あとがき
枚方西高校と統合されて、今は枚方なぎさ高校と名を改めた磯島高校の図書室で次のような詩を作った。十五・六年前のことである。
図書室にて
僕の目線 百メートル程先、淀川の堤防を
リハビリの為に杖をつき一足一足
大きく体を揺らせて進む人の姿が見える
僕の背中には
英語に社会、理科や国語の先生の声が
朗々と響いている
数分おきにドンと空砲が鳴り響き
ついばんでいた稲穂から慌てて飛び出す小鳥の姿が
どこかへ飛び出してしまいたい僕の気持ちを刺激する
「筆は一本、箸は二本、衆寡敵せず。
斎藤緑雨は病んだ体に鞭打った
樋口一葉には奇跡の三年があった
飛び出してみたところで飲まず食わずではいられない
路頭に迷う家族の姿を思い描いて
自問自答の答えはいつも一つところに回帰する
定年まで働こう
教壇で声を響かそう
淀川左岸に広がる田畑の光景が今も目に浮かぶが、牧野高校での十年(内五年間の部分休業)を経て三十七年間の教師生活を終えたのは二〇一三年(平成二五年)三月のことである。世間が三連休だと騒いでいるのに,又クラブ付き添いかと愚痴をこぼしていた頃が懐かしい。毎日が日曜日、仕事の上では何ら明日の憂いが無くなって張り合いも無くなって、とならないために定年を挟んで前後5年の心情を整理してみることにした。
父親の没年齢六十五に随分長くこだわっていたが、何とかそこはクリアできた。
前作「次に会う人」と「待ち合わせ」すろのが何よりの楽しみである。
末筆ながら編集の涸沢純平さん、装丁の松田彰さん、いつもながらお世話にな
りました。深く感謝します。
平成三十年(二〇一八年)一月 六十五歳を前にして
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