花言葉
彼はイヌサフランが好きだった
その花言葉が好きだった
「我が最良の日々は終れり」
お前達にこの意味が解るか
生徒に問いかけるのが好きだった
スイカでいえば真ん中の一番甘くてうまいところ
すなわち人生最良の日々にあるお前達に言いたいことは
夜眠りに着く前に、
「今のままでいいのか」と自問せよということだ
よく響く弾んだ声で生徒指導部長の訓示は続く
このままでいいのか、と問いながら
彼のこれからに問いながら
冬の会議
教務部長の話の後に、僭越ながらを繰り返し
生活指導部長はカンニング防止を訴えた
何を今更こまごまとわかりきったことの数々を−−
我々教員が五十分の監督中
ずーと寝ているとでも言うのかい
たとえ新聞を読むにしても
そこには穴が空いていると思わせるのが職人技だ
本来は大らかな人柄であろうのに
みみっちいことを言いやがる
立場が人を変え、責任が夢をしぼませる