その1 〜 南風見田 → 鹿川 〜
西表島南部海岸ルート
最近西表島南部海岸ルートに関する問い合せが多くなってきました。そんなリクエストにお答えして、ダイジェストではありますが、西表島南部海岸ルートの様子を写真を交えて紹介していきたいと思います。当時の日記が行方知れずでおおざっぱなことしか書けませんが、どうかご勘弁を。
私の場合、2003年3月に訪れ、東部地区の南風見田から入り、初日は鹿川湾でキャンプ、2日目は一気に船浮に抜ける予定でしたが、途中のウダラ浜の魅力に足止めされ急遽ウダラで一泊。3日目に船浮の集落へ、という日程でした。
海岸沿いをずっと歩いていくと思われがちな南部海岸ルートですが、もっとも一般的なのは上の地図で示したようなルートで、途中3箇所ほど内陸に入って山越えをします。
南風見田の浜から砂浜を歩きはじめます。浜のはじっこのちょっとした岩場を抜けると緑の森がせり出したようなボラ浜がはじまります。一見すると無人の浜に見えるのですが、このボラ浜は長期滞在者が多いの特徴。みんな林のなかにテントを張っているのでわかりにくいのですが、長期滞在の猛者がたくさん潜んでいます。下手に林のなかに分け入ると、住居不法侵入(?)で怒られるのご注意を(笑)
ボラ浜を過ぎて隣の浜はナイヌ浜と呼ばれています。浜の鹿川側の方に沢が流れ込んでいて、この浜で長期滞在しているキャンパーも希にいます。
ナイヌまではいわば「俗世界」で、ここから先がいよいよ南部海岸ルートの本番です。ナイヌを過ぎると大きな岩がゴロゴロした場所が多くなり、岩から岩へと飛び移りながら進むような感じになってきます。
このあたりで歩きの得意不得意がはっきり出るかも知れません。ぼくの場合は歩きにくい砂浜よりは岩の上を飛び歩く方が好き、というか楽なのですが、そうでない人にとっては非常に疲れる部分かもしれません。キャンプ道具一式を背負って、細かいアップダウンを繰り返すわけで、実際体力の消耗は激しいと思いますし、足をくじいたり、浮き石で転んだりとリスクが大きいセクションともいえます。
時折砂浜に出たりもしますが、とにかく岩場と砂浜を繰り返しを延々続ける感じです。
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途中、海にせり出した崖のようなところを通過する部分がありますが、大潮の満潮時でも濡れずに通過はできました。最初の山越えをする手前までは潮の満ち引きに関係なく行かれるはずです。
歩いている途中、崖から小さな滝のように水が滴り落ちている場所や、水浴びに適した小さな滝、沢などはあちこちにあるので、盛夏期以外ならさほど水の心配はありません。ただし、最初の山越えの手前でキャンプしようと思ったら、最終キャンプ適地は「大浜」です。
地形図なしで、この大浜という場所を説明するのはちょっと難しいのですが、山越えのふたつ手前の浜で、あたりには珍しく、幅広いきれいな砂浜がひろがっている場所です。ここが確実な沢水が流れ込んでいる最後の浜になります。木陰には、かつて長期滞在者がいた形跡もあって、のんびりと快適なキャンプができるようになっています。
朝8時過ぎに出ても、夕方5-6時には鹿川に着けますが、最後の山越えのセクションで道に迷う可能性を考えると、初めて行くにはちょっと余裕がないプランのような気もします。それが心配なら、初日は大浜泊まりで計画した方が安全かもしれません。
さて、問題の山越えルートなんですが、入口はちょっとわかりにくいかもしれません。下の写真が、山越えルートに入る手前の「別れ浜」なんですが、浜のやや手前側に畳のような平らな岩床があるのが目印です。この浜の奥の方から山に入っていくのですが、浜の端から岩を巻くようにしてすこし岩場を歩いて右手、アダン林にブイがくくりつけてある場所があります。そこが入山口。これがやや振り返るようにしないと目に入らないから、見落としがちかも。要注意です。
トゲトゲのアダン林なので、進むのはちょっとたいへん。かなりの急登です。ザックのあちこちが引っかかるので、余計なものはザック内にしまっておきましょう。アダン林を抜けると今度はススキ林。手を掛ける場所もなく、無理矢理よじ登っていく感じ。間違ってハブを掴んだりしないでくださいね(笑)これも草のトンネルのようになってて、夏場だとかなりたいへんです。
まわりが森の景色に変わってきたら、登りはもうすぐ終わり。登り切ると鬱蒼とした森のなかを驚くほど真っ平らな小道が続いています。
それから10分も歩くと、左手の木にブイの目印が付けられているポイントに出ます。ここが要注意。まっすぐいくと下りに転じてクイラ川上流の船着き場に出てしまいます。鹿川へはやや左方面へ行きます。なんとなくの踏み分け道はできているから大丈夫。
踏み分け道をたどっていくと、大きな木に行く手を遮られるような感じの場所にでます。海よりの斜面の方を見ると、そこにはまたもや目印のブイがあるはず。そこからは左手の斜面を下っていきます。枯れ沢にそってずっと下っていくと、やがてあたりはまたアダン林に。そうこうするうちに波の音が聞こえてきて、海辺の崖の上に出られます。
ここからは、目指す鹿川湾がようやくお目見えし、足取りも軽くなります。でもあいかわらず歩きにくい岩場が続くので要注意。調子にのったぼくはここで足を思いっきり捻挫して、あわや骨折か! とおおいに焦った、なんてこともありました(^^)
あとは適当に海岸沿いを歩いて鹿川を目指すわけですけど、途中ちょっとした難所があります。
上の写真のような場所で、波が打ち寄せる壁でクライミングチックな動作を要求されます。荷物がなければ、チョチョイのチョイなんですが、フル装備のザックを背負ってのへつりはなかなか厳しいです。落ちたら完全に海の中ですし…
意を決して行ったわけですが、通過してから気づきました。巻き道があった....
巻き道の南風見田方面の入口は確認していないのですが、この突き出た岩の根本あたりをショートカットできるルートがありますので、皆さんは無理をなさらずに....
これを越えたら、あとは夢にまで見た鹿川です。
鹿川の様子と、その先のルートについては、また別項で。
By あきば・けん e-mail address |