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タンチョウサンクチュアリ通信「ぴっけるぴっけ」 2007年 初春号
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| 2006年度も残すところ、あとわずかとなりました。間もなく、タンチョウたちは舞台を湿原に移し、本格的な繁殖行動をはじめるでしょう。私たちも、今年度に予定していた活動をやり遂げられるよう、ラストスパートをかけています(O)。 |
12月20日に、別海町と厚岸町にそれぞれ2ヶ所、計4ヶ所の新たな野鳥保護区を設置しました。今回は、渡邊様のご寄付をもとにした土地購入(2ヶ所)と、土地所有者である永野様と石澤様との協定により実現しました。別海町での設置ははじめてのことで、協定による設置は13年ぶりのことです。 別海町では、飛雁(とびかり)川河口の湿原に「渡邊野鳥保護区飛雁川(15.3ha)」「永野野鳥保護区飛雁川(15.6ha)」を設置しました。厚岸町では、尾幌(おぼろ)川河口の湿原に「渡邊野鳥保護区尾幌川(6.1ha)」「石澤野鳥保護区尾幌川(5.0ha)」を設置しました。これでタンチョウの野鳥保護区は、合計16ヶ所、1662.1haとなりました(O)。
調査活動 今冬は、例年以上に調査活動を推進しています。タンチョウの生息数の回復に伴い、新たな問題が発生しているため、それらの問題解決に向けた基礎データの収集が主な目的です。いずれの調査も現在実施中ですが、現時点での途中経過を中心にご報告します(O)。 1)鶴見台における観光客の利用状況調査およびタンチョウの事故発生状況調査 鶴居村にある鶴見台は、多いときには300羽以上のタンチョウが利用する、タンチョウ保護にとって重要な給餌場です。また、幹線道路沿いにあるため観光名所にもなっています。しかしここ数年、観光客のマナー低下が指摘されており、タンチョウへの悪影響が心配されています。特に鶴見台周辺には電線などの人工物が多く、人工物への接触事故の増加が心配されています。そこで、サンクチュアリでは、鶴見台にどれくらい観光客が訪れ、タンチョウに悪影響を及ぼすと思われる行為がどの程度見られるのか、またタンチョウの人工物への接触事故がどの程度発生しているのかを調査することにしました。 これまでの調査で、観光客は最も多い日で観光バスが30台、来訪者数は1,500人を超えました。タンチョウに悪影響を及ぼすと思われる、タンチョウに向かって物を投げる、観察場で大声を上げるなどの行為も、1日に複数回確認されています。また、タンチョウの電線接触事故が2回確認されたほか、人の存在や車の通過に驚き、足を曲げて電線を通過する、電線を越えきれずに電線の下をくぐるなどの事故につながりかねない行動が、100件以上確認されています。調査終了後は、鶴見台における問題を提示し、解決に向けた取り組みを進める予定です(W)。
2)タンチョウのねぐら利用状況調査 鶴居村で越冬するタンチョウは、冬でも凍らない村内の雪裡川、幌呂川を主なねぐら場所として利用しています。しかし、一言で川といっても、ねぐらとして利用しやすい条件があるはずです。その条件がわかれば、今後のタンチョウのねぐら環境保全につながります。そこで、まず両河川におけるタンチョウのねぐら利用状況を把握するため、10月下旬から毎週3日間、ねぐらの場所と場所ごとのタンチョウの利用数を調べています。 これまでの調査では、日によってねぐら場所とそれぞれの規模に大きなばらつきが見られます。天候、気温などの気象条件、天敵の接近などの外部条件などが複雑に関わっているものと思われます。これらの検証は、調査終了後に実施したいと思っています(O)。 3)下久著呂地区におけるタンチョウの牛舎侵入状況調査 鶴居村の下久著呂地区では、数年前より、冬期間にも多数のタンチョウが酪農家周辺に集まるようになりました。そして、牛舎内へ侵入して牛の餌をつまみ食いしたり、餌の上に糞を落としたりといった、タンチョウによる新たな被害が目立つようになりました。この問題については、今のところ、数軒の農家でタンチョウ侵入防止用のネットを設置したのみで、問題の実態および原因の把握や十分な被害対策は行われていません。そこでこの冬、サンクチュアリでは、環境省や鶴居村と協力して、冬季の下久著呂における牛舎侵入の現状把握と、今後の対策に向けた原因究明のための調査を行っています。 調査ではまず、牛舎侵入の現状を把握するため、役場から各農家に依頼しているアンケート調査と、レンジャーによる現地調査を実施しています。また、各農家敷地内における様々な施設の配置状況、家畜飼料の種類なども調べる予定です。地区内では、タンチョウが頻繁に現れる農家とそうでない農家や、牛舎への侵入が見られるところと見られないところがあります。これらの違いはなぜ生じるのか、その理由が明確になれば、タンチョウの侵入を防止するための対策も効果的に実施できます。この調査は、今後の対策に向けた原因究明のための基礎データ収集と位置づけています。 タンチョウの牛舎への接近、侵入を引き起こす要因には、牛舎周辺における堆肥など誘引物の保管方法や場所、家畜飼料の種類、建物への侵入のしやすさ、周辺の環境などが複雑に関与しているものと思われます。この因果関係を明確に解明するためには、数年にわたる調査が必要になるでしょう。サンクチュアリでは、この調査を、今後も継続的に実施していくことが重要と考えています(I)。
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オリジナル写真集などの製作 これまでもタンチョウチャリティポストカードなどでご協賛をいただいている、コニカミノルタホールディングス株式会社のご協力により、20周年を記念してタンチョウの写真集を製作することとなりました。今までのコニカミノルタ・タンチョウチャリティフォトコンテストの全入賞作品の中から選出した、約30点の作品を写真集に収録します。製作した写真集は、ポストカード同様、千円のご寄付をいただいた方に進呈する予定です。その他、オリジナル切手の製作なども企画検討中です(W)。 開設20周年記念誌の発行 主にこれまでの20年間を振り返り、タンチョウと人との関わりの歴史や、当会の活動とその成果を整理して報告したいと考えています(O)。 シンポジウムなどイベントの開催 これからのタンチョウ保護全体のあり方を提言し、当会の次期10年活動計画を発表する場として、シンポジウムを企画しています。多くの方々にタンチョウ保護や当会の活動を理解いただけるよう、内容を検討しています(O)。 |
タンチョウの中には、個体識別をするために足環をつけているものがいます。観察していると、タンチョウの恋模様や力関係が見えてくることも。今回はこの足環つきタンチョウの観察記録をお届けします(W)。 ●T09(長寿記録更新中) T09は、1990年生まれのメスです。今シーズンは10月27日にサンクチュアリにやってきました。しかも、1羽の子ども連れです。野生のタンチョウの長寿記録更新にさらなる期待がかかります。 ●19Pと20P(当会の野鳥保護区生まれの兄弟) 19Pと20P は、2003年に当会の藤田野鳥保護区酪陽で生まれた兄弟です。幼鳥時代に親と一緒にサンクチュアリにやってきて以来、毎年やってきています。 そして今シーズン、兄弟そろってつがい相手を見つけました。20Pのお相手は、66V(2000年生まれ)という足環つきの個体です。当会保護区で生まれたタンチョウ兄弟の新しい家族に、早ければ来シーズンには子どもが加わるかもしれません。今から楽しみですね。 ●024と035(野鳥保護区のニューフェイスたち) 今年度、当会の保有する野鳥保護区では、2羽のヒナに足環がつけられました。渡邊野鳥保護区ソウサンベツのヒナには足環番号024が、持田野鳥保護区東梅のヒナには035がそれぞれつけられました。 035家族は、10月下旬には繁殖地周辺で見られなくなり、その後別海町で確認され、11月下旬にはサンクチュアリに到着しました。一方、024家族はまだ繁殖地周辺にいるようです。今シーズンはこのまま根室で越冬するのでしょうか? 3月には子別れが始まり、幼鳥たちは独り立ちをします。来シーズンも元気な姿が確認できることを願います。
ゴミによるタンチョウへの悪影響 昨年の12月9日、サンクチュアリ給餌場にて、カメラフィルムケースのフタをくちばしで刺して貫通し、くちばしが開かなくなっているタンチョウが発見されました。当然のことですが、くちばしが開かなければ餌を食べることができず死んでしまいます。この個体も、餌を食べようと何度も試みては、開かないくちばしに困惑しているようでした。幸い、翌日にはフィルムケースが外れているのが確認 されましたが、今までも、人が捨てたゴミによる事故は何 度も起こっています。人の何気ない行為がタンチョウを苦しめることのないよう、サンクチュアリでは来訪者への普及啓発を進めていきます(I)。
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