ゆかし




「なんつってもさ」
京都に向かう電車の中で
鳥が鳴く東の言葉が飛び立った
「無欲の人間にはさ、成長ってものがないんだよね」
何やらゆかしその男を、見たい知りたいと
声のした方を振り向くと
同僚の肩に手をやって
「一度言ってみたかっただけさ」
えらくしょんぼりとした口調になった



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