窓
「今朝のテレビで言ってたわ!」
疳高い声が部屋に響いた
「結婚前のセックスを許す親が増えてるんですって」
「絶対に許せない」
意気込む女性が表れて朝の国語科は突如
婚前交渉がどうのこうのという話題になり
僕はふらふらとめまいを感じた
昼休み
葵の上と御息所、例の「車争い」の下調べをしながら
僕は隣の女性に聞こえるように独りごちた
「前に教えた時ほど面白みを感じない」
「それはあなたの現実がもっとどろどろしてるからじゃないですか?」
問い返されて僕は背筋をふるわせた
夜
葛根湯を飲んで眠りにつくと
長いソックスを履いた女性が表れて
「換気の為にと開け放った窓が
なかなか閉まらないことだってあるのですよ
そんな時に
人は風邪をこじらせるのです」
と効き目の強い薬を勧めるのだった
若い女性が長いソックスなど履くものか
すきま風でさえ身に沁みるのに・・・
開け放たれた窓から
僕は
夢の底へと駆け下りた