学年末考査





ミリバールがヘクトパスカルに変わって何年経っているのだろうか?
各地の風向・風力・天気・気圧・気温が放送で二回流され
「それをもとにして天気図を完成しなさい。」との指示に従って
生徒達は同一の時間に均一の作業をしている。

それにしても先日のNHK朝の天気予報は面白かった。
気象予報士のおじさんは
「この時間に広島ではもう雨が降っていてもいいのにまだ降っていないのですよ。
傘を持ってお出掛けになった方がいいとは申し上げておきますが」と
初めっから傘を持って出掛けようとしていた人も躊躇するような口振りだった。
陶子アナウンサーは鋭く突っ込んだ。
「明日になればはっきりしますね。」

今朝の毎日テレビで日本では十人程しかいないという紅茶の鑑定士が紹介された。
紅茶の銘柄を当てるという企画であったが初めに見事に間違えた。
「生放送ですからね、朝早いですからね。」と取り繕う司会者の横で
さすが紅茶の鑑定士、ゆっくり朝の紅茶を味わって残りの二つはピタリと当てた。

答案用紙に必ずモトクロの絵を書いてくるC組の林君は
天気図にも書き入れているのだろうか?

この春卒業した四十九期の文集にどなたかが
「職業には貴賎はありませんが、生き方には貴賎はあるものですよ」と書き添えていたが
今日に限ってこの言葉、成り上がり根性が見え透いているように思えてならぬ。
ソクラテスは小太りだ。ビフテキの大皿平らげて霞のデザート食いたがる。

ところで八木君きのうはどうしたんだい?
高熱でテストが受けられなかったそうじゃないか。何度位の熱だったんだい?
答案を集めながら茶髪の彼は、問いには答えずはにかんだ。


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