十五歳の君に





あかねちゃん 合格おめでとう!
あと一つ、大事なテストが残っているから
これは励ましの一篇だ―−と書いているのは
得体の知れない中年のおじさんじゃないんだよ。

実は数年前のメリークリスマス
This is Santa Claus speaking.
の発音が大阪弁だとすぐにばれた「頼まれサンタ」のおじさんだ。

君の母さんは、君に夢を運んでくるトナカイの橇や鈴の音が
いつまでも君の耳に響いてほしいと願ったのだ。
分かるよねえ、君。

電話する僕の横で女房が
「よそさまのお嬢ちゃんにはえらく親切ね。」と
不平をこぼしていたのもえらく滑稽な光景だった。
このことは君にわからなくてもいいんだよ。

御両親をはじめ、おじいちゃんやおばあちゃん・・・
多くの人に囲まれて十五才の君がいる。
多くの人に愛されて十五才の君がいる。
多くの人に愛されてこそ多くの人を愛することができるんだ。
(それでおじさんはサンザンクローしているけれど)

山口誓子という有名な俳人が
君の母さんと僕とが勤める学校を詠んだ作品を幾つか残している。
その中に
薔薇熟れて空は茜の濃かりけり
という句があるのを
あかねちゃんに紹介するよ。



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