鶴居村広報誌のエッセイ
月に1回鶴居村全戸に配布される「広報つるい」に、タンチョウに関連するエッセイを連載しています。

2009年7月号

タンチョウってどんな鳥 2

レンジャー 有田 茂生


 日本のタンチョウは1年を通じて、そのほとんどを北海道東部でくらしています。しかし、季節によって移動をしたり、違った行動を見せたりします。今回は、タンチョウたちの春から初夏にかけて暮らしを紹介します。


■越冬地から繁殖地へ

 3月にはいると給餌場など越冬地で過ごしていたタンチョウたちの繁殖地への移動が始まります。繁殖地は主に北海道東部にある湿原です。

 繁殖地では、オスとメスのつがいがなわばりをつくります。なわばりとは、子育てをするのに必要な生息場所の範囲で、広さはその環境の餌の量によっても違ってきますが、少なくとも100ha(1km2:サッカーのグラウンド140個分)ぐらいは必要だと考えられています。なわばりが決まるころオスとメスは交尾行動をくりかえします。時折若いつがいがなわばりを探していると、すでになわばりをかまえたつがいから追い払われる姿も観察できます。

 巣の場所が決まると、巣づくりをはじめます。一般的には、枯れたヨシの茎を積み重ねて、直径1m近くの大きな円形の巣をつくります。湿原の水辺に巣をつくるので、平らではなく円錐状に盛り上がった形をしています。これまでに巣の調査から平均すると下面の直径は160p、高さは26pの大きさになります。

 巣ができると、卵を産みます。通常2個産卵します。卵の平均的な大きさは縦10.5p、横6.5p。重さは200〜280gほどで、だいたいニワトリの3倍くらいです。

 2007年の研究者による調査では、350ヶ所を超える巣が確認されています。サンクチュアリができる直前の1986年当時は、約60ヶ所確認されていました。20年の間に約6倍に増えたことになります。

 一方、繁殖する年齢になっていない生後1〜3年の若いタンチョウの一部は、群れをつくって行動します。鶴居村にも数十羽の若いタンチョウの群れが残り、農家敷地やデントコーン畑に入り食害の問題が発生しています。


実物大のタンチョウの巣とヒナのぬいぐるみ


■ヒナの誕生から成長

 抱卵をはじめてから約32日後に、ヒナがふ化します。時期的には5月初旬〜6月にかけてです。ヒナは全体的に薄茶色をしています。ヒナはふ化後3〜5日で巣を離れて、親といっしょに歩きまわるようになります。

 親はなわばりの中で餌をとり、ヒナに与えます。ヒナの成長とともに行動範囲は広がって好奇心旺盛に歩き回ります。ヒナの脚の成長は体にくらべてきわめて速く、生後2ヶ月ほどで親とほぼ同じ長さに(約60p)にまで成長します。ここまで大きくなるものは少なく、ふ化しなかったり、ふ化直後にキツネなどに襲われたり、天候が悪く衰弱してしまうことがあり、無事2羽のヒナが育っている家族を見ることは少ないです。

タンチョウの親子


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