図書室にて




僕の目線 百メートル程先、淀川の堤防を
リハビリの為に杖をつき一足一足
大きく体を揺らせて進む人の姿が見える

僕の背中には 
英語に社会、理科や国語の先生の声が
朗々と響いている

数分おきにドンと空砲が鳴り響き
ついばんでいた稲穂から慌てて飛び出す小鳥の姿が
どこかへ飛び出してしまいたい僕の気持ちを刺激する

「筆は一本、箸は二本、衆寡敵せず。」
斎藤緑雨は病んだ体に鞭打った
樋口一葉には奇跡の三年があった

飛び出してみたところで飲まず食わずではいられない
路頭に迷う家族の姿を思い描いて
自問自答の答えはいつも一つところに回帰する
定年まで働こう
教壇で声を響かそう



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