2001年度タンチョウサンクチュアリセミナーの記録
10月 「ヒグマの話」 講師:川湯エコミュージアムセンター 遠藤 真澄氏
11月 「シマリスの話」 講師:獣医師 愛 高行氏
1月 「トビの話」 講師:阿寒国際ツルセンター 古賀 公也氏
2月 「かいじゅう(海獣)の話」 講師:野生動物研究家 青木 則幸氏
3月 「ハクチョウの話」 講師:厚岸水鳥観察館 澁谷 辰生氏
セミナーの記録
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「ヒグマの話」 講師:川湯エコミュージアムセンター 遠藤 真澄氏 川湯エコミュージアムセンターの遠藤真澄さんを講師に招き、大学時代から研究に取り組んでいるヒグマの生態やトラブル防止策などをお話しいただきました。
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「シマリスの話」 講師:獣医 愛 高行氏 |
| 「トビの話」 講師:阿寒国際ツルセンター 古賀 公也氏 阿寒国際ツルセンターの研究員、古賀公也氏を講師に招き、最も身近な猛禽・トビについて、古賀氏が大学生のころに長崎県で実施した調査記録をもとに、その生態を中心にお話いただきました。 利用する餌は、魚と昆虫が主になりますが、9〜10月は魚が餌の中心となります。この時期は付近海域に青潮が発生し、魚が大量死する時期に一致します。死肉が餌の中心となるトビにとっては、願ってもない状況なのでしょう。 寿命は最高24年、平均6〜7年と考えられています。卵は平均2個産みますが、巣立ちはほとんどが1羽のようです。調査の結果、餌が十分でないと巣の中で兄弟げんかが起こり、強いヒナだけが生き残るようです。抱卵はメスが主。ヒナの羽毛は他の猛禽に比べ、雨をはじくようになるのが早いため、ふ化後20日後くらいからヒナを抱かなくなるようです。 古賀氏は現在、タンチョウの研究者として阿寒国際ツルセンターでご活躍ですが、トビに対する興味がなくなったわけではなく、機会があればまだまだ研究の余地はあるそうです。身近とはいえ、まだまだわからない部分も多いようです。 |
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「かいじゅう(海獣)の話」 講師:野生動物研究家 青木 則幸氏 かいじゅうとは「海獣」。海棲の哺乳類の総称です。根室市在住の野生生物研究家青木則幸氏を講師に招き、北海道で見られるクジラ類を除く海獣について、スライドやビデオ映像をまじえながら、お話しいただきました。 |
| 「ハクチョウの話」 講師:厚岸水鳥観察館 澁谷 辰生氏 厚岸水鳥観察館の専門員、澁谷辰生氏を講師に招き、昨冬(平成12年度の冬)の厚岸湖でのハクチョウを取り巻く状況から見る「ハクチョウへの餌付け問題」について、映像を交えながら、じっくりお話しいただきました。 厚岸水鳥観察館から程近い厚岸湖には毎年2000〜3000羽ものハクチョウが越冬します。厚岸町ではかねてからハクチョウに餌付けをしないよう呼びかけています。それは、湖には餌付けをするまでもなく十分な餌(水草)があること、餌付けにより人間の生活圏に近づきすぎて事故につながる危険性があることなどの理由からです。 ところが昨冬は例年にない冷え込みのため湖のほとんどが凍りつき、わずかに残った湖面に1000羽ものハクチョウが集中しました。そのころからハクチョウの死体も目立つようになってきました。この状況を見かねた地域住民から町へ給餌をするよう要望が相次ぎました。結局、厚岸町は給餌に踏み切りました。 この一連の流れの中で澁谷氏は今回の給餌が本当に必要であったかどうかは疑問だと言っています。まず、餌は本当に不足していたのでしょうか? 1000羽もいれば、たとえ餌があっても死んでしまう個体がいて当然です。たまたま湖面が人間の目に触れるところにあったため、死体が目立っただけかもしれません。また、餌付けにより人間の餌だけを頼りにするハクチョウも出てきました。結果、自分で餌をとることをせず弱っていく個体もいたようです。つまり「餌付け」はハクチョウのためになっているかどうかはわからず、実は人間の自己満足なのではないでしょうか? 一般的に餌付けは美談としてマスコミなどに取り上げられます。しかし一方で、餌付けにより人に近づきすぎる動物が問題となっている地域もあります。教育現場でも餌付けを教育や自然保護活動の一環として実施するケースがあります。しかし、ハクチョウの食べ物がパンくず(本来は水草が主食)だと信じている子どもがいる現実もあります。 最近では、ブラックバスやアライグマといった移入種の問題がよく話題となります。しかし、もともとその場所にいなかった動物、もしくは少なかった動物を餌付けにより集めることは、移入種問題と本質的には何ら変わりのないことではないでしょうか? 結局、明確な根拠のない餌付けはその動物やその地域にとって不幸な結果を招く危険性が高く、原則としてはすべきではないのです。ある動物を保護するのならば、その動物の生息環境を保全することが基本であり、大切なことなのです。 以上が澁谷氏の話の概要です。この報告は関係者の中でも話題となっており、今後ますます議論が深まるものと思われます。セミナーの後も参加者からいろいろな意見が出て、有意義な討論の場となりました。 ちなみにサンクチュアリでもタンチョウ保護のため給餌を実施していますが、この給餌は今回指摘の餌付けとは少し意味合いが違います。タンチョウの場合、冬の給餌をやめてしまえば、大幅に個体数が減ってしまうことが明白です。現在、尚も絶滅の危機にさらされているタンチョウには給餌が必要不可欠なのです。ただし、給餌が本当の意味での保護ではないことも自覚しています。給餌をしなくても、タンチョウが生きていける環境保全が何よりも必要だと考えています。 |
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