こねこのきもち



「あれ、お兄ちゃん、猫飼ったの?」
「ああ。そいつな、バイト先の前に捨てられてたんだ。俺のアパート、ペット可だから、俺が引き取ることになって」
「ふ〜ん。名前は?」
「まだ決めてない。何か良い名前あるか?」
「ミケってのは、どう?」
「全身灰色だぞ」
「じゃあグレー」
「宇宙人みたいで、なんか嫌だな」
「う〜ん。タマとかミー君とかマヤーとかペリシーとかナポレオンとか」
「それ、俺の所にある漫画やゲームやなんかを見て、猫の名前を片っ端から挙げてるだけだろ」
「あ、分かっちゃった?」
「ミユキなんて、どうだろうな」
「それ、あたしの名前!」
「いいじゃん。人間のミユキより、猫のミユキの方が可愛いし。ほうら、お前は今日からミユキだぞ」
「そんな、ひどいよー! あ、お兄ちゃん、抱っこして、頬ずりなんかして! あたしにもー!」
「ミユキちゃん、チューしよっか、ほら、チュー」
「ずるい! あたしもまだお兄ちゃんとチューしたことないのに!」
「ミユキちゃん、お腹さすってげようね。ほら、気持ちいいか?」
「お兄ちゃん、やめてよ! そんな、猫なんかに……!」
「ん、なんだ、ミユキ? 猫に焼き餅焼いてるのか? もしかして、お前もこんなことして欲しい?」
「そ、そんな……べ、別に、して欲しくなんか、ないもん」
「遠慮しなくていいぞ。見てみろ、猫のミユキは、こんなに気持ちよさそうにしてる」
「猫となんか……一緒にされても、困……る……」
「そうか、じゃあ、いらないんだな。じゃあ、猫のミユキちゃん、たーっぷり可愛がってあげようね」
「あ、あの、お兄ちゃん……やっぱり……ちょっとだけ……して……くれる……?」
「もちろん、いいぞ。ほら、こっちにおいで」
「うん……」
「膝枕してやるから、横になれよ」
「ん……。なんか、恥ずかしい……」
「まず猫の方が終わってからな。しばらく待ってろよ」
「そ、そんなぁー!!」
あとがき:
最近、猫を見てないなぁ。
元彼女は、猫みたいに気まぐれというか自分本位な性格だったけど、外見や行動の方はというと、猫には程遠く、牛とでもいうか。(苦笑)
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