紅葉の頃


獅子窟寺の紅葉は青天に映えて
京都の社寺よりもはるかに
その美しさを堪能できた
「穴場ですね、ともかく人が少ない」

境内の巨岩を両手で抱きかかえ
「願い事一つ、三度唱えれば叶う」との由来を信じ
お互い様の中年男
「妻が元気になりますように」と祈った

落ち葉を踏みしめながら上り坂を突き進み
キノコを探しながら下ったのであるが
たとえキノコがあったにしても
伊賀の影丸「木の葉隠れ」
老後の幸せを探しているようなもので
日暮れを待って「ふる里」という飲み屋に駆け込み
交野の地酒を酌み交わし
一枚一枚
木の葉を剥いだ
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