タンチョウサンクチュアリ通信 2004年 秋号

発行:(財)日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
(編集:レンジャー 原田 修、音成 邦仁、阿部秀幸)


 10月になり、ネイチャーセンターが例年通り開館いたしました。村内の牧草地やデントコーン畑には、すでに150羽以上のタンチョウが集まっています。あと2ヶ月もすれば、雪に閉ざされた厳しい冬の訪れです。そして、鶴居村ではタンチョウの舞う季節となります。

 ネイチャーセンターでは、より明るく、くつろげる空間をご提供しようと、館内を一部改装いたしました。1階には書籍コーナーを設け、2階の南向きの明るい部屋を展示ルームとしました。リニューアルしたネイチャーセンターで、タンチョウとともに皆さまのお越しをお待ちしております(O)。

標茶町に216.3haの湿原を購入。
「渡邊野鳥保護区チャンベツ」設置

 9月29日、釧路市内にて売買契約を交わし同日午後に釧路支庁で記者発表を行いました。9つめのタンチョウ保護区の誕生です!(H)

 今回購入したのは、別寒辺牛湿原の北部を流れる別寒辺牛川とチャンベツ川の流域に広がる2ヶ所の湿原です。面積は合計216.3ha(2,163,106u)。この場所は別寒辺牛湿原の北端に位置しながら、行政区域の違いで法律の保護指定から外れていた区域でした。タンチョウは購入した土地内で毎年3〜4つがいが営巣しています。標茶町では初めてのタンチョウ保護区です。


現地位置図

 購入には、本会会員で鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの活動を支援する賛助会第T期「タンチョウ383人の会」および第U期「タンチョウふぁんクラブ」のメンバーとして、1993年よりタンチョウ保護のために資金面での協力をしていただいていた渡邊士乃武・玲子様からの2千3百万円のご寄付の一部を使わせていただきました。渡邊玲子様からは「大型の動物がすむ環境を守れば、そこに関わる他の動植物も守る事ができます。これからも動物達が人間と共存できるように、心から応援していきたいと思います」とのお言葉をいただきました。

 同所は渡邊様のお名前を冠した「渡邊野鳥保護区チャンベツ」として看板と石碑を設置し、レンジャーが巡回監視などを行い、このままタンチョウが繁殖できるように環境保全に努めます。

 

■タンチョウ保護のために設置された日本野鳥の会の野鳥保護区(2004年10月現在)

名       称 設 置 場    所 面  積 タンチョウ利用状況
@持田野鳥保護区 1987 根室市東梅 7.6ha 1つがい繁殖
A温根内早瀬野鳥保護区 1990 鶴居村温根内 19.5ha 1つがい繁殖
B別寒辺牛湿原早瀬野鳥保護区
※厚岸町購入80.8haを含む
1993 厚岸町別寒辺牛 365.4ha 3つがい繁殖
C古山野鳥保護区
※地主との協定による借上げ
1993 鶴居村温根内 12.9ha 自然採食地
Dゼネラル石油野鳥保護区・春国岱 1994 根室市春国岱 46.5ha 自然採食地
E渡邊野鳥保護区大別川 1997 厚岸町太田 235.0ha 2つがい繁殖
F渡邊野鳥保護区ソウサンベツ 2002 根室市湖南 368.1ha 1つがい繁殖
G藤田野鳥保護区酪陽 2003 根室市酪陽 22.1ha 1つがい繁殖
H渡邊野鳥保護区チャンベツ 2004 標茶町チャンベツ 216.3ha 4つがい繁殖
合       計       9ヶ所 1,293.4ha 13つがい繁殖 
+3つがいの自然採食地



道東のタンチョウ保護区の位置
 これで本会が設置した野鳥保護区は全国に15ヶ所、面積は約1,320haです。このうちタンチョウのための野鳥保護区は9ヶ所、合計1293.4haとなり、13つがいが繁殖する営巣地と3ヶ所の自然採食地を確保できました。今後も渡邊様のようなお申し出があれば、そのお気持ちに応えられるように、タンチョウの繁殖地である湿原の確保と保護区設置を進めていきます。ご支援とご協力をお願いいたします。
第10回タンチョウイラスト展より
鶴居村 鶴居小 伊沢綾及さんの作品

タンチョウティーチャーズガイド完成!
 昨年度より、指導者の方々に使ってもらうことを目的としたタンチョウのガイド本「タンチョウティーチャーズガイド」の製作作業を進めてきましたが、ついに完成いたしました。その概要をご紹介します(O)。

 「タンチョウティーチャーズガイド」は、子どもたちや自然系施設などの来訪者に読んでもらうものではなく、指導する立場にある教職員、自然系施設の職員などのみなさんに使ってもらうことを目的としたガイド本です。いわば指導者のための教科書と言ってもよいでしょう。
 
 これまでもティーチャーズガイドと呼ばれるガイド本はいくつか作られていますが、ひとつの種(タンチョウ)に特化したものは初めてです。また、本会が独自で製作した初めてのティーチャーズガイドでもあります。
 
 内容は、タンチョウの基本的な知識を得るための概説、実際の授業や観察会などで使えるプログラム、タンチョウのことが学べる施設の紹介など、タンチョウを素材として指導するのに必要と思われることを、なるべくわかりやすく掲載してあります。さらにそれぞれのプログラムで使用するイラストや写真、表などをCD-ROMに登録し、パソコンがあればいつでも簡単に印刷できるよう工夫しました。
 
 また、このティーチャーズガイドを十分に理解し、指導者のみなさんに確実に使っていただくために、ガイド本の使い方などを説明する講習会を実施することにし、講習会を受講した方だけにこのガイド本を渡すことにしました。
 
 去る8月29日、根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターで1回目の講習会を実施しました。学校教員の方、自然系施設の職員の方、自然ガイドの方など11名の参加がありました。講習会では、タンチョウティーチャーズガイドの目的や使い方を説明し、実際に収録されたプログラムを体験してもらいました。さらに、参加者自身にもプログラムを実施してもらいました。参加者からはご好評をいただき、教育現場で早速使いたいという言葉もいただきました。今年度は、11月と2月にも講習会を実施する予定にしています。
 
 今後は、受講者の皆さんと連絡の取れる体制を作り、本会からはタンチョウの最新情報を提供し、受講者からはプログラム実施の報告書を提出していただきます。これをもとにネットワークを広げていきながら、よりよいティーチャーズガイドにしていきたいと考えています。

 この取り組みにより、タンチョウが生息する北海道東部の子どもたちやタンチョウに興味を持つ多くのみなさんに、タンチョウのすばらしさ、保護の必要性などを伝えていき、タンチョウやタンチョウの生息する湿原の保護につなげていきたいと考えています。

釧路市 北大付属小 瀧澤沙幸さんの作品


コニカミノルタ・タンチョウチャリティポストカードと
フォトコンテスト入賞作品展のお知らせ
 前号でお知らせした通り、今年度もコニカミノルタホールディングス株式会社の協賛を受けて「コニカミノルタ・タンチョウチャリティポストカード」を実施しております。千円のご寄付をいただいた方にタンチョウのオリジナルポストカード5枚1組を差し上げています。是非、ご利用ください。

 また、入賞作品展の12月以降の会場も決定いたしましたので、あわせてご案内いたします(A)。

コニカミノルタ・タンチョウチャリティフォトコンテスト入賞作品展 会場一覧
実施月 実  施  会  場 所 在 地
12月 (財)日本野鳥の会 バードプラザ 東京都渋谷区
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ(1月末まで) 北海道阿寒郡鶴居村
1月 加賀市鴨池観察館 石川県加賀市
2月 釧路空港 3階展示場 北海道釧路市
水の駅「ビュー福島潟」 新潟県豊栄市
3月 東京港野鳥公園 東京都大田区
ウトナイ湖野生鳥獣保護センター 北海道苫小牧市
4月 ウトナイ湖サンクチュアリ ネイチャーセンター 北海道苫小牧市

サンクチュアリからのお知らせ
年賀状でタンチョウ保護!
 
 タンチョウのフォトコンテスト入選作品を使った2種類の年賀状ができました。コニカミノルタの年賀状カタログから注文することができます。しかも、1回のご注文につき、10円が自動的にコニカミノルタから本会に寄付される仕組みです。いただいたご寄付はタンチョウ保護のために大切に使わせていただきます。素敵なタンチョウの写真で新年のご挨拶ができる上、手軽にタンチョウ保護活動にご参加いただけます。是非、ご利用ください。

 年賀状カタログは、お近くの写真店の店頭で入手、またはサンクチュアリから取り寄せできる他、コニカミノルタのHPから注文する(11月以降)ことができます(A)。

2005年カレンダー完成!

 毎年ご好評いただいているバードカレンダーの2005年版が完成し、現在好評販売中(1470円)です。本会会員の方には割引価格で販売いたしております。富士山をバックに水辺にたたずむ小鳥や紅葉の中のフクロウなど、美しい写真が用いられています。

 また、11月25日〜12月12日にはサンクチュアリで、カレンダー写真展を行います。カレンダーに使われた12点の写真がご覧いただけますので、是非いらしてください(A)。

厚岸町 厚岸小 諸澤裕希さんの作品