懇談会のご案内
教師になって十年目、三児の父となった春に、2−Bの諸君48名と出会い、早三ケ月が経ちました。校庭の楠の前でのクラス写真(思えば十数年前、僕も楠の前に・・・)、雪の穂高を背景にした集合写真(あー実に、雪ころがりは愉快だった)、その他、幾つかの場面を傍らに置き、この文を書いています。
担任を持ってこそ垣間見ることの出来る生徒諸君の一面、時に知らないで済ますことが出来れば、と嘆息しつつも素直な打ち明けに応じ、赤のボールペンでHR日誌に「嵐は強い木を作る」とか「苦悩は人間にとって業績である」などの章句を書き込んでいます。(そうして僕自身をも励ましているのですが)
じっとりとした気候が続き「心に青カビが生えそうだ」と書かれた文面には「曇天を突き破る夏の日差しを待ち望む」と答えました。「何故こんなにも難しい数学が必要なのか?」と問われた文面には、現代国語の授業で扱った中島敦の小説の一節で答えました。「分からぬ。全く何事も我々には分からぬ。理由も分からずに押し付けられたものをおとなしく受け取って、理由も分からずに生きてゆくのが、我々生き物のさだめだ」
この運命論に拮抗する信条を、生徒諸君は、いつどのような形で自分のものとしてくれるのか、心ひそかに楽しみにしています。(多かれ少なかれ悩みを持っている同年代のひとがまわりにウジャウジャいる。それが学校の値打ちですね。)
さて一学期末の成績結果が出てまいりました時点で下記の要領にて懇談会を催したいと存じております。御多忙中とは存じますが是非御出席下さいますようご案内申し上げます。
(一九八五年七月清水谷高校39期2−B保護者の皆様へ)