秋・煩悶の





ここ数年
退職なさる方はそれぞれに
「あとを頼みます。」
と言葉を掛けて下さった。
転勤して行く方はそれぞれに
「清水谷を頼みます。」
と挨拶状を送って下さった。
ここ数年
僕はどれ程多くの人から
清水谷の今後を託されたことか。

去り行く後ろ姿は確信に満ち
残された者の悲哀にもさよならを告げている。
送別会は年毎に見送る人が減って行く。

あとを託されたのが清水谷でなかったら
我が母校清水谷でなかったら
僕も又去り行く一人になりたいものを
潔く去り行く一人になりたいものを

二期制65分授業を標榜する清水谷に
託すべきものは何もない。

保健部長は職員会議で次のように報告した。
「校舎南側の植え込みにあれ程夥しくゴミが
投げ捨てられているなどということは
未だ嘗てなかったことだ。」

二期制65分の清水谷に
託すべきものは何もない。            


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