火遊び





ジャック・プレヴェールが『夜のパリ』で用意した三本のマッチを
僕も一本ずつ擦ろうとしたら
はじめの一本は
花火のローソクの点火用にと子供達に取られ
次の一本は
炊飯器の自動点火が壊れてしまったのでと女房に持って行かれ
最後に残った一本だけで
きみの顔をいちどきに見
次にきみの目を見
それからきみのくちびるを見ようと欲張って
軸まで燃え尽くしてしまったものだから
アチチと手に火傷を負った
蛇口の水を流し続け、氷を指に宛てがったりして
ようやく痛みは治まったものの
さて抱き締めようとしたきみは
ホナ サイナラと
席を立った



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