てっさ 




「今の私、憂鬱が服を着て歩いているみたい」
との呟きに誘われて飲み屋に誘った
薄い二重がほんのり色づいた頃
アルコールに溶け出したメランコリーは
鋭敏な刃となって
次々と人を斬っていく
不平や不満、怒りや謗り
ついには僕までなじられて
透き通るてっさの一切れを
噛みしだく音を耳にした
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