パソコンははたして家電品か?



結論
 家電品では断じてありません


理由

1.製品寿命が短かすぎる

家電品と言った場合、普通、冷蔵庫・洗濯機・テレビのようないわゆる三種の神器(←ふ、古い...)、あと電子レンジとか食器洗い機なんかが該当すると思いますが、どうですかね、これらは、買ったあと、大抵、十年以上使うんじゃないですか?(勿論、何年使うかは使う人の勝手だが。)ちなみに、私事で恐縮ですが、我が家の場合で言うと、
 (1) 冷蔵庫----去年(1996年)の夏、とうとうお亡くなりになったので買い換えたが、それまで約20年働いていた。
 (2) 洗濯機----家を建て直した年(1991年)に、ついでに買い換えたが、それまで約16年働いていた。
 (3) テレビ----応接間用のは、今年(1997年)ついに買い換えたが、それまで約18年働いていた。
          リビング用のは、1991年以来、約6年、勿論いまだ現役。
          私の部屋用のは、1984年以来、約13年、いまだ現役。
 (4) 電子レンジ----ハッキリ覚えていないのだが、15〜17年くらい働いているような...
 (5) 食器洗い機----我が家には、ない。
てなとこです。いやぁ、やはり日本製の家電品は長持ちするねぇ。って、本題はそこじゃないでしょ(笑)。

 これら、まっとうな家電品に比べ、パソコンの場合、製品寿命が非常に短いです。ここでいう製品寿命とは、純ハード的なことでは勿論なく、ソフトも含めて「今世の中で流行っている事についていけなくなるまでの期間」と考えて頂きたいですね。端的な例が、インターネット。今でこそ、購入してくるパソコンのほぼ全てで、インターネット接続機能がサポートされていますが、これ、ほんの2〜3年前だったら、まずなかったですよね。つまり、今から2〜3年前に悲しくもパソコンを買ってしまった人は、インターネットをやろうと思うと、
 ・新たにパソコンを買い換える。
 ・ハードディスク、メモリなどを大量増設し、かつ、大変な苦労をしてOSやアプリを入れ直して、インターネットに繋げるに足る環境にする。
しか、選択肢がなかったはずです。いずれであっても、また随分な投資をしなきゃならない訳で、一般ユーザーには、たまったもんじゃありませんな。

 まあ、私に言わせれば、パソコン業界ってのは、ハードベンダー/ソフトベンダーがグルになって(と言うより、いわゆるWintelがグルになって、と言ったほうが良いかな)ユーザーから金を巻き上げてるとも思える訳で、

 (1) プロセッサを矢継ぎ早に出す(しかも大々的に宣伝する)
     ↓
 (2) 最新のプロセッサでなきゃ動かない重いソフトを作る(しかも大々的に宣伝する)
     ↓
 (3) (1)に戻る

の繰り返し、ユーザーから見たら悪循環です。また、技術的に見たら好循環かと言うと、多分そうでもなくて、Wintelの技術って、かなりいい加減なものだと、私は最近思うようになりました。まあ、この話は、また別の機会に譲ることにします。


2.使うのに特別なノウハウが要る

 家電品を使うのに、本来特別なノウハウなど必要ないはずですね。冷蔵庫のユーザーは、コンプレッサの仕組みを知らなくても、冷蔵庫を使えますし、テレビのユーザーは、ブラウン管やトリニトロン管の仕組み、或いはテレビジョン放送の規格などを知らなくても、テレビを使えますよね。これが、家電品と称する製品の、あるべき姿です。

 これら、まっとうな家電品に比べ、パソコンの場合、普通の人が使おうと思うと、何らかの方法で勉強しなければなりません。マニュアル読んだり、(そのマニュアルも出来の悪いのが多いもんだから)市販の解説本読んだり、とね。ちょっと考えれば分かることですが、「冷蔵庫の使いこなしAtoZ」なんて本が、世の中にありますか?ないでしょ、だって、必要ないんだから。

 「パソコンは、『何でも出来る』汎用性を持たせている故に、『何かしよう』と思ったら、ユーザーが自分で勉強しなければならないのは已むを得ないことです」という言い方をする、パソコン業界の人がいますが、だったら、逆に、最初から「今のパソコンは家電品並みの扱いやすさ」なんて言うなよ、をい(笑)。正直に、「扱いやすくするよう、鋭意努力致しておりますが、いまだクリアすべき問題点が多々ありまして、到底家電品のレベルまでは降りていっておりません」て言えば良いじゃないの。それが言えないのは、結局、「家電品並みの扱いやすさ」という(嘘の)イメージを、一般ユーザーに浸透させてしまって、なるべく広い範囲のユーザー層に売りまくりたいからでしょうね。でも、そういうやり方してると、結局信頼を失って、マーケットを逆に狭めてしまうと、私は思うんですが、どうでしょうか。

【1998/01/12 補足】

 「パソコンは現状ではとても家電品と言える代物ではない」....パソコンユーザーから見れば、こんな分かり切った結論に至る題材を、何故、敢えてここで取り上げたのか、その理由ををまだ説明してませんでしたね。以下にその理由を述べます。

 書き出すと長くなってしまうんですが、要は、何年か前、確か1994〜1995年頃だったと思いますが、パソコンメーカーが、こぞって「ディスプレイ一体型」なるデスクトップパソコンを売り出した時期がありましたよね。日本IBMのPS/V Vision(確か、「テレ・パソ・コンポ」なんて言ってましたね)が口火を切ったんだと記憶してますが、その後、PanasonicのWOODYとか、NECのなんとか(名前を失念)とか、大メーカーが「売れる」と踏んで、一斉に、ディスプレイ一体型を売り出した時期がありました。(今は殆ど見かけませんね。)その当時の売り文句が、まさにこのページで取り上げている、「誰でも気軽に家電感覚で使えるパソコン」(←表現はメーカーにより違えども、言っていることはそういう意味だったはず)という言い回しだったんです。この言葉が、如何に詐欺まがいの言葉だったかは、その当時に「家電感覚で...」に騙されてパソコンを買ったけれども、充分使いこなせずに、粗大ゴミ状態で家の片隅で眠らせてしまっている人の、多さを見れば分かります。つまり、「誰でも気軽に...」の言葉には、その前に「従来のパソコンユーザーなら」という但し書きを付けなければいけなかったはずです。

 私の友人の中にも、5〜1年前ぐらいの間にパソコンを買って、今は眠らせている人たちが何人かいます。彼らは、決してアーパーなお兄ちゃんたちではないですよ、念の為に言っておきますと。寧ろ、世間的には、知的水準の高い人達です。(教員とか、医者とかね。)そういう人達でさえ、単に「コンピュータの専門家でない」が故に、充分には使いこなせなかったんです。(私は、仮にもコンピュータ屋ですので、そういう友人たちを、それなりにフォローはしたつもりですが、それでも素人にはハードルが高かったようです。)まして、世間の標準的なユーザーなら、なおさらだったと思われます。そんな経緯があったので、その当時から、パソコンメーカー側の「売れさえすればどんな売り方でも良い」という姿勢が、私には腹が立つんですね。そして、パソコンでWindows95が一般的になった今日でも、まだまだ「家電感覚で」扱うことなど、及びもつきません。(購入してきたパソコンを、配線等一切間違わずに組み立て、インターネットまでノートラブルで接続できる一般ユーザーが、世の中に何割いるでしょうか?)よって、状況は大して変わっていないと言えます。だから、このホー ムページを立ち上げる時の最初のネタとして、「パソコン≠家電」ということを、是非書いておきたかったんです。