身の上相談
Kさんに電話した
溺れる者は藁をも掴む
そんな思いで電話した
「君の評判悪いなあ」
傷口さらに広がった
心がヒリヒリ燃え出した
「君のことをあれやこれ
とやかく言ってる人がいる」
「一体誰が?」に口閉ざし
「手の施しようがないですね」
Kさんに電話して
心がチクチク燃え出した
疑心暗鬼の栄螺堂
心がクルクル燃え出した
つまらぬ男に電話した
「やっぱりお前は性に合わん」
そうとも言えず受話器を置いた
「お忙しいのにありがとう
又お会いできる日を」と受話器を置いた
Tさんに電話した
進退窮まり電話した
「都合のいい日に飲みましょう」
その明くる日にはしごした
上六の「りき六」は旨かった
新地は地震ですいていた
「そこまで覚悟を決めたなら
あれこれ悩むことはなし
ただ堂々とやりなさい」
水割りの氷がカタンと揺れた