女生徒
退職後四年半過ぎた今でも一人の女生徒を思い出す
夏休みの一日
図書当番の僕が三階の渡り廊下を歩いていると
軽音楽部のミーティングの輪の中から大きな声で
「みんなの大好きな赤井先生」
と投げキッスを送ってくれたのだ
僕はギクッと胸を押さえ大げさによろけながら
みんなの筈はないにせよ、と思っていると
「とてもいい先生」とまで言ってくれるものだから
「どうでもいい先生だよ」と答えて喜びを静めたのだ
外国籍だとすぐにわかる名字で
だからこそ明るく振る舞っているのかとも思ったが
いや、そうではなくて、根っから明るい性格で
卒業後の今も元気いっぱい、弾けていると思いたい