初音ちゃんとトランプ
それから俺たちは、初音ちゃんの部屋でトランプをして遊ぶことにした。
とても女の子らしい可愛らしい部屋だ。
「何をしようか?」
カードを切りながら俺が訊いた。
「うーん、そうねぇ…」
制服から私服に着替えた初音ちゃんが言った。
「ポーカーは?」
「ポーカー? ワンペアとかツーペアとかの?」
「そう。それ、それ」
「うーん、あんまり分かんない」
初音ちゃんは申し訳なさそうな顔をする。
「初音ちゃんはどんなの知ってる?」
「…んーとねぇ」
初音ちゃんは天井を見上げて親指を口元に寄せた。
「ババ抜きと、大富豪と、七並べと、ダウトと…」
「どれも二人じゃ盛り上がらないなぁ」
「…うん」
「二人じゃ、できるゲームも限られてくるからなぁ。…カブとか、ブラックジャックとか、セブンブリッジとかは知らない?」
「あっ、ブラックジャックなら知ってる」
初音ちゃんはにっこりと微笑んだ。
数分後、「ちょっと準備をしてくる」と言い残して部屋を出ていった初音ちゃんが戻ってきた。
顔に大きな痕を作り、髪を白黒半分にして黒いコートを着て医者カバンを持った彼女を前にして、俺は何も言うことができなかった。
おわり
あとがき:
…後書き書かないと駄目?
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