、IE4.0をバンドルせずに販売することをお勧めしますよ(笑)。何せ、いつも書いてることですが、メーカー側には、「ソフトのアンインストールなんて、簡単なもんだろ」と思えることでも、全くの普通の一般ユーザーには、そのやり方が分からない人は多いんですから。Netscape Communicatorが、ソースコードまで公開されるほどになったんだから、Netscapeのバンドルは、決して難しいことじゃないでしょうに。

 尚、今回のテーマの中で、PDAの話が出てきました。これらPDAの中には、例の「WindowsCE」搭載のマシンもあります。この辺を、次のネタとして取り上げようかと思います。(←おおっ、初めて次回予告?でも、次回って、いつになるのかね(笑))

(注*3)このベンチマーク・テスト(CPUであれビデオカードであれ)、今でこそ、インチキがまかり通る世界で、余りあてにできない、せいぜい一つの目安程度にしかならないって、かなり知られてきましたが、以前は何か、性能の絶対的基準かのように思われてた時期があったように思います。ベンチマークおたくにはともかく、一般ユーザーのニーズには何の関係もない基準です。