たんじょうび2



「お兄ちゃん、もうすぐ誕生日だよね」
「ユーミ、よく覚えててくれたな。来週だよ」
「あたし、プレゼント用意してるから、楽しみにしててね!」
「え? 本当? そりゃ嬉しいな。この歳になると、もう誰もくれないからな」
「ところで、何をプレゼントするか、知りたい?」
「当日のお楽しみ……と言いたいところだけど、ちょっと気になるな」
「じゃあ、ヒントその一。天井から下がってるものです」
「天井からというと……蛍光灯? いや、モビール?」
「ヒントその二。とても柔らかくて熱いものです」
「う〜ん。蛍光灯は熱くなるし、モビールは材質によっては柔らかいけど、両方というと何だろう?」
「最後のヒント。お兄ちゃんが大好きなものです」
「僕が? ごめん、さっぱり分からない」
「じゃ、来週を待っててね」
「ああ、楽しみにしてるよ」

 そして次の週。
 誕生日も仕事だった僕は、それでも残業はなんとか回避して、アパートに戻ってきた。
 部屋の前まで来ると、中が明るい。電灯が点いているようだ。
 多分、ユーミだろう。この部屋の合鍵を持っている。
 僕のために用意してくれた、その天井から下がっているプレゼントとやらを、準備して待っているのだろう。
 一体何だろう?
 期待と、そしてほぼ同僚の不安とに満たされて、僕はドアを開けた。

「ユ、ユーミ! な、お前、これ……」
「んむっ! むむーーんむ、むむんむーむ、んむむむー!」

 小さな身体を荒縄で縛り、猿ぐつわをして、天井からつり下げられた状態で、頬を赤らめ、熱くとろけたような眼差しで僕を見ているユーミ。
 思わず落としたカバンが床と衝突する音が、狭い部屋にやけに大きく響いた。

あとがき:
えぇと、前回のやつとは、人名や性格設定を流用しただけで、話の上では続きでも何でもありません。
「どうやって自分一人で縛ったんだ」というツッコミは却下。

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