君には微笑みがよく似合う
−金有香(キム・ユヒャン)を送る詩−
初めて君と出会ったのは三月、高校入試の検査会場だった。
試験監督の僕がセルロイドの下敷きを配りながら
君のそばで歩みを止めた時
長い髪を三つ編みにした君は、礼儀正しく会釈をし
かすかに僅かに微笑んでいた。
四月の遠足は蓬莱峡だった。
春風に長い髪を梳かれながら、君は太多田川と戯れていた。
カメラを向けた僕に水をかけようとした君の笑顔が
新緑に映えていた。
そして五月
異国へ旅立とうとする君は、留学後の不安を
「ぜいたくな悩みですが」と打ち明けた。
なあに不安があるからこそ、その解消が楽しみとなる。
悩みを友とすることができれば大したものだ。
君を送ろうと今日はクラスメートがこんなに沢山集まってくれた。
記念すべき一日だ。
時々でいいから便りを頼む。
便りの向こうで、君が微笑んでいることがわかれば
クラスみんなの励みとなる。
勿論僕も元気づけられる。
大阪府立清水谷高等学校第四十四期一年D組28番金有香さんが、
MCKINDY HIGH SCHOOLの一教室に自分の席を持ち、
英語での授業に必死に耳を澄ましている姿を
思い浮かべよう。
ハワイの海に潜って魚と戯れている君の姿を
思い浮かべよう。