幼なじみ

 

 

 

僅かばかりの秋の果実を持って

司法書士事務所を訪ねる

「その後奥さんは?」

「ああ元気になった」

「内の奴も今のところ二ヶ月に一回の通院ですんでいる」

放射線を浴びた奥さんを案じ、妻の快方を伝える

 

小学生の頃、少し遠い彼の家に遊びに行くのが楽しみだった

原っぱで野球をするのが楽しみだった

 

五十年の時を経て白髪頭を掻きながら

僕たちは少年時代のハナシした

食用ガエルのオタマジャクシは彼の秘密の場所にいた

 

事務所机に置かれた飴を「一つもらうよ」

「ああ幾らでも持って行って」              

言われて僕は「二つ」ポケットに入れる

 

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