| 月に1回鶴居村全戸に配布される「広報つるい」に、タンチョウに関連するエッセイを連載しています。 |
ボランティア・ワークキャンプの受け入れ
| レンジャー 大熊千晶 |
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリでは、春と夏の年2回、ボランティア・ワークキャンプという活動の受け入れを行っています。これは、首都圏近郊の大学生を中心とした自然保護のネットワーク組織「フィールド・アシスタント・ネットワーク」が実施している取り組みの一つで、自然保護活動を行っている現場に1週間ほど滞在し、その活動を手伝うというものです。
今年も5泊6日の日程で、大学生6名と社会人1名の合計7名がサンクチュアリの活動に協力するために鶴居村を訪れました。
●活動内容
今回のワークキャンプでは、大きく分けて2つの活動に協力してもらいました。
1つ目の活動は、サンクチュアリのネイチャーセンターで使用している薪ストーブの燃料となる薪の準備です。サンクチュアリを運営する日本野鳥の会では、タンチョウやシマフクロウの生息環境を守るため、土地を買い取り、「野鳥保護区」を設置する活動に力を入れています。この保護区の管理作業の際に出た間伐材を、ネイチャーセンターの薪ストーブの燃料として利用するため、薪割りを行ってもらいました。
2つ目の活動は、タンチョウに関る調査への協力です。今回は、「給餌場における採餌量調査」、「冬期自然採食地についての調査」、「ねぐら調査」の3つの調査に協力してもらいました。採餌量調査ではタンチョウが給餌場で食べるコーンの量を、自然採食地調査では冬期、タンチョウがどのような自然環境を利用して餌を採っているのかを調べました。ねぐら調査では、河川環境の変化に伴うねぐらの利用状況の変化を把握するため、早朝、村内の各河川におけるタンチョウの数をカウントしました。
また、これらのほかに調査準備として、当会の野鳥保護区「早瀬野鳥保護区温根内」に調査区の設置を行いました。この野鳥保護区はタンチョウの営巣が確認されていたため、1990年に設置した保護区ですが、その後、タンチョウが営巣しなくなってしまった場所です。その原因としてハンノキの増加が考えられたため、営巣環境であるヨシ原の復元を目的として継続的にハンノキの伐採を実施したところ、タンチョウの再営巣が確認されたという経緯があります。これらの管理作業に伴い、湿原内の環境変化を把握するための調査区を設置していましたが、老朽化により目印が分からなくなっていました。実は、昨年の夏にも、調査区の設置を試みましたが、夏のヨシ原は見通しが悪く、設置が困難であったため、今回のワークキャンプで再度、調査区の設置を行いました。
写真1 【採餌量調査】夜の給餌場で食べ残しのコーンを数える
●ボランティア・ワークキャンプを通じて
サンクチュアリにとって、ボランティア・ワークキャンプを受け入れることは、活動に必要な労力を提供してもらえるというメリットのほかに、活動の理解者を増やすことのできる良い機会でもあります。参加者にとっては、実際の保護活動を体験し、自然保護の現場に貢献できることなど、貴重な体験の場となっています。
5泊6日という短い期間でしたが、タンチョウの暮らす環境に触れ、多くの人と出会い、参加者それぞれが、かけがえのない経験や想いを得たはずです。これらの体験の中から感じたこと、考えたこと、そして現場の活動に携わったという自信を、今後の活動の活力にしてもらいたいと願っています。
写真2 薪割りの様子
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