巨神ゴウグウ



 時に199×年。
 悠宇一(ゆういち)は、お世話になっている考古学者ドクター秋子、その娘名雪と共に、南太平洋に浮かぶ謎の島・オウストラル新島に足を踏み入れた。
 だが、島を支配する巨大企業GAILの妨害に逢い、悠宇一は名雪達とはぐれてしまった……。

 あてもなく荒野を彷徨(さまよ)う悠宇一。
 太陽は容赦なく照りつけ、水も食料もない。
 だが、彼は……それに気付いた。

「だ、誰? 僕を呼んでいるのは……」
 ……。
「誰? どこにいるの?」
 振り向いた悠宇一の目に、動くものが映った。
 青い……
 青い“それ”は、人のような形をしているが、あまりにも巨大だった。
 身長20mはあるだろうか、全身が青く、優しい目をした、そして背中には羽根の付いたリュックを背負っている、巨人。
 その巨人が、悠宇一の方に、全速力で走ってくる。
 悠宇一には、その巨人の語りかけてくる声が、聞こえたような気がした。

『うぐぅ、どいて〜』

 巨人はものすごいスピードで走ってくる。とても避けられるような距離ではない。
「そんなバカな!!」

 ぐしゃっ。

『うぐぅ……どいてって言ったのに……』
 巨人が発したその言葉を受け取る者は、もはや存在していなかった。

  おわり

あとがき:

 アホか俺は。

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