タンチョウサンクチュアリ通信 2005年 初春号

発行:(財)日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
(編集:レンジャー 原田 修、音成 邦仁、阿部秀幸)
 今年に入り、まとまった雪こそ降らないものの、明け方はマイナス20℃を下回る日もあります。タンチョウたちも寒さには勝てないのか、10時ごろになっても1羽もタンチョウがいないときがあります。それでも午後以降には、150羽前後のタンチョウが集まり、つがいで鳴き合ったりダンスを踊ったりしています (O)。

12月のタンチョウ生息状況一斉調査で860羽を確認

 毎年、12月と1月に北海道によるタンチョウ生息状況一斉調査が行われます。この調査は、タンチョウの生息数の推移と状況を把握することで、今後のタンチョウ保護増殖を図るための基礎資料とする目的で行われています。サンクチュアリをはじめ、タンチョウの生息地各所で一斉にタンチョウの数を数えます。

 今年度の12月の調査は13日に実施され、サンクチュアリでは208羽のタンチョウを確認しました。ここ数年、調査時間前までに一度サンクチュアリに集まったタンチョウが飛去してしまい、昨年度は47羽、一昨年度は22羽を確認するにとどまっていました。ところが、今年度は、一度サンクチュアリに集まったタンチョウが飛去しませんでした。降雪と強く吹いた風の影響で必要以上の移動を避けたことが原因と考えられます。

 他の給餌場でも同様の傾向が見られ、集計の結果、12月の調査結果としては過去最多の860羽を記録しました。そのうち鶴居村では470羽と、昨年度の204羽を大きく上回りました。

 しかし、幼鳥数が例年に比べて少ない点は気がかりです。今年度は、860羽のうち幼鳥は70羽でしたが、昨年度は650羽のうち67羽が幼鳥でした。繁殖状況はあまり良くなかった可能性がありますが、いまのところその原因は不明です。

 一方、1月の調査は25日に行われました。サンクチュアリでは、12月とは逆に、調査時間前に給餌場を飛去してしまうタンチョウが多く、12月の確認数を下回りました。この調査はその日の天候などにより、その確認数が大きく左右されます。タンチョウの生息数というよりは、人目に触れる場所にいたタンチョウの確認数と考えればよいでしょう。集計結果は2月末日に発表となります(O)。

第10回タンチョウイラスト展より
釧路市 美原小 垂水優さんの作品

タンチョウ・ティーチャーズガイド講習会実施のご報告

 前号でタンチョウ・ティーチャーズガイド(以降、TTG)完成と講習会実施についてお知らせしましたが、今回はその後の活動についてご報告します(O)。

 TTGは、指導する立場にある教職員、自然系施設の職員などの皆さんに使ってもらうことで、多くの人たちにタンチョウのことを楽しく正しく学んでもらうことを目的としたガイド本です。

 TTGの普及方法として、指導者向けの講習会を実施し、より深くTTGを理解してもらった方に実際に使ってもらうことを目指しています。根室市(8月)、厚岸町(11月)、鶴居村(2月)で計3回の講習会を実施し、受講者の数は50名となりました。すでに数名の受講者の方がTTGプログラムを使った授業や観察会を行っています。

 鶴居村の講習会では、給餌場に集まるタンチョウを題材にした行動観察プログラムも実施することができ、その地域にあったプログラムを紹介することができました。また、レンジャーが直接学校に出向き、その学校の教職員の方々を対象にした講習会も試みています。講習会の受講者からの反応もよく、今後も積極的にTTGを利用していきたいとの声をいただいています。

 来年度以降は、引き続き積極的に各地域で講習会を実施する他、学校をはじめとする団体向けの出前講習会も実施し、TTGを広めていく予定です。さらにTTGプログラムの一層の充実に向け、新しいプログラムの開発にも着手していきます。これからもタンチョウやその保護活動の普及に向けてますます力を入れていきます。 


ご自宅のパソコンでタンチョウの動画が楽しめます!
 このほど、給餌場にインターネット用のカメラを設置しました。このカメラは、タンチョウの魅力を多くの方々に伝えることを目的に設置したものです。このカメラを設置したことで、インターネットを通じて全国どこからでもタンチョウをリアルタイムで観察できるようになりました。このカメラは、静止画像ではなく動画で、しかも鳴き声などの音声も提供できる画期的なものです。

 タンチョウは、日本では北海道東部にのみ生息しており、他の地域でその姿を見ることはできません。このような動画用のカメラが設置されたのは、タンチョウの生息地でははじめてのことです。

 閲覧に関しては、アクセス順ながらカメラを上下左右、ズームなどの遠隔操作ができるようになっています。
今回の設置に関しては、社団法人昭和会館より資金援助を得て実現に至りました。同団体は公益法人として、社会、公益のために貢献する団体などに対する援助を主体として、その他講演会、談話会、会員相互啓発などの活動を続けています。

 このカメラの稼働時期は、毎年10月1日から翌3月31日までで、この期間中、6:00から17:00まで見ることが可能です。インターネット環境の整っている方は、臨場感あふれるタンチョウの姿や鳴き声を是非お楽しみください(O)。
鶴居村 鶴居小 岩崎るり子さんの作品

レンジャーの観察日記
 給餌場に集まるタンチョウの中には、個体識別用の足環をつけたタンチョウもたくさんいます。足環つきタンチョウの行動を観察していると、タンチョウの生態や個性がわかり、観察がますます楽しいものになります。今回はレンジャーの足環つきタンチョウの観察記録をお届けします(O)。

T09(1990年生まれ メス)
 現在確認されている足環個体の中では最古参。今年は10月31日に早々とサンクチュアリに飛来しました。子どもも1羽連れていたのですが、12月6日を最後に親子共々姿を見せなくなりました。例年、給餌期間中はサンクチュアリに毎日きていた個体だけに心配です。

T31とT33(1991年生まれ つがい)
 T31がオスで、T33がメス。10年来つがいとして毎年サンクチュアリに飛来します。11月3日以降、ほぼ毎日姿を見せています。T31はケンカに弱く、ときには幼鳥に追い払われることもあります。そんなT31を支えるT33。いつもながらの仲の良さにほのぼのとした気分にさせてくれるつがいです。

T50(1993年生まれ オス)と55V(1999年生まれ メス)のつがい
 T50は本会所有の持田野鳥保護区で生まれた個体です。一昨年までは12V(1996年生まれ)とつがいでしたが、12Vは死んでしまったものと思われ、昨年から6つ年下の55Vとつがいになりました。なかなか子宝に恵まれず、今年も子どもはいませんでした。来年こそは!

T61(1994年生まれ オス)
 昨シーズンは繁殖地で越冬したため、姿を見せませんでしたが、今シーズンは12月31日に1羽の子連れで飛来しました。繁殖に一度失敗し、2回目の繁殖で育った子どもなので、発育が遅く、背中には茶色の羽が目立ちます。来訪者からは「きたないツル」などと呼ばれてしまいましたが、元気に過ごしています。立派に育ってほしいですね。

T63(1994年生まれ オス)
 足環つき個体の中では、もっともケンカに強くとても目立ちます。今シーズンは2羽連れで、子どもにもそれぞれ34P,35Pの足環がつけられています。今シーズンはさすがに2羽の育児に忙しいのか、あまり激しいケンカは見られませんが、いざというときは子どもをほったらかしにして周りを威嚇しています。

08V(1996年生まれ オス)
 鶴居村生まれでサンクチュアリの常連です。毎年、ケンカをしては勝ったり負けたりを繰り返すやんちゃ坊主です。シーズン当初は相変わらずのやんちゃぶりを発揮していましたが、いつの間におとなしくなり、すっかり目立たなくなりました。おとなの自覚が芽生えたのでしょうか?

19Pと20P(2003年生まれ ともにオス)
 本会所有の藤田野鳥保護区酪陽生まれの兄弟。野鳥保護区で生まれ、サンクチュアリで冬を越すという、本会の保護活動をフル活用の個体です。いつも一緒にいる兄弟ですが、1,2年後には2羽ともお相手を見つけてサンクチュアリにきてくれることでしょう。今から楽しみです。
鶴居村 鶴居小 岩崎麻里子さんの作品

コニカミノルタ・タンチョウチャリティポストカードと
フォトコンテスト入賞作品展のお知らせ
 コニカミノルタホールディングス株式会社の協賛を受けて「第4回コニカミノルタ・タンチョウチャリティポストカード」を実施しています。千円のご寄付をいただいた方に、フォトコンテストで入賞した5点でつくったオリジナルポストカードを差し上げています。まだポストカードには残部があります。また、ご希望があればこれまで(第2回、第3回)のポストカードを差し上げることもできます。是非ご支援をいただき、素敵なポストカードをご活用ください。郵便振替用紙つきのチラシもありますので、ご連絡いただければお送りいたします。

 また、入賞作品展の2月以降の会場も決定いたしましたので、あわせてご案内いたします。詳細につきましては、サンクチュアリまでお問い合わせください(A)。

コニカミノルタ・タンチョウチャリティフォトコンテスト入賞作品展 会場一覧
実施期間 実  施  会  場 所 在 地
3月5日〜4月3日 ウトナイ湖サンクチュアリ 北海道苫小牧市
3月12日〜27日 東京港野鳥公園 東京都大田区
4月6日〜5月5日 ウトナイ湖野生鳥獣保護センター 北海道苫小牧市


タンチョウイラスト展のご案内
 サンクチュアリでは、毎年釧路・根室管内の小中学生を対象に、タンチョウのイラストを募集しています。11回目となる今年は、合計320点のイラストが集まりました。

 タンチョウがタップダンスを踊ったりスケートをしたりするユニークな作品や子育てをしている愛らしい作品など、様々なイラストが集まり、訪れる方々の目を楽しませてくれています。

 サンクチュアリでは2月いっぱいまで展示していますが、3月以降は右記の施設で巡回展を実施しますので、近くにお越しの際は、子どもたちの個性あふれる作品の数々を是非ご覧ください。

 皆さんとともにタンチョウやタンチョウの生息する環境を守り、感性あふれる子どもたちによるこのイラスト展が、いつまでも実施できるよう願っています(O)。

タンチョウイラスト展巡回展の日程
3月 阿寒国際ツルセンター(阿寒町)
4月 根室市春国岱原生野鳥公園(根室市)
5月 厚岸水鳥観察館(厚岸町)
6月 釧路市博物館(釧路市)
7月 塘路湖エコミュージアムセンター(標茶町)
8月 野付半島ネイチャーセンター(別海町)
9月 霧多布湿原センター(浜中町)
釧路町 富原小 宇野なつ子さんの作品