知っている





十五の君を知っている
同じ高校を受験すると知ったのは
卒業式の朝だった

十八の君を知っている
京都の大学を受けたあと
植物園やら金閣寺
観光旅行と洒落込んだ

来年こそはしっかりね
エールの主は仕事に就いた

二十の君を知っている
三十路の君も知っている

ぎっくり腰になった日も
相憐れんで電話した

なあて聞いてくれへんか
そんな女は君しかいない

手をつなぐこともなく三十年
つい最近知ったのは
よく似た声の母君が
あの日あの時、広島で
被爆されたということだ



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