◆長野 白馬鑓温泉 − 標高2100mの展望風呂!

2001年8月15日 〜 8月16日

今回は2001年夏に行ってきた長野県白馬の鑓温泉レポートです。

長野の白馬といったら、えーと、98年でしたっけ? 長野冬季オリンピックの舞台となった場所です。白馬駅からみてジャンプ台の右側にあるのが白馬鑓ガ岳。この山の中腹2100mのところにあるのが鑓温泉です。2100メートルですよ! かなり高いです。なんでもこの標高は日本一だとか(これだけの湧出量としては、という条件付きみたい)。

朝日を浴びる白馬鑓温泉
朝日を浴びる白馬鑓温泉。眼下には雲海が!

もちろん森林限界上にあって、ゴツゴツした岩盤にへばりつく空中庭園のようなすばらしいロケーションです。残念ながらここは手掘りではないのですが、裏の方の岩の割れ目からガンガンとお湯が沸き出す様子が見えて、大自然の力を感じてしまいます。

ここには白馬鑓温泉小屋という山小屋が一軒ポツリと。鑓温泉はその露天風呂というような位置づけです。まあしょせん山小屋ですから、旅館の露天風呂みたい立派なものじゃありません。コンクリで作られた湯船がポンとあるだけ。なんとなく脱衣所っぽいものもあるんですが、野湯なみの開放度で、特に斜面の湯船の下にあるテントサイトからは、風呂に入っている人が丸見え。ねぇ、おじさんお願いだからそんな目立つところで素っ裸で仁王立ちしないでよ、丸見えなんだから、とういう感じ。まあ、たしかに湯船から見晴らす景色が最高なんですわ。思わずタオルもまかずに腰に手をあてて惚けてしまうのもわからなくはありません(^^ゞ

テントサイトから丸見えの露天風呂
テントサイトから見る露天風呂
おねがいだからここに仁王立ちはしないでほしい。まる見え(笑)


あ、細かい話のまえにここまでの道順を簡単に書いておきましょうか。電車の場合は白馬駅からバスに乗って「猿倉」というところまで行きます。車の場合は、入山口の猿倉に大きな無料駐車場があるんですが、シーズン中はいっぱいで停められないこともあるみたい。ぼくが行ったのはお盆の時期でしたが、随分手前に警備員が立っていて、入場制限していました。堅実に行くなら八方周辺に無料の大きな駐車場が何ヶ所かあります。そこからバスで猿倉へ。

猿倉には猿倉荘という山小屋があって、ビールやアイスなどが買えます。その脇から登山道がスタート。途中林道になって二方向に分かれます。まっすぐ行くと「大雪渓」、左へ折れるのが鑓温泉です。この大雪渓、このあたりの観光名所のようで、ツアーバスが来て日帰りの客がひっきりなしです。温泉しか目に入らなかったぼくは迷うことなく左へ。本格的な登山道に入ると、人もめっきり少なくなりました。

あとは淡々と登っていくだけ。途中、沢水が飲める場所があってコップ(ワンカップ?)が置いてありました。水を汲むとゴミひとつないきれいな水。なによりすっごく冷たい! すぐにガラスのカップが結露するくらいに。登りが続いているだけにこれはかなりうれしいです。

登りが落ち着いたと思ったら小日向コル(おびなたって読んだ気がする)。小さな湿原があったりしてちょっと雰囲気がかわります。ここまでが3時間ちょっとくらいかな。

その後は尾根をトラバースする感じで平坦な道を延々行きます。左手は落ち込んで窪地のようになっています。このときちょうど曇っていたんですが、ときどき雲が流れると、行く手には谷沿いに雪が残った山の斜面がチラチラと。よーく見ると、これからいく鑓温泉小屋の屋根が確認できるはずです。すっごい急な斜面にへばりついているような感じで、あんなところまで登るのかとかなりビビります。

進むに連れてコース上にも雪渓が見えてきます。実は日本で雪渓をみるのって初めて。ニュージーランドでは氷河は見慣れていましたけど、こうして夏に雪を見るなんてやっぱり妙な気分です。そんな雪渓を渡るのが3ヶ所くらいあったかな。だいたい踏み分けができているので、ふつうの靴でも問題なく通れます。ただ1ヶ所だけすごい斜面でちょっとおっかない場面がありました。そのへんはシーズンやその年々でもちがうのでしょう。

湯気をあげる雪渓

尾根にそったトラバースが終わると、急激な登りが始まります。最後のこれがきついんだよなぁ。登り切ったら最高の温泉が待っていると思わなければとてもがんばれそうにないくらい延々続きます。登り道がだいっ嫌いなぼくは、5歩登っては休憩、また5歩登ってはとチマチマと進んでいきました。上の方へ行くと湯煙を上げながら岩盤を流れてくるのがわかるはず。これぞ鑓温泉の漏れ湯。もうちょっとだ、がんばるぞ! ここでスピードアップ。こうして出発から5時間半ほどしてようやく到着しました。

下から歩いていくとまずいきなりテン場になります。あたりはかなり急な斜面。足下は岩がむきだしの岩盤。それがところどろこ段々畑のようになっていて、あちこちカラフルなテントがならんでいます。テントサイトの条件としてはかなり厳しいかな。面積は広いんですが張れるテントの数はかなり限られそう。到着が遅かったぼくはかなり苦労しました。ようやく一箇所晴れそうな場所をキープしたんですが、その後到着したパーティは場所がなくて思いっきり斜面に無理矢理幕営していました。かわいそう.... 皆さん到着はお早めに。

露天風呂にて  温泉から見おろすテントサイト

テン場があって、そのすぐ上に展望露天風呂。そしてその上に山小屋があります。かなり大きい小屋で、ちょっとしたおみやげとかビールも買えます。ただし350ml缶が600円! 金に糸目を付けなければキンキンに冷えたビールがいくらでも飲めますよ(笑)。(貧乏性のぼくは担いでいきましたよ。600円じゃさすがに風呂あがりに一気のみするのはなんだか気が引けます。小屋の裏の取水口のところでこっそり冷やしておきました。)

小屋の中  女湯の入口
左:小屋の内部 / 右:女湯の入口

山小屋は1泊2食付で8600円、素泊まり5900円。テントサイトは一人あたり500円ということになっています。温泉だけだと300円だったかな。別の小屋から下山ルートに使って温泉だけ入っていく人もいるみたいです。バイトのおねえちゃんが毎日お湯を抜いて掃除してくれていたので、ここは素直に払うことにしましょうね。

で、気になる温泉の様子。これが実はかなり熱いんですよ。年によってちがって今年は熱めということでしたが、まあ、入れなくはないけど身体が真っ赤になるぞというくらいの熱さ。ぼくは比較的平気で肩まで浸かりましたが、全身入れる人は10人にひとりくらいだったでしょうか。せっかく広い湯船なのにみんな脇のすのこの部分に座って、洗面器(?)でお湯をくんでは身体にかける、の繰り返し。雨とか降ればまた温度は下がるみたいですけどね。

基本的にここは混浴です。ぼくが入っていた間はいませんでしたが、たまに水着の女性が来ることもあるみたい。いちおう日没後に1時間か2時間のレディースタイムが設定されています。それにすぐ脇にはちゃんと囲いがついた女性用風呂もありますのでご安心を。ここは眺望が効かないのが残念ですが、このときでも湯温は比較的低くて入りやすかったそうです。

やっぱりここの温泉の売りはズバリ"高度"でしょうね。急な岩肌の斜面にへばりつくようにしてあるので、遮るものがなくずっと遠くの山々が見渡せる。場合によっては眼下に雲海が浮かんでいたり、この高度感はたまりません。

そこそこメジャーな場所なので、けっこう人は多いのですが、行ったら行っただけの満足感、スゴイ場所に来ちゃったんだなという感慨はあるはず。5-6時間の本格的な登山になりますが、体力が許せばぜひオススメしたい温泉です。





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焚き火のまえで 〜山旅と温泉記
By あきば・けん
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